雇用回復は来年末以降 コロナ禍で格差拡大/OECD見通し

[海外]

経済協力開発機構(OECD)は7日、加盟国の雇用状況に関する報告書を公表し、新型コロナウイルス危機以前の水準に回復するのは2022年末以降になるとの見通しを示した。コロナ禍で高所得者と低所得者との格差が拡大したと指摘。「各国政府が復興計画の中心に雇用対策を据えなければ、不平等が定着する危険性がある」と警告している。

OECDは、新型コロナが世界中に広がった20年4月、加盟国の平均失業率が前月比3ポイント上昇の8.8%に悪化したと説明。若い世代で特に高く、18.9%に達した。

日本の失業率は、19年の平均2.4%から21年5月に3%と、他の加盟国に比べ影響は小さかった。OECDは、日本政府がロックダウン(都市封鎖)などの厳格な規制を行わなかったことや、感染率が低かった点を理由に挙げている。

OECDは、高度な技術を持った労働者がロックダウン中も在宅勤務で収入を得ていた一方、技術を持たない人は労働時間を削られたり、雇用契約を解除されたりする割合が高かったと分析。「コロナ危機は経済的、社会的な分断を加速させ、労働市場での不平等を招いた」と指摘した。

(パリ時事)
2021年7月7日