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資料 4

       都道府県労働局雇用均等室における男女雇用機会均等法の

         相談、指導等状況及び個別紛争解決の援助事例



1 相談、指導等状況



(1)相 談

                                   (件)
事項 12年度 11年度 10年度 9年度
法第5条関係
(募集・採用) (注1)
4,129 10,23 13,88 10,87
法第6条関係
(配置・昇進・教育訓練)
1,147 2,556 4,832 2,765
法第7条関係
(福利厚生)
235 1,143 1,769 896
法第8条関係
(定年・退職・解雇)
1,213 1,586 2,666 1,775
法第20条関係
(ポジティブ・アクション)
424 1,090    
法第21条関係(セクシュ
アルハラスメント防止対策)
8,614 9,451    
法第22・23条関係
(母性健康管理)
4,218 3,723    
その他 (注2) 3,503 7,520 14,19 6,575
23,483 37,305 37,346 22,885
女性労働者等 14,668 18,767 13,678 12,192
事業主 8,815 18,538 23,668 10,693
(注1)平成10年度以前は、新条文に読み替えて計上している。(以下同)



(注2)「その他」欄には、賃金・労働時間・深夜業の男女均等取扱い等に関する相

   談が含まれている。





(2)雇用均等室における個別紛争解決の援助(均等法第12条に基づく援助)



                          (件)
事項 12年度 11年度 10年度 9年度
法第5条関係
(募集・採用)
法第6条関係
(配置・昇進・教育訓練)
22 20
法第7条関係
(福利厚生)
法第8条関係
(定年・退職・解雇)
69 46 48 20
98 73 53 30




(3)機会均等調停委員会による調停(均等法第13条に基づく調停)



○ 平成12年度

                                 (件)
事項 申請件数 開始 不開始 取下げ
    受諾 拒否 打切
法第6条関係
(配置・昇進・教育訓練)

(注1)
法第8条関係
(定年・退職・解雇)
(注1)調停開始前に、事業主が申請事項の解決を図ったことにより、申請者が申請

   を取り下げた。





(参 考)



○ 平成11年度

                                 (件)
事項 申請件数 開 始 不開始 取下げ
    受諾 拒否 打切
法第6条関係
(配置・昇進・教育訓練)
29 26 25 1
(注1)
法第8条関係
(定年・退職・解雇)

(注2

(注3)
31 27 25
(注1)うち1件は、調停開始前に、事業主が申請事項の解決を図ったことにより、

   申請者が申請を取り下げた。



(注2)受諾は平成12年度に行われた。



(注3)調停開始決定前に、申請者が裁判所に提訴し、申請を取り下げた。





(4) 雇用均等室における制度是正指導(均等法第25条に基づく助言等)



                                 (件)
事項 12年度 11年度 10年度 9年度
法第5条関係
(募集・採用)
470 950 2,842 3,308
法第6条関係
(配置・昇進・教育訓練)
168 356 354 282
法第7条関係
(福利厚生)
78 192 229 188
法第8条関係
(定年・退職・解雇)
18 31 13 33
法第21条関係
(セクシュアルハラスメント防止対策)
5,239 5,626    
法第22・23条関係
(母性健康管理)
57 21    
6,030 7,176 3,438 3,811




2 雇用均等室における個別紛争解決の援助事例(均等法第12条に基づく援助)



事例1(配置関係)



   女性であることを理由に総合職に転換できない
【女性労働者からの申立内容】
 A社(サービス業、労働者数約1,200人)に勤務する女性労働者B(高卒、一般職
)からのコース転換に係る紛争の解決援助の申立。
 均等法施行以前より、同じ高卒であっても男性は基幹職に、女性は補助職に配置さ
れていたが、均等法施行後のコース別雇用管理制度の導入に際し、男性は総合職に、
女性は一般職に一律に振り分けられた。コース転換制度があるが、試験の合格ライン
が非常に高く、実態として女性一般職が総合職に転換することはほとんど不可能な状
態である。
 これは、女性であることを理由とする差別であり、総合職への転換を援助してほし
い。

【雇用均等室における援助内容】
 A社から事情聴取したところ、均等法施行以前の高卒の募集・採用については、男
性は基幹職、女性は補助職として採用していたが、基幹職、補助職の採用基準がそも
そも異なっており、コース別雇用管理制度導入時における各コースへの振り分けにつ
いては、採用基準に基づいて実施したものであり、性別を理由にしたものではないと
主張した。
 室は、コースへの振り分け、コース転換の基準及び運用が男女別に実施されていた
ことから、(1)コースへの振り分け、コース転換の基準を性別ではなく各コースに求
められる能力、適性、実績等に基づくよう設定し、労働者に周知すること、(2)運用
に当たっても男女差別的な取扱いを行わないこと、(3)これまで女性一般職の能力開
発が十分進んでいなかったことを踏まえ、教育訓練の実施等により総合職への転換が
円滑に図られるよう、ポジティブ・アクションに取り組むことを指導した。その上で
、(4)Bの総合職への転換について適切に対応するよう求めた。

【結果】
 A社は、コースへの振り分け、コース転換の基準の適正化を図るためコース別雇用
管理制度を見直し、基準について労働者に周知するとともに、総合職への転換につい
ては、適正に審査し行うこと、また転換に際しては総合職に必要な能力を修得するた
めの研修を実施することを確約した。
 Bは、研修を受講し、次期転換試験に合格し、総合職に転換した。




事例2(昇格関係)



   昇格基準の運用に男女差別があり、同じ資格の男性と同一の等級に昇格できな

  い
【女性労働者からの申立内容】
 C社(金融業、労働者数約800人)に勤務する女性労働者D(総合職)からの昇格
に係る紛争の解決援助の申立。
 自分と同じ職務内容、資格の男性総合職と比べて昇格が遅れているのは、昇格基準
の運用に当たり男女差別的な取扱いが行われているためであり、同じ資格の男性と同
一の等級に昇格できるよう援助してほしい。

【雇用均等室における援助内容】
 C社から事情聴取したところ、明確な昇格基準、人事考課基準がなく、昇格の運用
が恣意的に行われていることが判明した。また、昇格選考対象者の選定基準、対象者
の成績、評価Dの順位等に係る資料を基に説明を求めたところ、これまでの経緯から
女性は一般的に昇格しても実績を上げられないと考え、人事考課について男性は高く、
女性は低く考課していることが判明した。
 室は、(1)昇格基準、人事考課基準の適正化を図り、労働者に周知すること、(2)昇
格基準の運用に当たり男女差別的な取扱いを行わないこと、(3)昇格後も女性が十分
能力発揮できるよう教育訓練の実施等、ポジティブ・アクションに取り組むことを指
導した。その上で、(4)Dの昇格について適切に対応するよう求めた。

【結果】
 C社は、昇格基準、人事考課基準の適正化を図るため人事制度の見直しを行い、労
働者に周知するとともに、運用において男女均等な取扱いを行うこと、また女性の能
力発揮促進のための研修の充実を図ることを確約した。
 Dは、次期昇格時に上位等級に昇格した。




事例3(配置、解雇関係)





   事業縮小を理由に、女性のみ子を有することを理由に不利益な配置転換が内示

  され、配置転換に従わない場合は解雇すると言われた
【女性労働者からの申立内容】
 E社(製造業、労働者数約300人)に勤務する女性労働者F(技能職)からの配置
転換及び解雇に係る紛争の解決援助の申立。
 産前産後休業取得後、復帰したところ、経営悪化によりFが勤務する事業場を縮小
するため、転居を伴う他事業場への配置転換の内示を受けた。子供が小さく転勤は難
しい旨話したところ、転勤命令に従わなければ辞めてもらうしかないと解雇を言い渡
された。
 配置転換及び解雇については、同じ職場の男性及び未婚の女性には話がなく、女性
で子供を有することを理由とするものであり納得できない。転勤は無理であり、職種
を転換しても現在の事業場で勤務が継続できるよう援助してほしい。

【雇用均等室における援助内容】
 E社から事情聴取したところ、事業場の縮小に伴い人員を削減するため、転勤を伴
う他事業場への配置転換者の選定を行っており、Fは当該事業場の主要ラインの技能
職としての技能を有していないため配置転換を内示したところ、乳幼児を抱え配置転
換は無理と申し出たので退職を勧奨したものであると主張した。
 室は、配置転換者の選定基準、対象者名簿等の資料に基づき確認したところ、男性
及び未婚の女性については希望者に限られ、希望の有無にかかわらず内示が出され、
また配置転換に従わなければ解雇と言い渡されたのはFのみであることが判明した。
女性のみ子を有することを理由とする配置転換及び解雇は均等法違反であり、(1)F
に対する解雇を撤回すること(2)配置転換及び解雇の対象者は男女均等な基準で選定
することについて指導するとともに、(3)Fの乳幼児を抱えている状況に配慮するこ
とを求めた。

【結果】
 E社は、Fに対する解雇を撤回し、当該事業場において継続勤務させること、今後
配置転換及び解雇については男女同一に行うことを確約した。




事例4(配置、解雇関係)



   経営合理化のため女性は解雇すると言われた
【女性労働者からの申立内容】
 G社(卸・小売業、飲食店、労働者数約130人)に勤務する女性労働者H(販売職、
現地採用)からの解雇に係る紛争の解決援助の申立。
 経営不振から勤務する事業場が閉鎖されることとなり、現地採用者について男性は
他事業場に配置転換し、女性は解雇すると言われたが納得できない。
 転居を伴う配置転換をしても継続勤務したいので援助してほしい。

【雇用均等室における援助内容】
 G社から事情聴取したところ、企業全体として大幅な赤字が出ており、事業場を廃
止、統合することとし、当該事業場は閉鎖するため、Hにはその旨説明し、次の勤務
先を探すよう話したものである。募集・採用に際しては、本社採用、現地採用の区分
が明確にあるわけではないが、慣習的に本社採用及び現地採用の男性については転居
を伴う配置転換を行い、女性には行なわないこととしていた。今回も通勤圏内に他の
事業場がなく、女性には転居を伴う配置転換はさせられないので辞めてもらうしかな
いと考えたと主張した。
 室は、配置及び解雇について女性であることを理由として男性と差別的取扱いをす
ることは均等法違反であり、(1)配置転換及び解雇については男女均等な基準により
行うこと、(2)Hに対する解雇を撤回すること、(3)Hを配置転換の対象とすることに
ついて指導した。

【結果】
 G社は、Hに対する解雇を撤回し、配置転換先について話し合い、転居を伴う他事
業場への配置転換について双方合意し、Hは配置転換先で継続勤務することとなった




事例5(解雇関係)



   妊娠を理由に雇用契約の更新が拒否された
【女性労働者からの申立内容】
 I社(卸売・小売業、飲食店、労働者数約250人)に勤務する女性労働者Jからの
雇用契約の更新に係る紛争の解決援助の申立。
 1年契約の契約社員として雇用され、これまで特に更新手続きが行われず契約が自
動的に更新されていたが、妊娠したことを報告したところ、雇用契約書に妊娠したら
解雇する旨の記載があり、これに基づき次回契約は更新しないと言われた。
 産前産後休業、育児休業を取得し、継続勤務できるよう援助してほしい。

【雇用均等室における援助内容】
 I社から事情聴取したところ、契約社員であり、新たな契約を更新しないだけで、
解雇ではない。契約更新しない理由は、現在会社の経営が厳しいこと、また立ち仕事
であり、妊娠に対する影響も考えたことによると主張した。
 室は、Hとの雇用契約は、形式的には1年間の期間を定めた契約であるが、これま
で更新手続きが行われず自動的に契約が更新されていること、判例においても、反復
更新の実態や契約締結時の経緯等により、実質的には期間の定めのない契約と認めら
れ、雇止めの意思表示は実質において解雇の意思表示に当たるとされた事案もあるこ
とから、妊娠を理由として契約の更新を拒絶することは、妊娠を理由とする解雇と同
様の効果を有する場合もあり、今回も均等法上問題があると考えられるので、(1)契
約を更新するよう指導した。
 また、(2)雇用契約書に記載されている妊娠した場合に解雇する旨の規定は均等法
に違反するため削除するよう指導した。

【結果】
 I社は、Jとの雇用契約を更新し、産前産後休業、育児休業の取得及び復帰後の継
続勤務を確約するとともに、雇用契約書から妊娠した場合の解雇の規定を削除した。




事例6(解雇関係)



   妊娠を理由として退職するよう強要された
【女性労働者からの申立内容】
 K社(サービス業、労働者数約60人)に勤務する女性労働者L(営業職)からの退
職強要に係る紛争の解決援助の申立。
 第二子を妊娠したが、車による営業は無理との医師の診断を受け、内勤への配置転
換を申し出たところ、事業主から、配置転換する内勤の仕事はなく、また新たに内勤
の仕事をつくることもできない、妊娠による休暇、産前産後休業、育児休業と続けて
休まれては困ると言われ、退職届を出すよう強要されている。
 内勤への配置転換、産前産後休業、育児休業の取得及び復帰後の継続勤務を希望し
ており、援助してほしい。

【雇用均等室における援助内容】
 K社から事情聴取したところ、妊娠はきっかけにすぎず、解雇の理由は本人の能力
不足、勤務態度不良である。また、経営が厳しい中、人員に余裕がないところを第一
子については育児休業を認め、復帰後もセールスルート等について無理のないよう配
慮してきており、これ以上配慮する必要があるとは思えないと主張した。
 室は、妊娠を理由とする解雇は均等法違反であり、(1)Lに対する解雇を撤回する
こと、(2)妊娠中の女性労働者が医師から指導を受けた場合は、その指導事項を守る
ことができるよう適切な措置を講じることが必要であること、(3)車による営業以外
の軽易な業務に転換することについて指導した。

【結果】
 K社は、Lに対する解雇を撤回し、内勤の一般事務に業務転換することとし、産前
産後休業、育児休業の取得、及び復帰後の営業職としての継続勤務を確約した。




3 機会均等調停委員会による調停事案の概要(均等法第13条に基づく調停)

申請事案 結果
■配置関係
 一定の年齢に達した、
子を有する女性労働者の
みに転居を伴う配置転換
が内された事案
・事業主は、調停開始前に、女性労働者に対する配置転
換の内示を撤回し、調停申請事項の解決が図られ、申請
者は調停申請を取り下げた。
■配置関係
 一定の年齢に達した女
性労働者のみに職種変更
を伴う配置転換が内示さ
れた事案
・機会均等調停委員会が関係当事者から事情聴取及び意
見聴取を行い、申請者に対する配置転換の内示の撤回等
についての調停案の受諾を勧告し、関係当事者双方が受
諾し、調停は終了した。
■解雇関係
 女性労働者が結婚した
ことを理由に解雇された
事案
・機会均等調停委員会が関係当事者から事情聴取及び意
見聴取を行い、関係当事者の意向を踏まえ、申請者に対
する解雇の撤回及び解決金の支払い等についての調停案
の受諾を勧告し、関係当事者双方が受諾し、調停は終了
した。

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