参考資料 3.環境たばこ煙(ETS)評価のためのマーカーの条件に関する文献

D.J.Moschandreas, K.L.Vuilleumier: ETS levels in hospitality environments

 satisfying ASHRAE standard 62-1989; "ventilation for acceptable indoor air 

quality", Atmospheric Environment, 33,p4327-4340, 1999

 環境たばこ煙(ETS)の暴露評価には、ETSのマーカーの測定が必要であるが、NAS 

(national academy of sciences)は、ETSのマーカーとして満足すべき要件として次

の4項目を挙げている。(1990)



  I.ETSに特異的であること

  II.喫煙率が低くても室内で容易に検知できること

  III.発生割合が、たばこの種類に大きく依存しないこと

  IV.ほかのETS構成物質と一定の割合にあること



 RSP (respirable suspended particulate:2.5um以下の粒子)については、その半

分は屋内の発生源によるが、屋外の発生源による寄与も大きい。そのため特異性に欠

けるが、比較基準としてよく用いられる。ニコチンについては、たばこ煙からのもの

であるため特異性があり、比較的容易に検出できる点ではマーカーとしての要件を満

たしている。一方、ニコチンは空気中でガス状と粒子状で存在し、ガス状のニコチン

は、発生後、急速に減衰するため4の要件を満足しない。しかし、マーカーとして良

く使用されている。

 最近、RSPの成分として、UVPM (ultraviolet particulate matter)、FPM 

(fluorescent particulate matter)、Solanesol/SolPM(triesquiterpenoid alcohol

/MW=631)の3つの分析法による数値が利用されている。これらは、RSPの様に単に粉

じんの総重量ではなく、たばこ中のタールの含有率や特異的な不揮発性物質に注目し

たものであり、マーカーとして注目される。

 本検討では、マーカーとして使用されることが多いニコチン、RSP、UVPM 、FPM 、

SolPM、3-EP (3-ethenylpyridine)の6つのETS成分についてマーカーとしての有用

性について検討を行った。その結果、ETSのマーカーとしてニコチンとRSPはある限界

を持っているが良いマーカーと考えられる。また、UVPM 、FPM 、SolPM、3-EPにつ

いても良いマーカーと考えられる。

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