第2 地方労働行政の課題 4 労働保険適用徴収業務の課題 労働保険は、労災保険給付や失業等給付を通じた労働者の福祉の増進に寄与 するとともに労働行政の各種施策の推進を財政面から支える制度として重要な 役割を担うものであることを十分に踏まえ、労働保険制度を支える適用徴収業 務をより一層適正かつ円滑に実施していくことが重要である。 このため、労働保険料及び社会保険料の徴収事務の一元化という課題を含め、 以下の課題に適切に対応していく必要がある。 なお、その際、都道府県労働局は、労働基準監督署及び公共職業安定所との 連携に加え、都道府県労働局内の総務部又は労働保険徴収部と労働基準部及び 職業安定部との連携に十分留意する必要がある。 (1) 労働保険の適用業務については、厳しい経済情勢の下で、平成12年度 末に適用事業場数は、前年度から約1万2000事業場増加し、約306 万1000事業場となったが、依然として、商業・サービス業等における 小零細事業を中心に未手続事業が相当数残されている。また、派遣労働者 やパートタイム労働者など就業形態の多様化に対応するため、昨年度、パ ートタイム労働者、登録型派遣労働者の雇用保険に係る適用基準が見直さ れたところであるが、これらも踏まえ、適用促進についてさらに積極的な 取組を図る必要がある。 (2) 労働保険料の収納状況については、昨今の厳しい経済情勢もあり、平成 12年度における収納済歳入額は前年度を280億円以上も下回るなど、 平成元年度以降で最も低い水準となっている。一方、収納未済歳入額は平 成11年度は若干減少したものの、平成12年度は再び増加に転じ、また 収納率は平成2年度をピークに年々低下し続けていることから、労働保険 料の適正な徴収のための積極的かつ効率的な取組が重要な課題となってい る。 (3) 労働保険事務組合(以下「事務組合」という。)は、労働保険の適用徴 収制度の中で重要な役割を担っており、今後とも、その充実・発展は必要 不可欠であるため、事務組合について、より一層の適正かつ健全な運営の 確保と活動の活性化・自立化を進める必要がある。 (4) 「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(平成 13年6月26日閣議決定)」において、「制度の実施・運営の面でも、 社会保険と労働保険の徴収事務の一元化など、行政事務運営の一層の効率 化を進め、国民へのサービスの向上を図る」こととされたこと等を踏まえ、 一元化に向けた取組を進める必要がある。