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資料4 



リーフレット「職場におけるセクシュアルハラスメントの防止に向けて」







       「我が社に限って・・」と思っていませんか

      職場のセクシュアルハラスメントを起こさないために



 セクシュアルハラスメントは、その対象となった女性労働者の個人としての尊厳を

不当に傷つけ、能力発揮を妨げるとともに、企業にとっても職場秩序や業務の遂行を

阻害し、社会的評価に影響を与える問題であり、社会的に許されない行為であること

は言うまでもありません。

 男女雇用機会均等法第21条において、職場におけるセクシュアルハラスメントの

防止のために事業主は雇用管理上必要な配慮をしなければならないと規定されており、

事業主が配慮すべき事項については、厚生労働大臣の指針において定められています。





◇ 男女雇用機会均等法第21条

   事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者

  の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的

  な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必

  要な配慮をしなければならない。



◇ セクシュアルハラスメントのない職場にするために事業主が雇用管理上

  配慮すべき事項(厚生労働大臣の指針)





   次の3項目は、業種や規模を問わずすべての事業主に義務づけられています。



  (1) 職場におけるセクシュアルハラスメントを許さないという事業主の方針の

    明確化と周知・啓発

  (2) 相談・苦情への対応のための窓口の明確化と、相談・苦情への適切かつ柔

    軟な対応

  (3) 職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合の、迅速かつ適切な

    対応



   事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を明確化し、

  労働者に対してその周知・啓発をすることについて配慮しなければなりません。







就業規則・労働協約等の書面で方針を明確化しましょう



 セクシュアルハラスメントを許さないという事業主の方針を、社内報等で1回取り

上げただけでは、時間がたつにつれて印象が薄れてしまいかねません。

セクシュアルハラスメントを許さないことを社内ルールとして従業員に徹底させるた

めには、就業規則等への記載や労働協約の締結等書面による明確化が効果的です。

 「就業規則等の規定例」を参考に、書面での方針の明確化に努めてください。

 また、社内の従業員研修のプログラムにセクシュアルハラスメント防止に関する講

習を組み込む等、定期的な啓発研修の実施にも努めましょう。





   事業主は、

    (1)相談・苦情への対応のための窓口を明確にすること

    (2)相談・苦情に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するこ

       とについて配慮しなければなりません。







相談・苦情窓口は実質的に相談しやすいかどうか点検しましょう



 「相談窓口は設けているが、一件も相談が寄せられない」という場合、社内でセク

シュアルハラスメントが起きていないからではなく、相談しづらい窓口となっている

可能性があります。必要に応じ女性労働者の意見も聞きながら、相談担当者、相談窓

口の設置場所等について十分検討し、安心して相談できる窓口を工夫しましょう。



   事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた場合において、

    (1)その事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること

    (2)その事案に適正に対処することについて配慮しなければなりません。







事後の対応方法をあらかじめ定めておきましょう



 セクシュアルハラスメントが発生した場合には、迅速・適切に対応しなければなり

ません。放置したり、対応を誤ったりすれば問題がこじれるだけではなく、再び同様

の問題を引き起こすことになりかねません。

 そのためには、問題が生じた場合の担当部署や対応の手順などを、あらかじめ明確

に定めておく必要があります。





相談・苦情への対応の流れ





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迅速な事実確認



 相談を受けたときは、初期の段階での迅速な対応が必要です。放置しておくと、被

害を拡大させてしまいます。





 ○ 事実を確認するため、迅速に事情聴取を行いましょう

  □ 相談者、加害者とされた者から、事実確認のための事情聴取を行います。場

   合によっては職場の同僚等の第三者からの事情聴取も必要です。



  □ 事実確認は、被害の継続、拡大を防ぐため、相談があったら迅速に開始しま

   しょう。



  □ 一方の言い分のみを聞くのではなく、双方の主張を公平に聴取し判断するこ

   とが必要です。



  □ 事実確認の前であっても、相談者の心身の状態等を考慮して、とりあえず当

   事者を引き離す等の応急措置が必要な場合もありますので注意しましょう。



  □ 当事者双方のプライバシーを尊重し、事実確認などで知り得た個人的な秘密

   は厳守しなければなりません。







事実に基づく適正な対処



 セクシュアルハラスメントがあったと認められた場合には、必要に応じて加害者へ

の制裁を含め、雇用管理上の措置をとることになります。





 ○ 事実に基づき、事案に応じた措置を講じましょう

  □ 性的な冗談を言う等の行為を繰り返し、セクシュアルハラスメントに対する

   理解が不足している場合には、行為者に対し、そうした言動が職場環境や秩序

   の悪化を招く行為であることを説明し、注意を促しましょう。



  □ 両当事者を同じ職場で勤務させることが適切でないと判断される場合には、

   配置転換などにより当事者を引き離す、机の配置を変えたり業務の担当を変更

   し、直接接触しないようにするなどの配慮が必要です。



  □ 相談者が労働条件などで不利益を受けている場合は、その回復を図ります。



  □ 当事者同士の考え方を伝えてわだかまりを解く等、当事者間の関係を改善す

   るための配慮を行いましょう。



  □ 相談者の精神的なショックが大きく、メンタルケアが必要な場合は、専門家

   の指示に基づいて企業としての必要な配慮をすることが求められます。



  □ 対応を進めるに当たっては、相談者に十分に説明しながら行いましょう。

   企業としての最終的な処置についても、相談者に十分な説明を行い、問題解決

  と再発防止のために企業が真摯な努力をしたことを理解させることが重要です。





 ○ 行為者への制裁は、公正なルールに基づいて行う必要があります

  □ セクシュアルハラスメントの内容、程度により、行為者を懲戒処分の対象と

   する場合もあります。その場合には、前もって就業規則に懲戒規定を設け、懲

   戒事由、懲戒の種類と程度を明らかにしておく必要があります。



  □ 懲戒処分を行うに当たっては、セクシュアルハラスメントの程度に応じ、他

   の懲戒事由との均衡を図りながら慎重かつ公正に行わなければなりません。



  □ 温情的な処分の結果、問題が再発した場合は、適切な処置を怠ったとして企

   業が強く責任を問われることにもなりかねません。



  □ 従業員に対し、セクシュアルハラスメントが懲戒処分の対象となることを日

   頃から周知しておくことは、迅速な対応を図る上でも、またセクシュアルハラ

   スメントの発生を防止する上でも効果的です。







参考



懲戒処分の種類

 ○けん責(または訓戒) ○減給 ○出勤停止 ○昇給停止

 ○降格 ○配置転換   ○解雇 ○諭旨退職 ○懲戒解雇



 □ 減給については、1回の懲戒事案の減給の額が平均賃金の1日分の半額を超え、

  また、その総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはなりません。



 □ 即時解雇する場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支給しなけ

  ればなりません。また、労働基準法第20条第1項但書の労働者の責めに帰すべ

  き事由に基づいて解雇する場合に該当するとして、解雇予告手当の支払いなしに

  即時解雇する場合には、あらかじめ、所轄の労働基準監督署長に解雇予告除外認

  定に係る申請を行い、その認定を受けなければなりません。



 □ 上記に関することは、労働基準監督署におたずねください。









再発防止のための取組



 ○ 企業全体で再発防止に努めましょう

  □ セクシュアルハラスメントが起こった場合には、従業員全員に対してセクシ

   ュアルハラスメントは許さないという事業主の方針を徹底させることが重要です。



  □ 管理職を始めとする従業員研修等を実施し、再度周知を図ります。



  □ 各職場の管理職者は、セクシュアルハラスメントが生じていないか十分注意

   を払い、職場環境を害する言動を見逃さない目配りも必要です。





 ○ 働きやすい職場にするために、職場環境を見直しましょう

  □ 事実確認の結果、セクシュアルハラスメントの事実が確認されなかった場合

   でも、働きやすい職場にするために、女性が不快に思うような言動が日常的に

   行われていないか職場環境を点検し、改善しましょう。



  □ セクシュアルハラスメントの相談をした従業員をトラブルメーカーとして扱

   っていないか、また、社内で相談をしづらい雰囲気となっていないか、相談・

   苦情への対応状況を再検討することも必要です。









就業規則等の規定例



◇就業規則等(服務規定)への記載例(方針の明確化)

 第○条(服務心得)社員は、勤務に当たって、常に次の事項を守らねばならない。

  (1)〜(5) 略

  (6) 社員は、勤務場所等において、他の社員等(当社社員、当社に派遣され業

    務を行っている者、出向先・取引先の社員を含む)に対し性的言動を行い、

    就業に影響を与えたり、秩序や風紀を乱すような性的言動を行ってはならない。



 第○条(社員の責務)

  (1)〜(3) 略

  (4) 社員は、セクシュアルハラスメント(他の者を不快にさせる職場における

    性的な言動、及び社員が他の社員を不快にさせる職場外における性的な言

    動)をしてはならない。

  (5) 社員を監督する地位にある者は、良好な勤務環境を確保するため、日常の

    指導等によりセクシュアルハラスメントの防止及び排除に努めるとともに、

    セクシュアルハラスメントに起因する問題が生じた場合には、各職場におい

    て迅速かつ適切に対処しなければならない。



 第○条(セクシュアルハラスメントの防止)

  (1) 社員は、互いに協力して快適な職場環境づくりと職場秩序の維持に努めな

    ければならない。

  (2) 社員は、セクシュアルハラスメントに該当するおそれのある次の各号を行

    ってはならない。



    1.相手の意に反する性的な冗談等を言うこと。

    2.性的な噂、経験談を相手の意に反して話したり、尋ねたりすること。

    3.ひわいな写真・絵画類等を見ることの強要や配付、掲示を行うこと。

    4.業務遂行に関連して相手の意に反する性的な言動を行うこと。

    5.その他、相手の望まない性的言動により、円滑な業務の遂行を妨げると

      判断されること。



 第○条(職場における規律保持) 社員は、次の事項を守り、職場の秩序を保持し、

 誠実にその業務を遂行しなければならない。

  (1)〜(5) 略

  (6) 相手方の望まない性的言動により、他人に不利益や不快感を与えたり、職

    場の環境を悪くするようなことをしてはならない。





◇倫理規程の策定例(方針の明確化)



 我々○○会社役員及び社員は、公明正大な事業活動を通じて会社の利益の拡大を図

ることを目指して、ひとりひとりが高い倫理観のもと、下記の行動マニュアルを遵守

する。



 1.法令・規定の遵守と人権の尊重

  (1) 社会の一員としての責務を自覚し、諸法令に常に注意を払い、適法な事業

    活動を行う。

  (2) 就業規則をはじめとする諸規定を遵守する。

  (3) 人権を尊重し、人種、信条、宗教、国籍、年齢、性別、出身、身体の障害

    などに基づく差別を行わないとともに、セクシュアルハラスメントを許さない。



 (以下略)







◇就業規則等(懲戒規定)への記載例

 第○条(けん責又は減給事由) 次の各号の一に該当する者は、けん責又は減給に

 処する。

  (1)〜(5) 略

  (6) 会社内において他の社員の業務に支障を与えるような性的な言動を行うな

    ど、社内の秩序や風紀を乱した者。



 第○条(出勤停止又は降格事由) 次の各号の一に該当する者は、出勤停止又は降

 格とする。ただし、情状によりけん責又は減給にとどめることがある。

  (1) 前条の行為が再度に及んだ者またはその情状が悪質と認められた者。

  (2)〜(5) 略

  (6) 役職者において、セクシュアルハラスメントを把握しながら放置したり、

    その監督が不十分であったため所属従業員にセクシュアルハラスメントを発

    生させた者。



 第○条(懲戒解雇事由) 次の各号の一に該当する者は、懲戒解雇とする。ただし、

 情状により降格、出勤停止又は諭旨退職にとどめることがある。

  (1) 略

  (2) 他の社員に対して不当に退職を強要した者(セクシュアルハラスメントに

    よって退職を余儀なくされたケースを含む)。

  (3) 会社の秩序を乱すような噂や流言飛語を行った者(職場にいられないよう

    な噂を流すようなセクシュアルハラスメントのケースを含む)。

  (4) 会社内において暴行・脅迫・監禁・賭博、その他社内の秩序を乱すことを

    した者(性的な強要などセクシュアルハラスメントのケースを含む)。

  (5) 職責など立場を利用して性的な関係を強要した者。



 第○条(けん責または減給理由)

  (1)〜(9) 略

  (10) セクシュアルハラスメントの問題により、他の社員などに不利益を与える、

    または、就業環境を害することで会社が懲戒に当たると認めた場合。

     セクシュアルハラスメントによる影響の程度が重い場合には、第○条(出

    勤停止または降格理由)および第○条(諭旨退職または懲戒解雇理由)も適

    用されます。





◇現在の就業規則の懲戒事由にセクシュアルハラスメントも含まれることを従業員に

 周知する場合の例



  セクシュアルハラスメントを行った当社社員は、以下の就業規則の規程に基づき

 懲戒の対象になります。互いを尊重し、セクシュアルハラスメントのない快適な職

 場をつくりましょう。



 第○条(服務心得) 服務に当たっては、次の事項を守らなければならない。

  (5) 同僚相敬愛し互いに協力すること。

  (6) 規律を重んじ秩序を保つこと。

  (7) 職務上の権限を越え、又はこれを濫用して専断的な行為をしないこと。

  (8) 社内及び社外において、当社の名誉又は信用を傷つけるような行為をしな

    いこと。



 第○条(懲戒) 社員が次の各号の一に該当するときは懲戒する。

  (5) 他人に対し暴行脅迫を加え、又はその業務を妨害したとき。

  (8) その他、第○条服務心得に違反する行為があったとき。


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