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III「会社説明会及びセミナーの実施」について

(1) 基本的な考え方

 会社説明会やセミナーは、資料等の配付と並んで募集及び採用に係る情報の提供手

段であり、会社説明会やセミナーの実施に際して、(1)その対象から女性を排除する

こと、(2)実施方法や実施内容等を男女で異なる取扱いとすること、(3)その対象を女

性のみとすることは、均等法に違反します。


 <均等法に違反する会社説明会及びセミナーの実施事例>



 ○ 会社説明会やセミナーの開催案内の送付や参加受付を男性だけに限る



 ○ 会社説明会やセミナーに申し込んできた女性に、女性の採用予定はないと説明

  する



 ○ 会社説明会やセミナーに参加できる人数に男女別の上限を設ける



 ○ 男性には電話で参加の受付をするが、女性にはハガキで申し込ませる



 ○ 総合職希望者に対する会社説明会やセミナーへの女性の参加を受け付けない



 ○ 総合職の会社説明会への参加を希望する女性に、一般職の会社説明会の開催案

  内を送付する



 ○ 会社説明会やセミナーを男性と女性で別々の日又は別々の会場で実施する



 ○ 男性のみを対象とする会社説明会やセミナーの後に、女性が参加できる会社説

  明会やセミナーを実施する



 ○ 会場で配付する資料を、男性と女性で異なるものとする



 ○ 会社説明会やセミナーで女性からの質問を受け付けない



 ○ 会社説明会やセミナーで、「女性には体力的に厳しい仕事だ」、「男性向きの

  仕事」、「この業界は男社会」等、女性の採用について消極的であると思わせる

  ような説明をする



 ○ 募集要綱には男女を共に募集すると記載しているのに、会社説明会やセミナー

  会場では「今年は女性の採用予定はない」と口頭で説明する





(2) チェックポイント

◆1◆
 会社説明会やセミナーの開催案内の送付や参加受付が男性に限って行われている、

総合職希望者に対する会社説明会やセミナーへの参加が男性に限定されていたり、女

性については参加できる人数に制限が設けられている、ということがありませんか

  会社説明会やセミナーを実施する際に、開催案内の送付や参加受付を男性に限っ

 て行うことは、女性は会社説明会やセミナーに参加できず、募集及び採用に係る情

 報提供の対象から排除されることになります。
  また、総合職の会社説明会やセミナーへの参加を男性に限定したり、女性の参加

 できる人数に制限を設けることは、女性を一定の職種の募集及び採用に係る情報提

 供の対象から排除することになります。いずれの場合も改善が求められます。



◆2◆
 総合職を希望する女性に一般職の会社説明会の開催案内を行う等、女性には希望す

る職種と異なる職種の説明会の案内が行われていませんか

  女性は一般的に事務に向いており勤続年数も短いので一般職として採用する、と

 いう方針のもとに、女性には一般職の会社説明会の案内しか行わないなど、「一般

 的に又は平均的に女性はこうだから」という理由で、女性に対して男性と異なる取

 扱いをすることも、女性に対する差別として禁止されています。
  総合職を希望する女性に会社が一方的に一般職の会社説明会の案内を行う等、女

 性が参加できる会社説明会を限定することは、一定の職種の募集及び採用に係る情

 報提供の対象から女性を排除することになるため、情報提供において男女異なる取

 扱いとなっており、改善が求められます。



◆3◆
 会社説明会やセミナーの実施日を男性と女性で別々に設け、女性に対する会社説明

会が男性より遅く実施されていたり、実施会場を男性と女性とで異なる場所とされて

いませんか

  会社説明会やセミナーを複数回実施する場合に、実施日や会場を男女別に設定す

 ることは、たとえ説明する内容が同一であったとしても、一部の説明会の対象から

 女性が排除されることになり、結果として得られる情報が男女で異なることが予測

 されるので、男女別に開催すること自体が問題であり、改善が求められます。
  また、実施時期についても、男性に対する説明会が女性に対する説明会より早い

 場合だけでなく、女性に対する説明会が男性より早い場合も均等法に違反します。



◆4◆
 会社説明会やセミナーの会場で配付する資料が男性と女性とで異なっていたり、男

性からの質問を優先させ、男性に対してのみ追加的な説明が行われていませんか

  会社説明会やセミナーにおいて配付する資料が男性と女性とで異なっていること、

 会社説明会終了後に男性の参加者のみを集めて補足説明を行うことなどは、提供さ

 れる情報内容や情報量が異なり、男女異なる取扱いとなっており、改善が求められ

 ます。
  また、学生からの質問がその企業を選択する重要な判断基準となる場合もあるの

 で、質問時間等を設けた場合には、男女を問わず質問や意見に対して公平に対応す

 る必要があります。


◆5◆
 会社説明会やセミナーにおいて、女性の採用について消極的であると思わせるよう

な説明が行われていませんか

  募集要綱等で形式的には男女を募集の対象としているにもかかわらず、会社説明

 会において「女性の採用数は少ない」と説明したり、「女性はすぐに辞めるので期

 待できない」などと女性の採用について消極的であると思わせるような説明を行う

 ことは、実質的に女性を排除していることになり、改善が求められます。
  会社説明会やセミナーで説明された内容は、参加者がその企業を分析する際に大

 きな影響をもたらします。
  担当者は不用意な発言や差別的な説明をすることがないように、均等法の趣旨に

 ついてよく理解し、事前の準備が必要です。





(3)改善の方向

● 会社説明会やセミナーでは、資料では伝えきれない詳細な情報が提供されたり、

 企業によっては、参加者に応募用紙を配ったり、会社説明会やセミナーに参加する

 ことを応募条件としている場合もあるため、会社説明会やセミナーへの参加の可否

 は、学生にとって大きな意味があると思われます。採用担当者は、会社説明会やセ

 ミナーへの参加の機会を男女に均等に与え、選考のスタートラインで女性を排除す

 ることのないようにしてください。

● 参加申込みの電話等の対応は、採用担当者以外の者が受ける場合も比較的多いの

 で、応募受付に当たっての留意事項を応募受付マニュアルや電話対応の手引きとし

 てまとめ、事前に関係者全員に説明するなどして、男性又は女性のどちらか一方に

 会社説明会やセミナーの開催案内を行わなかったり、参加できる日程を限定するこ

 とがないよう、徹底させてください。

● 会社説明会やセミナーを実施するに当たっては、事前に実施方法や説明内容につ

 いて十分な検討を行い、均等法の観点から問題がないかを確認する必要があります。

 担当者にはできる限り女性を含めるなどして、男女差別的な内容となっていないか

 どうかを検証するとよいでしょう。
  特に、会社説明会やセミナーでの説明が均等法に違反した内容であったり、男女

 役割分担意識や差別意識に基づく発言であったりしないよう、説明内容のレジュメ

 や説明資料を作成して担当者に配付したり、男女均等な採用方針の徹底や男女均等

 取扱いに対する理解を深めるための事前の研修等を行うことも重要です。

● 会場の都合等で参加人数を限定しなければならない場合には、先着順や募集職種

 等、性別ではない基準で行い、あらかじめ提示するようにしてください。
  また、会場で資料等を配付するときは男女同一なものを準備するとともに、男性

 からの質問に対する回答を女性より優先させることなく、参加者からの質問に対し

 ては男女の区別なく公平に対応しなければなりません。

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