米景気、2月に後退入り 拡大は過去最長の128カ月
米国の景気循環を判定する全米経済研究所(NBER)は8日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の急激な縮小で、今年2月にリセッション(景気後退)入りしたと認定した。拡大期間は2009年6月から128カ月(10年8カ月)と、記録が残る1854年以降で最長と判定した。
これまでの最長は、ITバブル期だった1991年3月から01年3月までの120カ月。今回、記録を更新した拡大局面はリーマン・ショック後、連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和策やトランプ政権の大型減税などを追い風に推移してきたが、NBERは今年2月に「はっきりと山に達した」と結論付けた。
NBERは景気後退判断に際し、「経済活動の低下が数カ月以上継続」との基準を挙げている。一般的には実質GDP(国内総生産)が2期連続で前期比マイナスとなれば該当する。
ただ今回は、新型コロナの感染拡大を受けた失業者の急増、GDPの7割を占める個人消費や生産の低迷など「景気縮小の深さ、期間、経済全般の落ち込みかどうか」を重視した。
一方、四半期でみた景気の山は19年10~12月期だったと判定した。
米経済は今年4~6月期に2期連続のマイナス成長に陥ることが確実視されている。議会予算局(CBO)は7~9月期に20%超のプラス成長に持ち直すと予測しているが、NBERは経済全般を評価して景気の谷の時期を判定する見通しだ。
◇米国の景気拡大期
- 2009年6月~2020年2月
- 128カ月(金融緩和、トランプ政権大型減税)
- 1991年3月~2001年3月
- 120カ月(ITバブル)
- 1961年2月~1969年12月
- 106カ月(ケネディ政権歳出拡大)
- 1982年11月~1990年7月
- 92カ月(レーガノミクスによる減税、規制緩和)
- 1938年6月~1945年2月
- 80カ月(第2次大戦景気)
- 2001年11月~2007年12月
- 73カ月(住宅バブル)
- 1975年3月~1980年1月
- 58カ月(低金利景気)
(注)全米経済研究所(NBER)による
(ワシントン時事)
2020年6月9日