メールマガジン労働情報 No.1668

■□――【メールマガジン労働情報/No.1668】

 トヨタ賃上げ、満額9,200円 コロナ禍、企業間でばらつき 春闘、大手が集中回答 ほか

―2021年3月19日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】2月1日時点の大学生の就職内定率89.5%、前年同期比2.8ポイント低下/厚労省 ほか
【統計】正社員等労働者、パートタイム労働者とも引き続き不足超過/労働経済動向調査 ほか
【労使】トヨタ賃上げ、満額9,200円 コロナ禍、企業間でばらつき 春闘、大手が集中回答 ほか
【動向】少子化に関する国際比較調査、日本では「仕事と子育てを両立できる環境の未整備」が最多/民間調査 ほか
【企業】リモートワークを定常化し、座席数を所属人員数の約50%へ/三菱マテリアル
【海外】ウーバー運転手、「労働者」待遇に 英で7万人対象
【イベント】シンポジウム「DX×人材×スキル~リスキリングの時代~」をオンラインで開催/リクルートワークス研究所 ほか

※本号の記事見出し・リンク先一覧です。
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/list/mm20210319.html

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【JILPT研究成果情報】
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◇ディスカッションペーパー 21-04
『コロナショックと非正規雇用者―2020年夏までの状況を中心に―』

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済への打撃(コロナショック)により非正規
雇用者が仕事と生活において被った影響を明らかにするため、官庁統計の公表データ
およびJILPTが実施した個人アンケート調査、企業アンケート調査を分析しました。
コロナショックによる雇用調整は全体として労働時間の減少を中心とした雇用維持志向
のものでしたが、正規/非正規雇用の区分で見ると非正規雇用者の雇用が大きく減少して
いたこと、しかし自発的離職者、離職後に非労働力化する者も多かったことから、
リーマンショック時のように失業者数が急増することはなかったこと、非正規雇用者は
休業措置の下でも手当を支給されにくかったり、もともとの世帯年収が低かったりするため、
僅かな労働時間減少が家計の赤字化に直結しやすい状況にあったことなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2021/21-04.html

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【新型コロナウイルス感染症関連情報】
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☆緊急コラム

「飲食・宿泊業労働者の職業生活」
 雇用構造と政策部門 副主任研究員 高橋 康二(3月19日)

 新型コロナウイルス(以下、コロナ)は、飛沫を通じて感染するという性質上、
感染拡大防止のため大人数での会食が避けられてきた。また、人の移動が感染を
拡大するとの観点から、不要不急の遠方への移動(旅行、出張など)も抑制されてきた。
その結果、大きな打撃を受けたのが飲食・宿泊業である。JILPTの企業アンケート調査に
よれば 、2020年9月と前年同月とを比較して生産・売上額等が減少した企業の割合、
人件費が減少した企業の割合、労働者が減少した企業の割合は、いずれも飲食・宿泊業に
おいて最も高い。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/column/026.html

☆新型コロナウイルス感染症関連情報

 JILPTでは、「新型コロナウイルス感染症関連情報」のホームページを開設し、
緊急コラムや新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響(国内統計、国際比較統計)、
国内及び諸外国の動向について掲載するとともに、政府や労使団体等が提供している
雇用・労働関連支援情報をご案内しています。
 日本の状況や対応を海外に発信するため、特設ページの英語版も開設しており、
順次、掲載情報を追加しています。
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/index.html
(英語版)
https://www.jil.go.jp/english/special/covid-19/index.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆『労働関係法規集2021年版』 予約受付中!
 3月29日(月)より発送を予定しております。

 主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの
法規集です。2021年版では「公益通報者保護法」「労働者災害補償保険法」
「雇用保険法」等の改正のほか、「労働者協同組合法」「新型コロナウィルス感染症等の
影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」等を新規収録しています。
【B6判変型1,070頁 定価:1,650円(本体1,500円) 3月25日刊行予定】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

☆新刊『団結と参加 労使関係法政策の近現代史』 予約受付中!
 4月1日(木)より発送を予定しております。

―世界の集団的労使関係法制の歴史をコンパクトにまとめた学術的テキスト―
 労働分野では個別労働関係に関わる研究が圧倒的な日本。しかし、世界に目を転じると、
今なお集団的労使関係法制の存在感は大きく、その改定が政治的対立の焦点になっています。
本書は世界の集団的労使関係の歴史を法的視点から改めて見直し、新たな捉え方、考え方を
示唆する1冊です。
【A5判320頁 定価:3,850円(本体3,500円) 3月31日刊行予定】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/danketsusanka.html

◇ブックレット『新型コロナウイルスと労働政策の未来』発売中!

 本書は、昨年8月20日に開催された東京労働大学特別講座「新型コロナウイルスと
労働政策の未来」の内容を、関連する背景資料と併せてブックレットとして
とりまとめたものです。
【A5判134頁 定価:1,100円(本体1,000円) 12月21日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/booklet/01.html

◇『ユースフル労働統計2020―労働統計加工指標集―』発売中!

 本書は、既存の労働統計から新しい統計指標を計算する方法と結果を紹介する資料集です。
【A5判372頁 定価:1,650円(本体1,500円) 11月30日刊行】
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2020/index.html

☆読者アンケートご協力のお願い

「メールマガジン労働情報」の読者アンケートを行っています。
 まだ回答されていない方は、是非ご協力をお願いします。
【ご回答はこちらからです】
https://inq18.smp.ne.jp/q/ajI48bH7ci0DIJtpibIJVOB7/2021mmenquete

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【行政】
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●2月1日時点の大学生の就職内定率89.5%、前年同期比2.8ポイント低下/厚労省

 厚生労働省は19日、21年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(2月1日時点)を公表した。
大学の就職内定率は89.5%で、前年同期比2.8ポイント低下。短期大学の就職内定率は82.7%
(同6.6ポイント低下)、高等専門学校及び専修学校(専門課程)の就職内定率は、それぞれ
97.1%(同2.9ポイント低下)、76.7%(同10.2ポイント低下)。厚労省と文科省による共同
調査で、設置者・地域の別等を考慮し抽出した112校が調査対象。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00011.html

●「優秀外国人建設就労者表彰」の受賞者を公表/国土交通省

 国土交通省は18日、「優秀外国人建設就労者表彰」の受賞者を公表した。外国人材の
技能等の更なる向上及び外国人材受入企業における優れた取組みの拡大のために、技能向上へ
日々の研鑽を積む外国人建設就労者を表彰するもの。23日に表彰式を開催する。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00032.html

●職業訓練制度(ハロートレーニング)の紹介/政府広報オンライン

 政府広報オンラインの「暮らしに役立つ情報」のコンテンツとして、「就職のために
役立つ知識・スキルを学ぶハロートレーニング」が掲載されている。誰でも利用できる公的な
職業訓練制度(ハロートレーニング)である離職者訓練と求職者支援訓練について、簡潔かつ
わかりやすく紹介されている。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202103/1.html#section003

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【統計】
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●正社員等労働者、パートタイム労働者とも引き続き不足超過/労働経済動向調査

 厚労省は17日、「労働経済動向調査」(2021年2月)結果を公表した。労働者の
過不足状況について正社員等労働者過不足判断DI(調査産業計)はプラス27ポイント。
39期連続の不足超過。産業別では特に「医療、福祉」「建設業」「学術研究、専門・技術
サービス業」で人手不足感が高い。「宿泊業、飲食サービス業」はマイナス1ポイントで
唯一の過剰。パートタイム労働者過不足判断DIは調査産業計で19ポイント。46期連続の
不足超過。特に「サービス業(他に分類されないもの)」「医療、福祉」「卸売業、小売業」
などで人手不足感が高い。未充足求人がある事業所の割合は、調査産業計で45%となっている。
(報道発表)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2102/dl/7siryo.pdf
(結果の概要)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2102/dl/4kekkagaiyo.pdf

●1月の生鮮食品を除く総合指数、前年同月比0.4%下落/全国消費者物価指数

 総務省は19日、2021年2月の全国消費者物価指数を公表した。生鮮食品を除く
総合指数は101.5で、前年同月比0.4%の下落、前月比(季節調整値)0.1%の上昇。
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
(報道発表資料)
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

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【労使】
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●トヨタ賃上げ、満額9,200円 コロナ禍、企業間でばらつき 春闘、大手が集中回答

 2021年春闘は17日、大手企業の集中回答日を迎えた。トヨタ自動車の労使交渉は、賃上げ
総額が労働組合の要求通り月額9,200円で決着、昨年実績を600円上回った。年間一時金も
6.0カ月(昨年実績6.5カ月)と満額回答。ただ、新型コロナウイルス感染拡大により企業間
で業績に格差が生まれ、産業界全体を見渡せば賃上げ率は8年ぶりに2%を下回る見通しだ。
(時事通信)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/roushi-k/20210319.html

●人材派遣事業団体との共同宣言を確認/連合

 連合は18日、一般社団法人日本人材派遣協会、一般社団法人日本生産技能労務協会との間で、
共同宣言を確認したことを発表した。新型コロナ感染症拡大に伴いさらなる雇用悪化が見込まれ
るなか、両協会と加盟各社、連合と構成組織(単組)が各々の立場で取り組む課題と今後の協議体制
などを確認。共同宣言では、両協会は、20年4月施行の同一労働同一賃金に関する新たな法制度の
順守・徹底、雇用確保と就業機会の創出、派遣就業をする人々への適正処遇の推進・キャリア形成
支援などに取り組み、連合は雇用対策に全力を尽くすとともに、就業形態にかかわらず誰もが自らの
能力を発揮し、適正に評価される職場環境の実現に向けた取組などを推進するとしている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=1726

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【動向】
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●少子化に関する国際比較調査、日本では「仕事と子育てを両立できる環境の未整備」が最多/民間調査

 日本財団は17日、8カ国(アメリカ、イタリア、韓国、スウェーデン、中国、デンマーク、
日本、フランス)の女性を対象に少子化をテーマとした意識調査結果を公表した。各国の
18~69歳の女性、500名が回答。少子化の要因について、日本では「仕事と子育てを両立できる
環境の未整備」が約7割。次いで「出産・育児の経済的負担が大きすぎる」が6割以上。
アメリカ、中国、韓国、イタリアでは「出産・育児の経済的負担が大きすぎる」が、フランス
では「女性の社会進出に伴う晩婚・非婚化」、スウェーデンとデンマークでは「結婚や子供を
持つことが当たり前ではなくなった」がそれぞれ最多となっている。
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/woman-survey

●AI(人工知能)が導入されている企業は25.6%/民間調査

 アデコは17日、「AI(人工知能)導入に関する意識調査」結果を発表した。一都三県に本社が
ある上場企業に勤務する管理職を対象とした調査で、前回17年と今回20年調査の比較も実施。
職場でAI(人工知能)が導入されているかについて、「導入されている」が25.6%(前回6.8%)、
「3年以内に導入する計画がある」は27.0%(同28.8%)、「されていないし計画もない」は28.1%
(同38.5%)、「わからない」は19.3%(同25.9%)。AI導入による職場への影響は、「既存の仕事
の効率化、生産性が向上する」が58.8%(同48.2%)で最多。AI時代に必要なビジネス能力は、
20年の1位は「分析的思考力・概念的思考力」(45.9%)で、17年1位の「対人関係力」(55.0%)
は23.8ポイント減少。
https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/193

●22年卒の3月1日時点の就職活動、1人あたりのエントリー社数の平均は23.3社/民間調査

 ディスコは16日、22年卒の3月1日時点の就職活動調査結果を発表した。1人あたりの
エントリー社数の平均は23.3社で、前年同期実績(21.6社)を1.7社上回った。今後のエントリー
予定社数に関しても平均10.7社と、前年調査(9.4社)より多い。これまで売り手市場を背景に、
1人あたりのエントリー社数は減少傾向にあったが、コロナ禍で増加に転じたとしている。
志望業界を「決めている」学生は 89.8%。「情報処理・ソフトウエア」が最も多く17.9%。
次いで「情報・インターネットサービス」17.3%、銀行17.2%の順。
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/03/202103_gakuseichosa_kakuho.pdf

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【企業】
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●リモートワークを定常化し、座席数を所属人員数の約50%へ/三菱マテリアル

 三菱マテリアル株式会社は18日、本社を「コミュニケーション・コア」と位置づけ、
新しい働き方にあわせて最適化を図るとともに、5月に「両国オフィス」「新国際オフィス」
の都内2拠点を本社に集約すると発表した。リモート環境では満たされないリアルな関係を
構築する場として会議室や食堂などのコミュニケーションスペースを維持しながら、新たに
Web会議に適した個室型フォンボックスや、専用ブース席などのエリアを設け、リモートでの
コミュニケーションに適応した環境を整備するとともに、リモートワークを定常化し、座席数
を所属人員数の約50%とする。
https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2021/21-0318.html

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【海外】
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●ウーバー運転手、「労働者」待遇に 英で7万人対象

 米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズは16日、英国の7万人以上の運転手について、
17日以降、英国の雇用法に基づく「労働者」として待遇すると発表した。全国最低賃金や休業
手当、年金制度の対象となり、運転手を自営業者と見なしてきたライドシェア(相乗り)事業
にとってコスト増加要因となる可能性がある。英最高裁が2月、ウーバーの運転手を「労働者」
と認定したことを受けた措置。(シリコンバレー時事)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kaigai/20210319.html

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【イベント】
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●シンポジウム「DX×人材×スキル~リスキリングの時代~」をオンラインで開催/リクルートワークス研究所

 リクルートワークス研究所は29日、Works Symposium「DX×人材×スキル~リスキリングの時代~」
をオンラインで開催する。デジタルトランスフォーメーションが加速する現代にフィットした
リスキリング(Reskilling:従業員の能力の再開発)とはどのようなものか、また、企業が
その従業員に対して、リスキリングを行うとは具体的に何をすることなのかなど、これまで
の研究で明らかになってきたリスキリングのさまざまな要素の報告を予定。
参加費無料。要事前申込。
https://www.works-i.com/info/sympo-dx/index.html

●令和3年度「熱中症予防対策セミナー」を開催/東京労働局

 東京労働局は熱中症による労働災害の発生を防止するため、4月15日に都内で
「熱中症予防対策セミナー」を開催する。専門家による特別講演のほか、熱中症災害
発生状況及び「クールワークキャンペーン」実施要綱についての説明を予定。
参加費無料。定員80名。要事前申込。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/event/newpage_00053.html
(案内文)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000835258.pdf