第1部 1998〜99年の海外労働情勢 1 雇用・失業の動向と対策 (1) 雇用・失業の動向 @ アメリカ、イギリスでは、長期の景気拡大により失業率は低下傾向が続 いている。但し、欧米諸国では、概して若年者の失業率は高水準で推移し ている。 A ドイツ、フランス、イタリアでは、失業率は引き続き高水準で推移して いる。ドイツでは特に東部地域、イタリアでは南部地域で高失業問題を抱 えている。 B アジア諸国では、97年の通貨危機の影響を直接受けた国々を中心に、雇 用情勢は引き続き悪化している。 中国においては、国有企業改革に伴う一時帰休者の大量発生が、今後大 きな問題となる恐れがある。
・実質GDP成長率 | |||
アメリカ=3.9%(97年) | → | 3.9%(98年) | |
イギリス=3.5%(97年) | → | 2.1%(98年) | |
ドイツ =2.2%(97年) | → | 2.8%(98年) | |
フランス=2.3%(97年) | → | 3.2%(98年) | |
イタリア=1.5%(97年) | → | 1.4%(98年) | |
カナダ =3.8%(97年) | → | 3.0%(98年) | |
[参考]日本= 1.4%(97年)→ -2.8%(98年速報値) |
・失業率: | |||
アメリカ= 4.9%(97年) |
→ | 4.5%(98年) |
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イギリス= 7.2%(97年) | → | 6.3%(98年) | |
ドイツ =11.4%(97年) | → | 11.1%(98年) | |
フランス=12.5%(97年) | → | 11.8%(98年) | |
イタリア=12.3%(97年) | → | 12.3%(98年) | |
カナダ = 9.2%(97年) | → | 8.3%(98年) | |
[参考]日本= 3.4%(97年) → 4.1%(98年) |
(2) 雇用・失業対策 @ アメリカでは、労働力投資法が成立し職業訓練制度が整備された。 イギリスでは、若年失業者、長期失業者に対するエンプロイアビリティ の向上と就職の促進を図る対策を実施している。 A フランスでは、時短を通じて雇用の維持・創出を図る「週35時間労働法」 が成立した。この動きに刺激され、イタリア、スペインでも労働時間短縮 の動きが始まっている。 B ドイツでは、公共分野における直接雇用創出を拡大すること等を内容と する「新雇用プログラム」を実施した。 C 97年の通貨危機にみまわれたアジア諸国では、財政支出の増大を通じた 景気刺激策、雇用・失業対策に取り組んでいる。韓国では、雇用保険の全 事業所への適用拡大を実施した。 2 賃金・労働時間等労働条件の動向 (1) 賃金・物価の動向 アメリカでは引き続き実質賃金が2%以上の伸びを示している。他の先 進諸国では、実質賃金は微増となっている。 アジア諸国では、通貨危機の影響で物価が上昇し、実質賃金は低下して いる。
・賃金上昇率(上段は名目、下段は実質) | |||
アメリカ=4.5%(97年) | → | 4.0%(98年) | |
2.2%(97年) | → | 2.4%(98年) | |
イギリス=4.4%(97年) | → | 5.5%(98年) | |
1.3%(97年) | → | 2.0%(98年) | |
ドイツ =1.3%(97年) | → | 2.0%(98年、時間当たり賃金、 |
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フランス=2.8%(97年) | → | 2.0%(98年10−12月) |
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0.2%(97年) | → | 1.7%(98年10−12月) |
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韓国 =7.0%(97年) | → | -2.4%(98年) |
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2.5%(97年) | → | -9.2%(98年) |
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[参考]日本= 1.6%(97年) → -1.3%(98年) 0.0%(97年) → -2.0%(98年) |
・物価上昇率:アメリカ=1.6%(98年)、イギリス=3.4%(98年) | |
ドイツ =1.0%(98年)、フランス=0.3%(98年10-12月) | |
韓国 =7.5%(98年) | |
[参考] 日本=1.8%(97年) → 0.6%(98年) |
(2) 労働時間の動向と対策 労働時間は、多くの国で減少傾向にある。
・週当たり支払い労働時間 | |||
アメリカ =34.6時間(97年) | → | 34.6時間(98年) | |
イギリス =40.3時間(97年) | → | 40.2時間(98年) | |
ドイツ(西部)=37.7時間(97年) | → | 37.8時間(98年) | |
フランス =39.0時間(97年) | → | 38.9時間(98年4−6月) | |
[参考] 日本=38.1時間(97年) → 37.4時間(98年) |
3 労使関係の動向 労働組合組織率は各国において低下傾向にある。 通貨危機の影響を受けたアジア各国では、景気後退、企業リストラの進展等 により労使紛争が頻発した。
・労働組合組織率 | |||
アメリカ=14.1%(97年) |
→ | 13.9%(98年) | |
イギリス=28.2%(96年) |
→ | 27.3%(97年) | |
ドイツ =35.3%(96年) |
→ | 35.0%(96年) | |
韓国 =13.3%(96年) |
→ | 12.2%(97年) | |
[参考] 日本=22.6%(97年) → 22.4%(98年) |