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ダイオキシンの健康影響評価に関するワーキンググループ報告書概要
1.背景
現在、我が国におけるダイオキシン類のTDI(Tolerable Daily Intake, 耐容一
日摂取量)は、平成11年6月の厚生省(当時)の生活環境審議会、食品衛生調査会
及び環境庁(当時)の中央環境審議会においてとりまとめられた4pg/kg bw/日が適
当と評価されている。その後も海外におけるTDIの再評価の動向や国際学会等で発
表された新たな知見に基づき、再評価の必要性について検討を行ってきており、平成
12年12月に米国環境保護庁のダイオキシン類再評価ドラフト等について検討を行
った結果、「我が国におけるTDIの早急な再検討の必要性を示唆する知見は得られ
なかったが、今後とも引き続き検討する必要がある。」と報告している。
今般、昨年よりFAO/WHO食品添加物専門家会議や欧州委員会等で、ダイオキ
シン類の健康影響に関して検討が進められていることも踏まえ、厚生労働省としても
これらの動向も参考にしながら、薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策
部会長の下に標記ワーキンググループを設置し、我が国におけるTDIの再検討の必
要性について検討を行い、以下の結論を得たものである。
2.検討結果について
1)最低の毒性発現体内負荷量の根拠となるエンドポイントに関して、新たに考慮す
べき毒性知見は現時点では得られていない。すなわち、これまで根拠にしていた
ラット雌児の生殖器官の形態異常及び遅延型過敏症の抑制をエンドポイントとし
て求めた最低の毒性発現体内負荷量86 ng/kgは適当な値である。よって、それに
基づいて設定した我が国における現在のTDI:4pgTEQ/kgbw/日を早急に変更す
る必要性はない。
2)トータルダイエット調査に基づく食品からのダイオキシン類の平成10年度から
平成12年度の3年間の平均的な1日摂取量は、1.90pgTEQ/kgbw/日であり、
TDI:4pgTEQ/kgbw/日を下回っている。
3)海外の行政機関の評価では、我が国と共通のデータセットを材料としながらも、
最低の毒性発現体内負荷量を求めるためのエンドポイントや新たな体内負荷量に
関するデータの取り扱いが異なっている。なお、海外ではエンドポイントの採用
において、我が国では体内負荷量のTDIへの反映方法においてそれぞれより安全
側に立った結果となっている。
4)TDIについては、新たな知見やWHO/IPCS等における検討状況を踏まえながら、適
宜見直しを図る必要があると考える。
5)ダイオキシン類の健康影響については今後も引き続き、毒性試験や人体への影響
調査等各種の調査研究を推進することが必要であるが、同時にダイオキシン類摂
取量の一層の削減が望まれることから、ダイオキシン類の環境への排出削減に向
けた取組を一層推進していくことが重要であると考える。
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