タイトル:ホワイトカラーをめぐる採用戦略の多様化に関する調査研究報告書



発  表:平成12年6月23日(金)

担  当:労働大臣官房政策調査部総合政策課

             電 話  03-3593-1211(内線5215)

                  03-3502-6726(夜間直通)




T.調査の概要



  社会経済の構造変化のスピードが早まる一方、厳しい経済情勢が長期化する中、

 企業の人材確保戦略に変化が見られ、中途採用等採用戦略多様化の動きが出てきて

 いるところである。

  このため、企業の人材確保戦略の多様化の現状及び今後の方向について実態把握

 を行い、特に中途採用の現状と課題について分析を行うべく、政策調査部において、

 平成11年度に「採用戦略の多様化の影響と労働行政に関する研究会」(座長:中馬

 宏之一橋大学イノベーション研究センター教授、別紙参照)を開催し、調査研究を

 行った。

  また、調査研究の一環として、企業(2100社)及び中途採用者(6300人)を対象

 にアンケート調査を行うとともに、一般事業会社(4社)及び民間人材ビジネス会

 社(5社)に対しヒアリング調査を実施した。





U.調査結果の概要



  採用戦略の多様化に向け「ホワイトカラー正社員の中途採用」「派遣社員の受け

 入れ」を半数程度の企業が実施しており、特に大企業、業績のよい企業で多様化の

 動きが見られる。



  こうした中、中途採用についてみると、ホワイトカラー社員の5人に1人は中途

 採用者であり、半数以上が中途採用者という企業も1割ある。また、今後の中途採

 用者割合は、6割の企業が現状維持の意向だが、変更する意向のある企業では、新

 卒採用より中途採用を重視する傾向が見られる。



  中途採用を過去3年間に実施した企業は4社に3社であり、その主な理由は即戦

 力の確保である。但し、年齢制限する企業も多く、上限年齢は30〜34歳が最も多い。



  中途採用に係る担当部門をみると、募集方法の決定、処遇の決定は人事部門中心

 であり、採用や担当職務の決定は配属部門の関与度も高い。また、人事部門関与度

 の高い企業は「年齢」重視、配属部門関与度の高い企業は「職務経験」重視の傾向

 が見られる。



  中途採用者の待遇については、在職職員とのバランスや年齢を重視し、8割の企

 業が中途採用者も新卒採用者と同じキャリアコースを歩むとしている。また、特に

 人事部門中心に中途採用を実施している企業で、待遇に際し年齢を重視する傾向が

 見られる。



  ホワイトカラー転職者の行動については、転職時にブランクを経験した人は半数

 近くにのぼる。また、勤務先選定時の情報源は求人情報誌、新聞・チラシ等の広告

 が多く、若い年代や専門・技術職などではインターネットの利用も多い。



  転職者の意識をみると、転職の際の重視事項としては「仕事・職務の内容」「自

 分の技術・能力が活かせること」。ただし女性は「労働時間、勤務体制、休暇制度

 」「勤務地」も重視する傾向が見られる。また、勤務先に対する満足度は高く、 足度を高める要因としては、転職時に「会社の将来性」「会社理念・経営戦略」な

 ど『会社選択』に関わる項目を重視していること。



  採用多様化に伴う課題としては、企業・転職者双方とも、外部労働市場における

 人材の能力評価、それに見合った処遇のあり方があげられる。また、転職者の問題

 意識として、転職先企業に関する情報不足がある。

  また、民間人材ビジネスには、情報量には満足だが、費用や人材評価には不満の

 声もあり、企業と人材のマッチングの「目利き」役が求められるなか、人材ビジネ

 スサイドの質的な向上が今後の課題。

  労働行政に対し、企業・労働者双方から、転職者が不利にならない労働市場の整

 備を要望する意見が多い。





(備 考)本調査研究は、ニッセイ基礎研究所への委託により実施した。


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