(資料3) 平成10年度家内労働調査結果報告の概要 この調査(家内労働概況調査、家内労働実態調査)は、家内労働者、委託 者等の概数及び家内労働者の労働条件等家内労働の実態を把握するために、 平成10年10月に実施したものである。 調査結果の概要は以下のとおりである。 1 家内労働概況調査 ※ 都道府県労働基準局が把握している委託状況届等をもとに、委託者及 び家内労働者数等の概数について集計したものである。 (1)家内労働者数は41万9,014人で、引き続き減少 @ 平成10年10月1日現在の家内労働者数は41万9,014人で、前年に比べ 4万3,266人の減少となった。 また、家内労働補助者は、2万68人で、家内労働者に補助者を加えた 家内労働従事者数は43万9,082人となっている。 家内労働者数をみると、昭和45年から48年まではほぼ横ばいで48年の 184万4,400人をピークに減少に転じ、以後減少を続けている。
A 家内労働者を男女別にみると、男性が2万9,513人(家内労働者総数に 占める割合7.0%)、女性が38万9,501人(同93.0%)となっている。前年に 比べると、男性は2,259人、女性は4万1,007人の減少なっている。 B 業種別にみると、「衣服・その他の繊維製品」が15万6,903人(同 37.4%)と最も多く、次いで「電気機械器具」が8万2,649人(同19.7%)、 「その他(雑貨等)」が5万2,883人(同12.6%)、「繊維工業」が3万2,854 人(同7.8%)となっており、これら4業種で全体の約8割を占めている。 業種ごとに前年度と比較すると、「金属製品」については357人の増加 となっているものの、その他の業種では減少となっている。
C 家内労働者を類型別にみると、「専業的家内労働者」が2万4,221人( 同5.8%)、「内職的家内労働者」が39万798人(同93.2%)、「副業的家内 労働者」が3,995人(同1.0%)となっている。これらの構成比は、前年に 比べ、あまり変化がみられない。 (2)委託者数は2万9,462人で、9割以上が製造・販売業者 委託者数は2万9,462人で、製造・販売業者が2万7,735人(委託者総数 に占める割合94.1%)、請負業者が1,727人(同5.9%)となっている。 委託者数は前年に比べ2,883人の減少で、家内労働者同様年々減少し ており、昭和45年に比べて74.0%の減少となっている。 2 家内労働実態調査 ※ 全国の家内労働者の中から一定の方法で抽出した家内労働者約4,000 人(回収率96.7%)を対象に、通信調査の方法で実施したものである。 なお、実態調査については、家内労働者調査と委託者調査を毎年交互 に実施している。 (1)家内労働者の平均年齢は53.2歳、平均経験年数は12.0年 家内労働者全体の平均年齢は53.2歳で、男性は60.8歳、女性は52.6 歳となっており、類型別にみると、専業は57.2歳、副業は52.2歳、内 職は52.9歳となっている。 家内労働に従事してきた平均経験年数は12.0年であり、男性では 20.1年、女性では11.1年であった。類型別には、専業は26.0年、副業 は10.1年、内職は11.0年となっている。
(2)平均就業日数は18.5日、1日の平均就業時間数は5.5時間 平成10年9月における家内労働者1人当たり平均就業日数は18.5日で 、男性では20.7日、女性では18.3日である。類型別にみると、専業は 23.3、副業は17.9日、内職は18.2日となっている。 家内労働者1人当たりの1日平均就業時間数は5.5時間で、男性は8.1 時間、女性は5.3時間であり、類型別には、専業は9.3時間、副業は 4.0時間、内職は5.3時間となっている。 (3)1か月の平均工賃額は5万428円 平成10年9月分の家内労働者1人当たりの平均工賃月収額は5万428円 で、男性では16万2,323円、女性では4万2,135円であり、類型別には、 専業は19万5,194円、副業は4万7,348円、内職は4万1,638円となって いる。 なお、1か月の平均工賃額を1時間当たりに換算してみると512円で、 男性では877円、女性では485円であり、類型別には、専業は915円、 副業は724円、内職は484円となっている。
(4)家内労働を選んだ理由は「都合のいい時期・時間に働けるから」が 61.5% 家内労働者が家内労働を選んだ理由は、「都合のいい時期・時間に 働けるから」が61.5%と最も多く、次いで「家事・育児等のために外 に出て働けないから」が27.4%となっている。男性では、「都合のい い時期・時間に働けるから」30.8%で最も多く、次いで「外に出て働 きたいが適当な就職口がないから」が25.1%、女性では「都合のいい 時期・時間に働けるから」が63.7%と最も多く、次いで「家事・育児 等のために外に出て働けないから」が29.2%となっている。 (5)家内労働者の86.9%が現在の家内労働を継続希望 現在の家内労働を継続する意思の有無についてみると、「続けたい 」が86.9%、「やめたい」が13.1%であり、男女とも8割以上が継続意 思を持ち、「やめたい」は男性で16.4%、女性は12.8%である。 「続けたい」家内労働者の、現在の家内労働をする上で困っている ことの有無についてみると、「困っていることがある」者が51.4%と なっており、困っている内容で最も多いのは「工賃が安い」で67.7% 、次いで「仕事があったり、なかったりする」が59.2%、「納期に追 われる」が11.2%となっている。 「やめたい」家内労働者では、「困っていることがある」者は 84.5%にのぼっている。 「やめたい」家内労働者では、困っている内容で最も多いのは「 工賃が安い」で76.4%、次いで「仕事があったりなかったりする」が 44.2%、「納期に追われる」が19.4%となっている。