米景気「一段と力強さ」 物価上昇に懸念広がる/FRB報告

[海外]

米連邦準備制度理事会(FRB)は14日公表した全米12地区の連銀景況報告(ベージュブック)で、5月下旬から7月初めの経済が「一段と強さを増した」と、前回の「緩やかに拡大」から景況判断を引き上げた。ただ、物価上昇への懸念が企業の間で広がっている様子も示された。

新型コロナウイルスのワクチン普及を受けた経済再開に伴い、運輸や観光、製造業などで景況の改善が進んだ。一方で原材料や人手などの供給不足がより広範に及んだ。半導体不足で生産が遅れている自動車部門については、需要に販売が追い付いていない実態も明らかとなった。

物価は平均を超えるペースで上がり、特にホテルやレストランといった接客サービス業で上昇が目立った。報告は「大多数の調査先企業はコストと販売価格が今後数カ月でさらに上がるとみている」と指摘した。

雇用は総じて拡大が続き、低技能職の賃金は平均を上回って増加した。多くの地区で、人手不足が経済活動を制約している事例が紹介された。

報告は7月2日までに集められた情報に基づき作成された。27日から2日間開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)での討議資料となる。

(ワシントン時事)
2021年7月15日