第3 平成14年度地方労働行政の重点施策 4 労働保険適用徴収業務の重点対策 (1) 労働保険の適用促進 労働保険の適用促進に当たっては、都道府県労働局、労働基準監督署及び 公共職業安定所(以下「労働局等」という。)の連携を密にして、未手続事 業の積極的かつ的確な把握に努めるとともに、中期的な展望に立った年次別 の具体的な適用促進計画を策定し、計画的な適用促進を進める。 また、社団法人全国労働保険事務組合連合会(以下「全国労保連」とい う。)に委託している労働保険の適用促進に係る業務については、労働局等 と全国労保連の都道府県会との十分な連携の下での円滑な推進に留意すると ともに、あらゆる機会をとらえ、労働保険制度についての効果的な広報活動 の実施に努める。 (2) 労働保険料の適正徴収 イ 年度更新の的確かつ円滑な実施 年度更新の実施に当たっては、事業主及び事務組合に対して、年度更新事 務説明会の開催等あらゆる機会をとらえ、また、工夫を凝らしつつ、労働保 険料の適正な申告・納付のために必要な知識の周知徹底を図る。 また、例年、労働保険料の徴収過不足が少なからず発生していること、そ の多くが事業主の労働保険制度の理解不足等によるものであることを十分に 踏まえるとともに、必要に応じた認定決定も視野に入れ、年度更新を適正か つ円滑に実施する。当該業務の実施に当たっては、労働基準部、職業安定部 との連携を密にしながら、労働局全体として、実施計画の策定、事務説明会 の開催等のための実施体制の整備を図る。 ロ 効率的な労働保険料算定基礎調査の実施 労働保険料算定基礎調査(以下「算調」という。)の実施に当たっては、 算調への適正な業務量の投入に配慮しつつ、効率的な算調実施計画を策定し た上で、適正かつ実効ある実施に努める。 ハ 実効ある滞納整理の実施 労働保険料の滞納については、効果的な滞納整理実施計画を策定して計画 的に取り組む。とりわけ、多額の滞納事業主及び多年度にわたり滞納を繰り 返している事業主に対し、重点的に滞納整理を実施する。 滞納整理に当たっては、社会保険事務所等関係行政機関との連携に配慮し、 参加差押え等の励行に努めるとともに、平素から滞納事業主の財産調査等に も努める。 (3) 事務組合の育成・指導等 イ 事務組合の育成・指導 事務組合に対しては、その母体団体の性格、事務処理能力等を考慮し、委 託事業数の増大を通じ事務組合の自立が図られるよう、その育成に努める。 併せて、事務組合の体制の整備及び労働保険事務の円滑な実施のために必要 な指導を行う。 なお、育成・指導に当たっては、全国労保連の都道府県会の協力を得る等 適宜連携を図る。 ロ 事務組合の監督・指導 事務組合における事故の未然防止を図るため、事務組合の定期的な監督・ 指導に努める。 なお、監督・指導に当たっては、必ず労働保険料の受領・納付状況の確認 を行い、労働保険料の滞納がある場合には、その原因を確認した上で、速や に時効中断措置をとるとともに、滞納整理を行う。 また、認可基準が遵守されていないことが判明した事務組合に対しては、 一定期限を定めて早期にその是正を図らせる。 (4) 労働保険及び社会保険の徴収事務の一元化に向けた取組の促進 「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」等を踏 まえ、本省において、事業主の負担の軽減と事務運営の効率化を図るため、 保険料の徴収事務を一元的に行うための体制の在り方について具体的な検討 を進めるとともに、電子政府化に合わせ、インターネットによる届出の一元 的な受付を行うための準備を進める。こうした本省における検討の状況等を 踏まえ、具体的な取組を行うに当たっては、地方社会保険事務局及び社会保 険事務所との意思疎通を十分に図るように努める。 (5) 社会保険労務士の活用等 社会保険労務士制度は、労働保険の適用徴収業務の面で重要な役割を担っ ているところであり、行政事務の効率化を図る観点からも、社会保険労務士 の積極的な活用に努める。 また、労働保険の適用徴収に関連して、社会保険労務士が関与する不正事 件を未然に防止するため、都道府県社会保険労務士会等を通じ、社会保険労 務士が行う業務の適正な実施の指導についても留意する。