別紙 持株会社解禁に伴う労使関係懇談会中間とりまとめの概要 1 純粋持株会社のあるべき姿について 純粋持株会社設立の本来の趣旨は、企業グループの経営戦略と子会社の日常的経 営判断・事業活動とを分離し、各子会社の日常的経営判断から離れた、より大胆で、 中長期的視点に立ったグループの経営戦略を純粋持株会社が決定することができる ようにするためである。 したがって、労働関係についても、純粋持株会社がグループ全体の経営戦略の一 環として個々の子会社の人事労務に係る目標を示すことはあるとしても、子会社の 労働条件の決定にまで介入することは本来の姿でない。 2 団体交渉当事者としての純粋持株会社の「使用者性」について 純粋持株会社においては、その本来のあるべき姿からみて、子会社の労働組合と の関係において問題を生ずることは、一般の親子会社等の関係に比べより少ないと 考えられるが、その可能性も否定できない。純粋持株会社が、子会社の具体的な労 働条件の決定にまで関与する場合には、子会社の労働組合に対して、団体交渉当事 者としての純粋持株会社の使用者性が問題となるケースがあるが、その場合にはこ れまでの判例の積み重ね等を踏まえ現行法の解釈で対応を図ることが適当であると 考えられる。 使用者性が推定される可能性が高い典型的な例としては以下のようなものが考え られよう。 @ 純粋持株会社が実際に子会社との団体交渉に反復して参加してきた実績がある 場合 A 労働条件の決定につき、反復して純粋持株会社の同意を要することとされてい る場合 3 企業グループにおける労使協議制について 企業グループの場合には、企業グループの経営方針について意見交換の場が設け られることは、グループ全体の運営方針の円滑化、グループ各企業内における労使 協議の活性化などの観点から望ましいと考えられるので、持株会社を頂点とする企 業グループにおいても労使自治の下で労使協議が行われることが望ましいと考えら れる。特に、純粋持株会社は経営戦略を通じて子会社の経営に影響を及ぼすと考え られ、また、純粋持株会社が子会社を所有していることから、一般の親子会社等の 関係に比べ、純粋持株会社の意向に沿って子会社の事業再構築や売却が起こりうる との懸念があることから、労使協議制を設けることの意義は大きいと思われる。 企業グループの労使協議制の形態や内容については、労使自治に立脚しつつ、労 使協議の実をあげ、意思疎通を図りやすくするという観点から、企業グループ内の 労使で十分に話し合って決定すべきものである。 4 フォローアップについて 今後、経済のグローバル化や国際競争の激化を背景に、関連する法制、税制の整 備等と相まって、純粋持株会社が増加することも見込まれる。純粋持株会社の設立 がほとんど進んでいないところであるが、純粋持株会社の今後の動向を見つつ、引 き続き検討をしていくことが必要である。