第2 地方労働行政の課題 2 職業安定行政の課題 我が国の景気は一段と悪化し、雇用失業情勢についても厳しさを増している 中で、政府においては「改革なくして成長なし」との基本的考え方の下、構造 改革を一層加速しているところであるが、その際には現下の厳しい雇用情勢に もかんがみ、構造改革の進展に伴う「痛み」に対応する雇用対策に万全を期す必 要がある。このため、政府においては、緊急かつ重点的に取り組むべき事項を 「総合雇用対策」として取りまとめたところである。 平成14年度においても、このような基本的考え方に立ち、 (1)雇用面のセーフティネット整備のための施策の機動的かつ効果的な展開、 (2)マッチング機能の強化等円滑な労働移動の促進に向けた労働市場の基盤整備 (3)雇用機会の拡大が見込まれる分野での雇用創出支援、 を一体的に推進することにより、厳しい雇用情勢の対応に万全を期すとともに 構造改革の着実な実施を可能なものとし、国民の雇用不安を一刻も早く払拭す ることに全力を挙げて取り組むことが必要である。 また、少子・高齢化の急速な進展の中で、国民の一人一人が長生きして良か ったと実感できる豊かで活力ある社会を実現するためには、高齢者の高い就業 意欲が活かされ、その有する能力が十分に発揮されることが不可欠となる。こ れを踏まえ、当面は65歳までの雇用の確保に取り組みつつ、将来的には年齢 にかかわりなく働ける社会の実現に向けた環境整備を進めることが重要である。 一方、新規学卒者の就職環境が極めて厳しい状況にあるなど、若年者をめぐ る雇用情勢は一層厳しさを増しつつある。このため、学校卒業時の就職促進を 図るとともに、若年求職者に対する就職支援、学校等と連携した早期職業意識 啓発の推進に努め、将来の我が国を担う若年者の雇用の安定を図ることが求め られる。 さらに、障害者を取り巻く厳しい雇用情勢に適切に対応するため、障害者雇 用対策の見直しを行い、障害者の雇用確保・職場定着のための施策を充実する とともに、雇用と福祉との積極的な連携を図っていくことが課題となっている。 これらに加えて、港湾労働、建設労働、林業労働等を取り巻く環境の変化に 対応して労働者が安心して働くことができる雇用環境の整備を行うとともに、 沖縄県における雇用対策、ホームレスの就労支援策など個別施策分野における 雇用対策をきめ細かく行っていくことが重要である。