豪の石炭労働者、30年間で3人に2人が失職も 化石燃料離れ進展で 報告書

[海外]

オーストラリアで公表された報告書によると、世界的な化石燃料離れの動きを背景に南東部ニューサウスウェールズ州のハンターバレーや東部クイーンズランド州の中央部など地方部で今後30年間に3人に2人の労働者が職を失う可能性がある。投資家が適切な移行を支援しなければ影響は一段と深刻化するという。26日付の経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューが報じた。

それによると、こうした地域の労働者らに自力で対処するように放置しておけば、一段と悪い結果となり、最大75%の労働者の生計が危ぶまれる。こうした地域は次期総選挙の大勢を決める重要な選挙区を抱えている。

豪州の自動車工場をフォードやホールデン、トヨタが2017年末までに閉鎖し、2万7,500人の雇用が失われた。石炭生産地の雇用喪失はこの約3倍に達するとみられる。

今回の報告書は、豪州とニュージーランドの機関投資家で構成する「気候変動に関する投資家グループ(IGCC)」の依頼を受けて大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)が実施した。26日に公表された報告書は、実質ゼロ排出への移行は不可避で、新たな雇用創生と経済成長を生み出すと指摘。しかし、こうした恩恵は「先取りする」国に限られると示唆している。

IGCCの責任者を務めるレベッカ・ミクラライ氏は「政府、企業、投資家のほか全ての利害関係者は、化石燃料部門や雇用が失われる地域社会で影響を受ける労働者の厳しさを最小限にとどめ、過度に不利な立場に置かれたり、取り残されたりしないように行動しなければならない」と述べた。

(シドニー時事)
2021年7月29日