[同指針の概要] 1 趣旨 本指針は、事業場におけるメンタルヘルスケアが適切かつ有効に実施されるため、 その原則的な実施方法について総合的に示したものであり、各事業場の実態に即し た形で実施可能な部分から取り組んでいくことが重要である。 2 メンタルヘルスケアの基本的考え方 (1)事業場におけるメンタルヘルスケアの重要性 職場には労働者の力だけでは取り除くことができないストレス要因が存在して いるため、事業者の行うメンタルヘルスケアの積極的推進が重要であり、労働の 場における組織的かつ計画的な対策は、心の健康の保持増進を進める上で大きな 役割を果たす。 また、事業場におけるメンタルヘルスケアは、労働者の健康の保持増進を図る 上で重要な活動である。 (2)メンタルヘルスケアの推進に当たっての留意事項 心の健康については、プライバシーの保護及び労働者の意思の尊重に留意する ことが重要である。また、人事労務管理と関連する要因によって影響を受けるた め、人事労務管理と連携する必要がある。家庭・個人生活等の影響を受けている 場合も多い。 3 心の健康づくり計画 メンタルヘルスケアは、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるよ うにすることが重要である。このため、事業者は、衛生委員会等において調査審議 し、事業場の心の健康づくりに関する職場の実態とその問題点を明確にするととも に、その問題点を解決する具体的な方法等についての基本的な計画 (「心の健康 づくり計画」)を策定すること。 心の健康づくり計画で定める事項は次のとおりである。 <1> 事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること <2> 事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること <3> メンタルヘルスを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関 すること <4> 労働者のプライバシーへの配慮に関すること <5> その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること 4 メンタルヘルスケアの具体的進め方 本指針においては、メンタルヘルスケアを4つのケアに分類する。 <1> セルフケア(労働者が自ら行うストレスへの気づきと対処) ・ 事業者は、労働者に対してセルフケアに関する教育研修、情報提供等を行う こと。 ・ 事業者は、労働者が自ら相談を受けられるよう必要な環境整備を行うこと。 <2> ラインによるケア(管理監督者が行う職場環境等の改善と相談への対応) ・ 管理監督者は、作業環境、作業方法、労働時間等の 職場環境等の具体的問 題点を把握し、改善を図ること。 ・ 管理監督者は、個々の労働者に過度な長時間労働、過重な疲労、心理的負荷、 責任等が生じないようにする等の配慮を行うこと。 ・ 管理監督者は、 日常的に、労働者からの自主的な相談に対応するよう努め ること。 ・ 事業者は、管理監督者に対する心の健康に関する教育研修等を行うこと。 <3> 事業場内産業保健スタッフ等によるケア(産業医等による専門的ケア) ・ 事業場内産業保健スタッフ等は、 職場環境等について評価し、管理監督者 と協力してその改善を図るよう努めること。 ・ 産業保健スタッフ等は、労働者のストレスや心の健康問題を把握し、保健指 導、健康相談等を行うこと。 また、専門的な治療を要する労働者への適切な 事業場外資源を紹介し、また、心の健康問題を有する労働者の職場復帰及び 職場適応を指導及び支援すること。 ・ 事業者は、事業場内産業保健スタッフ等に対して、教育研修、知識修得等の 機会の提供を図ること。 <4> 事業場外資源によるケア(事業場外の専門機関によるケア) ・ 事業者は、必要に応じ、 それぞれの役割に応じた事業場外資源を活用する ことが望ましい。