介護施設95%再開 被災3県、福島は7割/人材確保が課題

[動向]

東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県にある特別養護老人ホームなどの入居型高齢者福祉施設266カ所のうち、2月1日現在で95%に当たる252カ所が運営を再開した。東京電力福島第1原発事故の影響が大きい福島県では、再開率が7割にとどまる一方、岩手、宮城両県は復旧がほぼ完了。ただ、介護職員が足りず震災前より受け入れを制限する施設もあり、人材確保が大きな課題になっている。

福島県では34施設が被災。再開した23施設のうち6施設は、避難先の仮設の建物を利用している。原発事故の避難指示区域内の5施設は復旧時期が見通せない。

一方、岩手県では34施設が被災したが、2014年度末までに、廃止を決めた1施設を除き全て再開。入所者の受け入れ制限も解消し、「震災前の状況にほぼ戻った」(同県担当者)。198施設と最多の宮城県では、一部仮設が残るものの196施設が再開し、さらに1施設が17年度に復旧予定だ。

3県とも課題は人材確保。介護職員の1月の有効求人倍率は、宮城、福島とも2.99倍と県平均の2倍以上。岩手も1.93倍で県平均(1.16倍)を大きく上回る。仕事がきつく給料が安いなどイメージが悪く、求職者は少ない。

原発事故による若年層の流出も影響している。福島県南相馬市では10施設が再開したが、うち3施設は職員が確保できず、受け入れ数を減らした。約7万1,000人だった人口は約4万7,000人に減少。担当者は「介護の現場を担ってきた若い女性が避難先から戻って来ていない」と話す。

宮城県が訪問介護なども含む107事業所に行ったアンケート調査(速報値)で、介護職員の不足数は91人に達し、半分以上を特養などの入所型が占めた。県の担当者は「看護師などは含んでおらず、実際はもっと深刻だ」と危機感を募らせる。気仙沼市と南三陸町は1月、福祉関連事業者らと人材確保に向けた協議会を設立した。

福島県は、県外から原発周辺地域の福祉施設に就職する人に就職準備金を低利で貸し出し、2年間勤めれば返済を全額免除する事業を始めた。岩手、宮城両県でも研修会を実施するなど、介護人材の確保に重点を置いている。

(時事通信)
2016年3月10日