第2 地方労働行政の課題 5 個別労働関係紛争の増加に係る課題 厳しい社会経済情勢の下での企業組織の再編や、企業の人事労務管理の個別 化、あるいは労働者の働き方に対する意識・価値観の変化等に伴う就業形態の 多様化等を背景に、解雇や労働条件引き下げ、セクシュアルハラスメント、職 場におけるいじめ等多岐にわたる分野の個別労働関係紛争が、依然として増加 しており、その迅速・適正な解決を図っていく必要がある。 6 各行政間の密接な連携 (1) 厳しい雇用情勢への総合的対応 雇用情勢は、いずれの地域においても厳しい状況にあり、これに伴う労 働者の保護や雇用の安定等の課題に効果的に対応するため、総合的地方労 働行政機関である都道府県労働局が中心となって総合的な対策を講じてい くことが必要である。 特に、大規模な雇用調整に際して、関係労働者の賃金債権の確保や失業 の予防、再就職促進等に向けた対策を一体的かつ迅速に実施していくこと が重要である。 (2) 男女雇用機会均等確保及び職業生活と家庭生活の両立支援についての効 果的な対応 女性労働者の増加に対応した男女雇用機会均等確保対策及び少子・高齢 化に対応した職業生活と家庭生活の両立支援対策は、一義的には雇用均等 行政において重点的に推進されるものであるが、事業主への効果的な指導 を行うとともに、相談への迅速・的確な対応を行う観点から、労働基準行 政及び職業安定行政との連携が重要な課題となっている。 (3) 複数の行政分野にまたがる問題への総合的対応 複数の行政による総合的対応が求められているパートタイム労働、派遣 労働、外国人労働及び障害者雇用等について、各種月間等において関係法 令等の内容を労働者及び事業主等に対し集中的に周知・啓発する場合や、 労働者からの相談への対応や所要の事業主指導を行う場合に、関係行政間 の連携を密にしていくことが重要な課題となっている。 (4) 他の行政分野における行政手段等の相互活用 都道府県労働局においては、上記のような政策的な連携に加え、総合的な 行政サービスを国民に対して提供するとともに、行政の効果的運営を図るた め、各行政分野固有の政策課題への対応に当たっても、基本的性格や手法の 異なる各行政の特性を十分踏まえつつ、他の行政分野における行政手段を相 互に活用し、又は行政手法を参考とする等により、施策の実施方法について 創意工夫を凝らしていくことが重要である。