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II 仕事と子育ての両立
3 仕事と子育ての両立や子育ての負担感
(1) 子どもが小さいときの母親の就業
子どもが小さいときの子育てについて、「子どもが3歳までは主に母親が
携わるのがよい」という意識は、50歳代以上の中高齢層で多い。20〜30歳代
では「父母が協力して携わるのがよい」が最も多くなっており、この問題に
関する意識は世代によって大きく変わってきている。
母親の就業と子どもの発達についての欧米の研究では、母親の就労は否定
的な影響はないが、親による保育でない場合には、質の高い安定的な保育が
与えられているかどうかが影響を与えるものであると指摘している。小さい
子どもを持つ女性が安心して働くためにも保育についての高い質の確保が求
められている(第2−7図)。
(2) 男性の子育て意識の高まり
「仕事と子育てに関する夫や妻の生き方について、子育てと仕事のどちら
を優先すべきか」をきいたところ、男女の各年齢層ともに、妻に対しては
「子育てを優先」という考えが多い。一方、夫に対しては「子育てよりも仕
事を優先」とする考えが多数を占めているものの、若い世代や子育て年齢層
では高齢層と比較すると男女ともに、「仕事と子育てとの両立を図るよう努
めるべきだ」とする者の割合が大きい(第2−8図)。
(3) 子育て期の夫と妻の生活時間、子育て・家事の分担
夫と日常的に子育てや家事といった家庭責任を分担し合うことは、妻の負
担感を時間的にも精神的にも解消することになるが、こうした分担の実態を
就業時間や家事時間で把握した。
1週間の就業時間を年齢階級別にみると、男性の20歳後半から40歳代では
長時間就業者が多く、なかでも子育て期の30歳代の就業時間は最も長く、60
時間以上の長時間就業をしているのは2割以上となっている。パートナーで
あろう30歳代の女性は、逆に短時間就業となっており、子育て期の家庭責任
は女性が果たしているという状況が伺える(第2−10図)。
(第2−9図)
また、30歳代男性は、いわゆる働き盛りであり、進んで遅くまで就業をし
ているようにもみえるが、「日頃の生活の中で充実感を感じるのはどのよう
な時か」をみると、「仕事にうち込んでいる時」よりも「家族団らんの時」
に充実を感じるとしている割合が他の年齢層に比べて高くなっており、家庭
を大切に思いながらも長時間就業している実態がみられる(第2−11図)。
男性の家事時間は36分であり、5年前からわずか4分の増加である。年代別
にみると30歳代、50歳代の家事時間は短く、特に30歳代は就業時間が長いこ
とから、時間的に家事の分担は困難な状況であると考えられる。
一方、有職女性の家事時間は、5年前より10分減少したものの、3時間強と
なっており家事の負担は依然として大きいままである。女性の年代別にみる
と30歳代が最も長くなっている(第2−12図)。
これまでみたように、子育て年齢である30歳代の男性の子育て意識は変化
しつつあるが、長時間就業や家事時間の実態からみても男性が積極的に子育
てを分担している状況はみられない。実際に、子育てが仕事に与えた影響は、
母親が育児休業取得や一時仕事をやめたなどを始め様々なものがあるのに対
し、父親の9割は「変化なし」としている(第2−13図)。
(4) 子育てのコスト
妻の理想の子ども数と現実はギャップがあり、理想の子ども数を持とうと
しない理由は、経済的な要因が大きい。子どもを育てるためにかかる費用に
ついて「子育てコスト」として推計した結果、子どもが大学に進学する時期
に家計の負担が最も大きくなる。また、夫の28歳から56歳までの可処分所得
に占める子育てコストの総額は32%を占める。このような子育ての経済的負
担への対応のあり方も今後の課題である(第2−14図)。
(5) 子どもに対する思い、両立のストレス、子育て負担感
子どもを持つことは負担ばかりが増えるわけではなく、男女ともに、子ど
もを持ったことに対して肯定的に感じている者は多い。しかし、働く既婚女
性で「両立」の悩み・ストレスがあると感じる者は多い。一方、子育て中の
女性のうち、子育て負担感が大きいと回答しているのは、専業主婦よりも共
働き女性の方が少ない(第2−15図・第2−16図・第2−17図)。
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