第3 平成14年度地方労働行政の重点施策 2 職業安定行政の重点対策 (1) 厳しさを増す雇用情勢に対応した雇用面のセーフティネットの整備 イ 雇用情勢の変化に対応した機動的かつ効果的な雇用対策の展開 (イ) 新特定求職者雇用開発助成金の機動的な運用 新特定求職者雇用開発助成金制度の的確な運用を図ることにより、雇 用情勢が悪化した状況において真に支援が必要な者の雇用機会の増大を 図る。 (ロ) 中小企業・ベンチャー企業等に対する利用しやすい創業等支援を通じ た雇用機会の創出拡大 中小企業・ベンチャー企業等に対し、地方公共団体との連携の下に、 創業を支援するための利用しやすい助成措置を講じ、地域の実情に応じ た雇用機会の創出を図る。 また、中小企業が、新商品・新サービスの開発等の経営革新に伴い中 高年齢者を雇い入れた場合等に助成措置を講じ、雇用機会の創出を図る。 (ハ) 国と都道府県が連携した地域雇用開発促進助成金の効果的発動 都道府県が雇用機会の増大等を図るべく設定した地域について、求職 者の雇い入れ等に取り組む事業主に対し、それらを支援するための助成 措置を実施し、地域の実情に応じた雇用開発を促進する。 (ニ) 新雇用調整助成金による業種にかかわりない雇用維持支援 経済上の理由による事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対して 業種にかかわりなく、その雇用の維持を支援するための改正雇用調整助 成金制度を的確に運用することにより、雇用情勢の変化に伴い生じる失 業の予防を図る。 ロ 雇用保険制度の円滑かつ適正な運営 (イ) 適正な業務の運営 雇用保険の失業等給付については、失業者の生活の安定を図るととも に、再就職を促進するものであることを十分に踏まえた業務運営を行う。 その際、職業相談部門と雇用保険給付担当課との連携をより進め、早期 再就職に向けた取組みの徹底を図るとともに、労働の意思又は能力の無 い者に対しては給付を行わないことを徹底するなど適正な失業認定を行 う。 また、事業所の設置、被保険者資格の得喪等の各段階における事実確 認を徹底すること等により、不正受給について効果的な防止を図るとと もに、不正に対してはより厳格な対処を行う。 併せて、雇用保険に未加入の労働者について、総務部(労働保険徴収 部)とも連携の上、一層の加入促進に取り組む。 (ロ) 雇用保険受給資格者の早期再就職の促進等 本年1月に施行された「雇用対策臨時特例法」により措置された訓練 延長給付の特例措置等も含め、公共職業訓練等の受講指示制度も活用し、 職業安定行政全体の課題として中高年齢者を中心とした雇用保険受給者 の早期再就職促進に取り組み、雇用保険制度が真に再就職に向けたセー フティネットとして機能するような運営に努める。特に、訓練受講指示 にあたっては、職業訓練の受講が適職に就かせるために必要であると認 められる場合に受講指示を行うこととすること及び基本手当の受給開始 後早期に行うことを徹底する。さらに、訓練受講者の再就職に向け、き め細かなフォローアップ及び効果検証を行う。 ハ 失業なき労働移動・早期再就職の推進 (イ) 募集・採用時の年齢制限の緩和に向けた啓発・指導の推進 募集・採用時の年齢制限の緩和に関する指針に基づき、官民の職業紹 介機関において、啓発・指導を引き続き行うほか、事業主団体や求人情 報提供機関を通じた周知・啓発を行う。 (ロ) 再就職援助計画の提出及び指導等に関する取組 地域の雇用動向や事業所情報の把握に努め、雇用失業情勢の悪化に伴 い相当数の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の 縮小等を行う事業所に対し、早期に再就職援助計画の提出を指導すると ともに、再就職に必要な助言、援助を行う。 (ハ) 在職中からの再就職に向けた取組の支援 雇用失業情勢の悪化に伴い企業倒産等により離職を余儀なくされる者 が一定規模以上発生する事業所において、公共職業安定所の出張相談窓 口(離職予定在職者職業相談コーナー)を機動的に設置し(アシストハ ローワーク)、離職予定在職者が在職中からの再就職活動を円滑に進め られるよう離職前からのきめ細かな職業相談・職業紹介を実施する。 (ニ) 失業なき労働移動を支援するための各種助成金の積極的活用 (1) 労働移動支援助成金及び在職者求職活動支援助成金の活用促進 離職を余儀なくされる労働者に求職活動を容易にするための休暇を 付与する事業主に対する助成等を内容とする労働移動支援助成金及び 在職者求職活動支援助成金の活用を強力に促進することにより、事業 主による計画的な労働移動支援を促す。 (2) 建設業労働移動支援助成金の活用促進 離職を余儀なくされる建設業労働者(建設業関連の技術・技能等を 有する者)を失業を経ることなく新たに雇い入れ、早期戦力化のため の講習を行った建設事業主を支援する。 (3) 移動高年齢者等雇用安定助成金の活用促進 経営再建のためにグループ企業から送り出される中高年齢者を受け 入れ、61歳以降の雇用を確保する事業主に対して助成する移動高年 齢者等雇用安定助成金の活用を促進し、企業グループ内での中高年齢 者の雇用の確保を図る。 (4) 継続雇用定着促進助成金の活用促進 高年齢者を一定割合以上雇用する事業所を新たに設置する事業主等 に対して助成する継続雇用定着促進助成金の活用を促進し、高年齢者 の労働移動の支援及び継続雇用の定着促進を図る。 (5) 退職前長期休業助成金の活用促進 退職予定者の退職前長期休業制度を設け、休業を行う事業主に対す る助成及び当該休業中に行う教育訓練に関する助成制度を活用し、大 量の失業発生の激変緩和や失業なき労働移動を図る。 (ホ) 関係業界との連携強化による出向・移籍方式を中心とした労働移動の 推進 不良債権処理に伴う雇用問題が課題となる業界と官民連携の出向・移 籍の専門機関である産業雇用安定センターとの連携による失業なき労働 移動を支援するための送出・受入情報の収集・提供等、都道府県労働局 及び公共職業安定所においても必要な協力を行う。