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II「情報提供」について

(1)基本的な考え方

 募集及び採用に係る情報には、求人内容を説明している募集要綱や求人票のほか、

従業員を募集及び採用する目的で提供される会社案内等の資料が含まれます。これら

の情報を提供する際に、(1)その対象から女性を排除すること、(2)情報の提供時期や

情報の内容等を男女で異なる取扱いとすること、(3)その対象を女性のみとすること

は、均等法に違反します。

 <均等法に違反する情報提供の事例>



 ○ 男性には資料請求がなくても会社案内を送付するが、女性には資料請求があっ

  た場合にのみ送付する



 ○ 会社案内等の資料請求があった場合に、男性にのみ送付し、女性には送付しな

  い



 ○ 会社案内等の資料請求があった場合に、男性を優先して送付する



 ○ 就職情報誌に求人情報を掲載するに当たり、就職情報誌会社に男性にのみ資料

  を送付するよう指示する



 ○ 就職情報誌に求人情報を掲載するに当たり、就職情報誌会社に男性と女性とで

  資料の送付時期をずらすように指示する



 ○ 資料の請求先が男性と女性で異なる



 ○ 募集要綱や会社案内等の内容を、男性には詳細なもの、女性には簡素なものと

  する



 ○ 会社案内等を送付する際に、男性にのみエントリーシートを同封する



 ○ 「カメラマン」、「スチュワーデス」など、男性又は女性を表す名称で募集職

  種を表示する



 ○ 会社案内や情報誌等で、「男性歓迎」、「男性向きの職種」など、女性の採用

  に対して消極的であると思わせるような表現をする





(2)チェックポイント

◆1◆
 資料請求があっても女性には送付しないことや、男性には資料請求がなくても会社

案内等を送付するが、女性には資料請求があった場合にのみ送付しているといったこ

とがありませんか


  募集要綱や会社案内等の募集及び採用に係る情報の提供については、女性に対し

 て男性と異なる取扱いをしてはなりません。資料請求があった場合に、男性には送

 付するが、女性には送付しないということは、情報の提供において女性がその対象

 から排除されていることになり、改善が求められます。
  また、求職者データ等を利用して、男性には資料請求がなくても一方的に資料を

 送付するが、女性には資料請求があった場合にのみ送付することは、資料請求をし

 た女性には送付しているのだから問題はないのではないかと思われがちですが、女

 性のみに資料を入手するための行為が求められており、情報提供において男女で異

 なる取扱いがされていることになるので、改善が求められます。
  就職情報誌等に求人情報を掲載する際は、資料請求への対応等において、男女均

 等な取扱いをするよう、就職情報誌会社等に依頼する必要があります。


◆2◆
 会社案内等の資料の送付時期が女性は男性より遅くなっていませんか

  女性への資料送付時期を一律に男性より遅くすることは、たとえ提供する情報の

 内容が同一であったとしても、男性の応募の後に女性の応募を受け付けることにな

 り、ひいてはその後の採用面接・試験の受験において女性が制約を受けることにも

 つながりかねず、改善が求められます。
  資料の送付等の情報提供は、先着順に行うなど男女同一の取扱いをする必要があ

 ります。


◆3◆
 男性には詳細な募集要綱と会社案内を送付し、女性には簡単な募集要綱のみを送付

する等、提供する情報の種類や内容が男女で異なるものとなっていませんか

  男性と女性とで異なる資料を提供すること、男性にのみ追加的な資料を送付する

 こと等は、男性と女性とで提供される情報内容や情報量が異なり、男女で異なる取

 扱いとなっており、改善が求められます。会社案内等の資料を送付する際は、男女

 を問わず、対象者全員に同一内容の情報を提供しなければなりません。
  女性をはじめから採用しないという方針で、女性には形式的に資料を送付するだ

 けということも均等法に違反します。


◆4◆
 募集要綱や就職情報誌の求人情報等において、男性又は女性を表す名称で募集職種

を表示していたり、男女どちらか一方を採用対象としているような表現がされていま

せんか

  募集要綱や就職情報誌の求人案内等において、「カメラマン」、「スチュワーデ

 ス」など男性又は女性を表す職種の名称で募集職種を表示したり、「男の意欲が勝

 負」、「女性向きの職種」などと、男性又は女性の一方を優遇していると思わせる

 ような表示をすることは、実質的に男性又は女性の一方を排除することになり、改

 善が求められます。
  また、一方の性に偏った職場を強調する表現をすることで、男性又は女性の一方

 の性の応募を期待する意識がある場合は、改める必要があります。


<参考> 資料請求に対して資料が送付された割合

図 資料請求に対して資料が送付された割合



(3)改善の方向

● 就職を希望する学生にとって、募集及び採用に係る情報の収集は、その後の就職

 活動に大きな影響を及ぼすことから、大変重要なステップであるといえます。
  企業は学生側のこうした状況を理解した上で、資料の送付部数を限定するのであ

 れば、先着順又は一定の専攻分野を対象として送付する等、性別に関係のない男女

 共通の基準を設けて、対象となる男女に対して一律に同一内容の情報を提供する必

 要があります。

● 最近は就職活動にインターネットが活用されることが多くなっています。資料請

 求等の段階において、企業側が資料を送付する予定がないのにもかかわらず「すぐ

 に送る」と説明したり、女性に対して男性と異なる資料を送付したりすることは、

 就職希望者に強い不信感を抱かせるだけでなく、「差別的な取扱いを受けた」とい

 う情報がネット上で公開されることもあり、結果的に企業の信用や社会的評価を落

 とすことにもなりかねません。優秀な人材を確保するためにも、情報提供は男女同

 一の取扱いとするよう心掛けてください。

● また、会社案内等の資料やホームページを作成する場合に、男性又は女性を表す

 名称で募集職種が表示されていたり、男性又は女性の一方を優遇すると思わせるよ

 うな表示がされている場合には、男女均等な表示としてください。また、男性だけ

 でなく女性社員の写真やコメントも掲載するなど、男女に均等な募集及び採用の機

 会が開かれた企業であることがわかるような表現に配慮してください。

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