タイトル:平成10年上期雇用動向調査結果速報

     入職率は4年ぶりの低下

     −離職率も低下、欠員率は半減−

発  表:平成10年12月10日(木)

担  当:労働大臣官房政策調査部統計調査第一課

             電 話 03-3593-1211(内線5237,5238)

                 03-3502-6728(夜間直通)







[T]調査の概要

 1 この調査は、労働市場における常用労働者の移動状況を把握することを目的と

  して、毎年上期(1月〜6月)及び下期(7月〜12月)に分けて実施している。

  今回平成10年上期分の概要を取りまとめた。



 2 調査対象は、日本標準産業分類による主要9大産業 [ 鉱業、建設業、製造業、

  電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保

  険業、不動産業、サービス業(家事サービス業、教育、外国公務を除く)]に属

  する常用労働者5人以上を雇用する事業所から抽出した約1万4千事業所(有効

  回答率86.0%)及び同事業所における平成10年上期の入職者・離職者から

  抽出した入職者約6万5千人、離職者約6万人について調査した。



 3 調査産業計は平成3年から建設業を含めて集計しているが、平成2年以前の調

  査産業計は建設業を除いて集計していた。したがって、時系列比較を行う場合は

  注意が必要である。なお図表は特に断りのない限り調査産業計で作成している。





[U]調査結果の概要



(骨子)



 1 入職・離職の状況

  −入職・離職率とも低下、特に入職率は4年ぶりの低下−

(1)平成10年上期の延べ労働移動者は661万人、延べ労働移動率は16.8%で、前年

  同期と比べると24万人の減少、0.7ポイントの低下となった。

(2)入職者は335万人、離職者は326万人で、前年同期と比べると入職者は21万人、

  離職者は3万人それぞれ減少した。入職率は8.5%、離職率は8.3%で、前年同期

  と比べると入職率は0.6ポイント、離職率は0.1ポイントそれぞれ低下し、特に入

  職率は、平成6年以来4年ぶりの低下となった。入職超過率は0.2ポイントで前

  年同期と比べると0.5ポイント低下した。

(3)就業形態別に比率をみると、一般労働者は入職率7.4%(前年同期8.1%)、離

  職率7.1%(同7.4%)で、パートタイム労働者は入職率15.5%(同15.5%)、離

  職率は15.6%(同14.8%)となった。前年同期と比べると一般労働者では入職・

  離職率とも低下、パートタイム労働者では入職率は同水準、離職率は上昇した。

(4)男女別、就業形態別に比率をみると、男は一般労働者が入職率6.4%(前年同期

  7.0%)、離職率6.2%(同6.6%)、パートタイム労働者が入職率22.7%(同

  16.3%)、離職率23.2%(同19.3%)で、女は一般労働者が入職率9.7%(同

  10.5%)、離職率9.2%(同9.1%)、パートタイム労働者が入職率13.8%(同

  15.3%)、離職率13.9%(同13.7%)となった。前年同期と比べると男は一般労働

  者が入職率、離職率ともに低下し、パートタイム労働者では入職率、離職率とも

  に大幅に上昇した。女は一般労働者・パートタイム労働者ともに、入職率が低下

  し、離職率が上昇した。



 2 入職者の状況

  −入職率の低下幅は女で大きく、転職入職者の離職期間は「6ヵ月〜1年」で上

   昇−

(1)入職率を男女別にみると、男が7.1%、女が10.9%で、前年同期と比べると男

  は0.3ポイント女は1.0ポイントそれぞれ低下し、特に女の低下幅が大きい。

(2)入職率を主な産業別にみると、サービス業11.4%、卸売・小売業,飲食店9.7

  %、建設業7.9%、製造業5.8%で、前年同期と比べるとサービス業0.3ポイント、

  卸売・小売業,飲食店0.2ポイント、建設業2.6ポイント、製造業0.7ポイントと

  全て低下した。特に建設業、製造業の低下幅が大きい。

(3)入職者のうち、転職入職者は176万人、未就業入職者159万人となった。これを

  比率でみると転職入職率は4.5%、未就業入職率は4.1%で、前年同期と比べると

  転職入職率は0.1ポイント上昇、未就業入職率は0.7ポイント低下した。

(4)転職入職者の主な特徴は以下のとおりである。

 @ 年齢階級別には24歳以下の若年層と60歳代前半層で転職入職率が高い。

 A 産業間では第3次産業への転職入職の割合が上昇し、第2次産業への転職入職

  の割合が低下した。

 B 企業規模間ではより小さい規模への移動の割合が上昇した。

 C 離職期間別では「6ヵ月〜1年」の割合が上昇した。





 3 離職者の状況

  −離職理由は「経営上の都合」が上昇、「個人的理由」が低下−

(1)離職率を男女別にみると、男が6.9%、女が10.6%で、前年同期と比べると男

  が0.3ポイント低下し、女は0.1ポイント上昇した。

(2)離職率を主な産業別にみると卸売・小売業,飲食店10.1%、サービス業9.5%、

  建設業7.8%、製造業6.8%で、前年同期と比べると、製造業は0.6ポイント上昇

  し、卸売・小売業,飲食店は同水準、建設業1.4ポイント、サービス業0.4ポイン

  トそれぞれ低下した。

(3)離職理由別構成比をみると「個人的理由」(65.9%)が最も高く、次いで「契

  約期間の満了」(10.7%)、「経営上の都合」(9.2%)、「定年」(6.4%)、

  「本人の責」(5.8%)となっており、前年同期と比べると、「経営上の都合」

  が1.9ポイント「定年」が0.4ポイント、「本人の責」が0.4ポイント、「契約期

  間の満了」が0.1ポイントと非自発的理由がいずれも上昇し、「個人的理由」が

  3.0ポイント低下した。





 4 パートタイム労働者の状況

  −入職者、離職者に占めるパートタイム労働者の割合が上昇−

(1)入職者に占めるパートタイム労働者の割合は25.8%、離職者に占めるパートタ

  イム労働者の割合は26.8%で、前年同期と比べると、入職者は2.1ポイント、離

  職者は2.3ポイントといずれも上昇した。

(2)男女別にパートタイム労働者の占める割合をみると、男が入職者で13.5%、離

  職者で14.1%、女が入職者で38.9%、離職者で40.3%で、前年同期と比べると男

  は入職者で4.2ポイント、離職者で2.8ポイントそれぞれ上昇し、女は入職者で0.5

  ポイント、離職者で1.1ポイントそれぞれ上昇した。入職者、離職者で、男女とも

  上昇となったが男の上昇幅が大きい。



 5 未充足求人の状況

  −欠員率は半減−

   平成10年6月末現在の未充足求人数は33万人、欠員率(在籍常用労働者に対す

  る未充足求人の割合)は0.8%で、前年と比べると37万人減少、1.0ポイント低下

  した。

   うちパートタイム労働者の欠員率は1.7%で、前年と比べると0.6ポイント低下

  した。

V 調査結果




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