タイトル:労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針について 発 表:平成11年4月30日(金) 担 当:労働省労働基準局安全衛生部安全課 電 話 03-3593-1211(内線5488) 03-3502-6754(夜間直通) :労働省労働基準局安全衛生部計画課 電 話 03-3593-1211(内線5550) 03-3502-6753(夜間直通)
本日、労働省は「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(平成11 年労働省告示第53号。以下「指針」という。)」を公表した。 労働安全衛生マネジメントシステム(以下「システム」という。)は、事業者 が労働者の協力の下に、「計画−実施−評価−改善」という一連の過程を定めて、 連続的かつ継続的な安全衛生管理を自主的に行うことにより、事業場の労働災害 の潜在的危険性を低減するとともに、労働者の健康の増進及び快適な職場環境の 形成の促進を図り、事業場における安全衛生水準の向上に資することを目的とす る新しい安全衛生管理の仕組みである。 こうした新しい安全衛生管理に関する仕組みは、国際的にも新たな潮流を形成 しつつあり、イギリス等が既に指針を定めているが、ILO(国際労働機関)に おいても国際的指針の策定に向けた取組みが進行している。 労働省では、今後、システム普及促進事業等を通じて本指針の周知を図り、事 業場における安全衛生水準の向上を図るとともに、ILOにおいて検討されてい る国際的指針の策定について積極的に協力して行くこととしている。 1 指針制定の趣旨 労働災害の減少率に鈍化の傾向がみられている中で、安全衛生管理のノウハ ウを蓄積したベテランの担当者が定年等により退職する時期を迎えており、事 業場において安全衛生管理のノウハウが十分に継承されないことにより、事業 場の安全衛生水準が低下し、労働災害の発生につながるのではないかというこ とが危惧されている。 また、労働災害が減少していく中で、事業場によっては年間を通して無災害 であることも珍しくなくなりつつあるが、無災害である職場でも「労働災害の 危険性のない職場」であることを必ずしも意味するものではなく、労働災害の 危険性が内在しているおそれがあることから、この潜在的危険性を減少させる ための継続的な努力が求められている。 一方、健康診断における有所見者の増加、高年齢労働者の増加等に伴って、 労働者の健康の増進及び快適な職場環境の形成の促進が求められている。 このような中で、今後、労働災害の一層の減少を図っていくためには、事業 場において「計画−実施−評価−改善」という一連の過程を定めて、連続的か つ継続的に実施する安全衛生管理に関する仕組みを確立し、生産管理等事業実 施に係る管理に関する仕組みと一体となって適切に実施され、運用されること が重要である。 また、諸外国の状況を見ると、イギリス、オランダ、オーストラリア等にお いて、「労働安全衛生マネジメントシステムの指針」等が公表されているほか、 他のいくつかの国々においてもその開発が進められており、こうした安全衛生 管理に関する仕組みは、国際的にも新たな潮流を形成しつつある。(別紙1) このような状況を踏まえ、今般、指針を公表し、関係労使の協力の下、事業 場におけるシステムの確立に資することとしたものである。 2 指針の目的 この指針は、事業者が事業場においてシステムを確立しようとする際に必要 とされる基本的事項を定め、事業者が労働者の協力の下に行う自主的な安全衛 生活動を促進し、事業場における安全衛生の水準の向上に資することを目的と している。 3 システムの概要 システムの過程は、概ね次のとおりである。また、システムにおいては、安 全衛生管理が継続的に実施されるよう、主要な過程は手順を定めるとともに、 文書にして管理するほか、これをより有効なものとするよう、労働者の意見を 聴取し、反映することとされている。(別紙2) (1)安全衛生方針を表明する。 (2)機械、設備、化学物質等の危険又は有害要因を特定し、それを除去又は低 減するための実施事項を特定する。併せて、労働安全衛生関係法令に基づき 実施事項を特定する。 (3)安全衛生方針に基づき、安全衛生目標を設定する。 (4)安全衛生目標を達成するため、上記(2)で特定された実施事項等を内容 とする安全衛生計画を作成する。 (5)安全衛生計画を実施及び運用する。 (6)安全衛生計画の実施状況等の日常的な点検及び改善を行う。 (7)システム監査を実施し、必要な改善を行う。 (8)定期的にシステムの全般的な見直しを行う。 (9)(1)から(8)までを連続的かつ継続的に実施する。 4 指針の普及促進 労働省では、指針の普及促進を図るため、指針の説明会を開催するほか、事 業場においてシステムを担当する者向けに、システムのそれぞれの過程におい て実施すべき事項の例等を示したテキストを開発することとしている。 (別紙3)