労働省発表
平成9年12月15日
    


労働省女性局女性労働課
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職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する
調査研究会報告について



 職場におけるセクシュアル・ハラスメントについては、本年6月に成立した男女雇用機会均等法等の改正法において、その防止のための事業主の配慮義務が規定されるとともに、配慮すべき事項について労働大臣が指針を定めることとされた。
 このため、職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関し、実態を把握し、指針に盛り込むべき事項についての検討を行うことを目的として、「職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する調査研究会」(座長 松田保彦横浜国立大学教授、女性局長参集の研究会)を開催し、検討を行ってきたが、今般その結果を取りまとめた。
 労働省としては、今後、この結果を踏まえ、指針案を作成し、女性少年問題審議会にお諮りする予定である。

添付資料

  1. 職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する調査研究会 名簿
      (別添1)
  2. 職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する調査研究会報告書概要
      (別添2)
(参考 改正男女雇用機会均等法関連条文)
第21条  事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性 労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当 該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をしなければならない。
 労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が配慮すべき事項についての指針を定めるものとする。



報告書のポイント

1 職場におけるセクシュアル・ハラスメントについて
  • 都道府県女性少年室における相談件数は急増しており、裁判例も増加傾向にある。
  • 発生の状況や態様が多様であり、職場におけるセクシュアル・ハラスメントに該当するか否かの判断は微妙かつ困難な場合がある。

  • 発生の原因として、企業の雇用管理において女性労働者が企業を支える重要な人材として位置づけられていないことや女性労働者を職場における対等なパートナーとして見ていないことに加え、性的関心の対象として認識する意識の在り方等が挙げられる。

  • 何らかの対応又は措置を必要と考える企業は9割を超えるが、現在防止措置を実施している企業は5. 5%であり、今後実施する予定又は検討中とする企業(14. 3%)を含めても2割に満たない。



2 指針策定のための提言について

(1)基本的考え方

 指針策定に当たっては、次のことに留意する必要がある。

  • 事業主が雇用管理上防止すべき対象としての職場におけるセクシュアル・ハラスメントの内容を、誤解のないよう明確にすること。
  • 事業主が必ず配慮すべき事項を簡潔に明示する一方、その実施方法については、企業の実態に応じて最も適切な措置が講じられるようにすること。


(2)職場におけるセクシュアル・ハラスメントの内容

 指針においては、法律に基づく内容を具体的に示すとともに、性的な言動の種類に応じた典型例を示すことが必要である。

(3)事業主が配慮すべき事項

 指針に定める、事業主が配慮すべき事項は次の3点とする。

  1. 企業方針の明確化とその周知・啓発を内容とする一般防止対策
  2. 相談・苦情への対応による未然防止対策
  3. 再発を防止する観点からの事後の迅速・適切な対応

 また、配慮すべき事項の実施方法は各企業がその実態に応じて最も適切と考えるものを選択するものとし、それぞれの項目について、次のような具体例が考えられる。

  1. 企業方針の明確化とその周知・啓発を内容とする一般防止対策
    (実施方法の具体例)
    • 社内報等各種広報・啓発資料によるもの
    • 従業員心得、必携等従業員の服務上の規律を示す文書の配布等
    • 就業規則等への記載
    • 研修、講習等の実施
  2. 相談・苦情への対応による未然防止対策
    (実施方法の具体例)
    • 相談・苦情処理窓口の明確化:
      • 相談者をあらかじめ決めておくこと
      • 苦情処理のための制度を設けること
    • 適切な対応:
      • 人事部門との連携により円滑な対応を図ること
      • あらかじめ相談の対応のマニュアル等を作成し、それに基づき対応すること
  3. 再発を防止する観点からの事後の迅速・適切な対応
    (実施方法の具体例)
    • 事実確認の方法:
      • 相談担当者、人事部門、専門の委員会等
    • 適正な対処:
      • 事案の内容・性質に応じた適宜の人事雇用管理上の対処
      • 就業規則の規定に基づき対処すること


 なお、事業主が1から3の措置を講ずるに当たっては、当事者のプライバシーの保護や相談・苦情等を申し出たことを理由として不利益な取扱いをしてはならないことに留意し、その旨従業員に周知することが必要。



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