1 国労の申立てのポイント(平成10年10月12日) (1)司法裁判所による審理によって、専門機関である労働委員会の命令が取り消さ れることは、迅速性に欠けるだけでなく、中立的でしかも当事者(複数)から中 立であると信頼されるための制度的措置も欠いている。 (2)司法裁判所が、労働委員会の命令を、通常の行政処分の取消事件として処理し た結果が、上記のような結果を引き起こしているのであれば、それは条約上の義 務である団結権保護のための必要、適切な措置を講じていないことの結果に他な らない。 (3)独占禁止法、公害紛争処理法など前例となる立法があるにもかかわらず、日本 政府は立法改正によって団結権保護制度を実質的に充足することを怠ってきた。 2 全動労の申立てのポイント(平成10年12月8日) (1)政府はJR各社に対して実効ある指導を行わず、反組合的差別を放置している。 (2)国鉄分割民営化に際して職員の新規採用方式を採用したことは、全動労、国労 組合員を排除し、事実上解雇することを目的としたものであった。 (3)労働委員会が救済命令を発しても、使用者が取消訴訟で争っているかぎり、使 用者に対する罰則等の制裁措置 が設けられていない。