第3 平成14年度地方労働行政の重点施策 1 労働基準行政の重点対策 (4) 労災補償対策の推進 イ 労災保険給付の迅速・適正な処理 労災保険給付の支給決定については、迅速・適正な調査を実施し、すべて の事案を標準処理期間内に処理できるよう一層努める。また、現に長期未処 理となっている事案を早急に解消するため、局署管理者の適切な進行管理の 徹底を図る。さらに、適正な事務処理を徹底するため、事務の責任体制の明 確化、職員相互の内部牽制体制の確立等を図る。 労災保険に係る相談等については、相談者、被災労働者等の置かれた状況 に意を払い、相談内容に応じ、各種のパンフレット等を活用した情報の提供 等を行うなど懇切丁寧な対応に努める。 労災診療費については、平成14年度に見直しが行われることも踏まえ、 的確な審査を実施する。特に、会計検査院の指摘額が多い診療項目について は重点的に審査を実施するとともに、誤請求の多い医療機関に対する指導を 強化する。 ロ 認定基準の的確な運用等 労災保険の認定業務を迅速・適正に行うため、各種認定基準の的確な運用 に努める。 (イ) 脳・心臓疾患に関する新認定基準の的確な運用等 平成13年12月に改正した脳・心臓疾患に関する認定基準の的確な 運用により、迅速・適正な労災認定に努める。 このほか、脳・心臓疾患の予防に資するため、平成13年4月に設け られた「二次健康診断等給付」の周知・啓発に努める。 (ロ) じん肺有所見者に発生した肺がんの的確な補償 じん肺有所見者に発生した原発性肺がんの取扱いの改正を平成14年 3月に行ったところであり、改正後の取扱いに従い、的確な補償に努め る。 (ハ) 障害等級に関する認定基準の適正な運用 障害等級の認定基準については、引き続き最新の医学的知見に照らし 見直しの検討を行う。また、耳鼻咽喉科の領域等既に検討を終え、認定 基準の一部改正を行ったものについては、適正な運用に努める。 ハ 被災労働者の早期社会復帰の推進 長期療養者に対しては、個々の症状に応じて的確な症状固定の判断を行う とともに、これら長期療養者については、症状固定後の職場生活順応への危 惧、健康維持への不安等が社会復帰の阻害要因となることが多いことから、 各種援護金、アフターケア制度等の活用により、早期の社会復帰を促進する。 ニ 行政争訟に対する迅速・的確な対応 審査請求事件の処理に当たっては、3か月以内の迅速な処理に努める。 訴訟追行における主張・立証については、関係機関との密接な連携の下に、 医学経験則等に基づいた分かりやすく丁寧なものとする等的確な対応を図 る。 なお、脳・心臓疾患の業務上外の判断に関する訴訟については、新認定 基準の考え方に基づいた主張・立証を行う。 ホ 労災関係団体の活用等 重度被災労働者に対する介護施策を推進するため、労災特別介護施設(ケ アプラザ)に係る広報活動を強化し、積極的な入居促進を図る。 労災保険制度や脳・心臓疾患に係る新認定基準等の周知を図るため、被災 労働者等の援助を行う労災年金相談所(室)を積極的に活用する。また、労 災特別介護施設(ケアプラザ)の入居促進のため、労災年金相談所(室)の 活用を図る。 労災診療費の審査業務の適正・円滑な実施を図るため、(財)労災保険情 報センター地方事務所との連携に努める。 ヘ 労災補償制度の改善 労働者の多様な就業形態等に対応した通勤災害保護制度等の在り方を検討 する。