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       職業紹介事業等に関する法制度の在り方について





T 基本的考え方

  近年における急速な産業構造の変化、経済産業活動の国際化、高度情報化の進展、

 急激な少子・高齢化、労働者の就業意識の変化等の我が国社会経済の構造変化に伴

 い、労働力需給に係るニーズは大きく変化してきている。

  労働力需要面では、専門的な知識、能力を有する即戦力となる人材を迅速に採用

 したいとするニーズの高まりが見られるとともに、新規プロジェクト等の要員や教

 育訓練受講者、育児・介護休業取得者等の代替要員といった臨時的、短期・一時的

 な労働力確保の必要性も増大している。

  労働力供給面では、リストラ等により転職を余儀なくされる労働者、自己の有す

 る専門的な知識、能力を発揮できる仕事を求める労働者、ライフスタイルに合った

 働き方のできる仕事を求める労働者の増加がみられる。

  国際的な労働力需給に関しては、外国企業の進出に伴う人材募集や、国外に居住

 する専門的知識、能力を有する人材の採用ニーズに対処する必要性が増大している。

  こうした労働力需給に係るニーズの変化に的確に対処し、労働者の雇用の安定を

 図っていくためには、長期雇用システムの下における能力開発、配置転換等による

 雇用の維持と併せて、労働市場について労働力需給のミスマッチを解消し、失業期

 間の短縮が図られるよう、「公正かつ効率的でセーフティネットを備えた労働力需

 給調整機能の整備」を図る必要がある。このためには、公共職業安定機関の職業紹

 介等の機能を充実、強化するとともに、民間機関が活力や創意工夫を活かし適切に

 労働力需給調整の役割を果たし得るようにすることにより、労働者、事業主双方が、

 労働力需給調整に関するニーズに応じた多様な選択を行えるようにするとともに、

 これらの機関による労働力需給調整が円滑、的確に機能し、かつ、労働者の保護が

 十分に確保されるよう労働市場のルールの整備、充実と履行確保を図っていくこと

 が必要である。

  特に、現在の厳しい雇用失業情勢の下においては、職を求める労働者が一人でも

 多く早期に失業状態を脱し、雇用に就けるようにする上からも、こうしたルールの

 整備、充実の早急な実現が求められている。

  国際的にも、このような労働市場の変化やこれに対応した労働力需給調整機能の

 整備の必要から、一昨年6月のILO総会において、大多数の国の政労使一致の賛

 成によりILO第181号条約(民間職業仲介事業所条約)が採択され、新たな国

 際基準が形成されたところである。

  以上のような状況の下で、労働力需給調整に関する基本法である職業安定法をは

 じめ職業紹介事業等に関する法制度について、労働力需給に係るニーズの変化及び

 ILO第181号条約の採択等の国際的動向を踏まえ、次のような考え方に基づき、

 公正かつ効率的でセーフティネットを備えた労働力需給調整機能の整備を図ること

 が必要である。



 1 国内の各機関における労働力需給調整機能の強化

   労働力需給に係るニーズの変化に的確に対応して、労働力需給調整機能の強化

  を図るため、労働力需給調整に関わる国内の各機関が、以下のとおりその特性を

  活かし、労働力需給調整を円滑、的確に行えるようにすることが必要である。

 (1)公共職業安定機関については、勤労権及び職業選択の自由の保障のセーフテ

   ィネットとしての役割を適切に発揮するため、労働力需給に係るニーズの変化

   に対応した労働力需給調整機能の充実、強化を図る。

 (2)民間の職業紹介事業者については、活力及び創意工夫を活かし、労働力需給

   調整の役割を適切に果たせるよう、有料職業紹介事業等のルールの見直しを図

   る。

 (3)労働組合、公益法人等については、その有する特性、関係分野への影響力等

   を活かし、労働力需給調整の役割を適切に果たせるよう、無料職業紹介事業等

   のルールの見直しを図る。



 2 労働者保護等のためのルールの整備、充実及び履行確保

   公共及び民間の各機関が労働力需給調整の分野でそれぞれの有する特性、創意

  工夫を活かした活動を行うための前提条件として、労働力需給調整が円滑、的確

  に行われ、労働者保護が十分確保される労働市場のルールづくりを行うことが不

  可欠である。

   このため、公共及び民間に共通する労働者保護、労働力需給調整の円滑化のた

  めのルールや民間の職業紹介事業者等の事業運営の適正化のためのルールの整備、

  充実を図るとともに、その厳格な履行確保を図ることが必要である。

   さらに、こうした労働市場のルールは、労働者の働き方、労働条件の多様化、

  個別化が進む中で、求職者、求人者はもちろん職業紹介事業者等に対しても、極

  力透明、明確なものとして示される必要がある。



 3 ILO第181号条約の早期批准

   労働市場のルールに関する新たな国際基準であること、及び労働者保護等のル

  ールに係る国内法の整備を前提に批准することが適当であることについて、我が

  国労使のコンセンサスが形成されているILO第181号条約を踏まえたルール

  の整備を図ることが適当である。

   これにより、同条約の早期批准を図ることは、労働力需給をめぐる国際的動向

  に対応することになる。





U 公共及び民間の職業紹介事業等に共通するルールの在り方

 1 労働者保護のためのルール

 (1)各機関に共通するルール

  イ 差別的取扱の禁止

    現行の職業安定法第3条の職業紹介、労働者供給、労働者派遣に係る差別的

   取扱の禁止の規定について、その趣旨及び履行の徹底を図るため、その具体的

   内容を、下記3の指針において明確化することが適当である。

  ロ 個人情報の保護

   (イ) 個人情報の漏えいの禁止

     現行の職業安定法第51条の職業紹介等に関しての個人情報の漏えいの禁

    止の規定について、Vによる民間職業紹介事業者等の事業分野の拡大や情報

    処理伝達技術の発達、普及等に対応して、その実効を高めるため、禁止の対

    象となる者を明確化するとともに、職業紹介事業者等は仲介者であって労働

    者を雇用する者ではない点等にかんがみ、その違反について罰則を設けるこ

    とが適当である。

   (ロ) 労働者の個人情報の収集、保管等の取扱いに関するルール

     労働者の個人情報の収集、保管等の取扱いに関するルールを設けることと

    し、ILO第181号条約第6条を踏まえつつ、職業紹介事業者等は、@個

    人情報については労働者の有する資格、職業経験に関連する事項等事業の目

    的の達成に必要な範囲内で収集し、当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、

    利用しなければならない旨、A個人情報を適正に管理するために必要な措置

    を講じなければならない旨を法令上明確化することが必要である。

     この具体的内容については、指針において明確化することが適当である。

    指針において示すべき事項としては、個人情報の収集、保管、利用の範囲及

    び方法、情報管理規程の作成、職業紹介責任者等の管理責任の明確化、従事

    者への指導・教育、開示、訂正等といった個人情報を適正に管理するための

    措置の在り方があげられるが、詳細は引き続き検討するものとする。検討に

    当たっては、我が国における雇用管理の実態にも配慮するものとする。なお、

    ルール違反への対応として改善命令及びこれに違反した場合の罰則適用の規

    定に加え上記(イ)と同様に罰則を設けることが必要であるとの意見、指針に

    係る検討に当たり円滑、効率的な労働力需給調整を行う上で当事者への情報

    の提供が重要な役割を有するものであることに留意することが必要であると

    の意見があった。

     さらに、この問題については、労働者派遣事業制度の見直しに際し、職業

    紹介事業等に係る検討を待って検討する取扱いとなっていたところであるの

    で、以上のようなルールの設定に伴い、労働者派遣法においても、派遣元事

    業主は職業紹介事業者等とは異なり労働者を雇用する者であることにかんが

    みつつ、職業紹介事業等と同様労働者の個人情報の収集、保管等の取扱いに

    関するルールを法令上明確化することが必要である。

  ハ 労働条件等の明示

    現行の職業安定法第18条による労働条件等の明示の規定について、労働者

   保護や就職後の紛争の防止等を図る観点から、その実効を高めるため、賃金、

   労働時間等の基本的労働条件等について、文書明示を要することとすることが

   必要であり、この文書明示の対象とする賃金、労働時間以外の労働条件等の事

   項については引き続き検討するものとする。

    さらに、文書明示の適正な実施を図るため、明示する労働条件等は、虚偽又

   は誇大な内容でないこと、求職者等に具体的に理解されるものとなるよう可能

   な限り水準、範囲等を限定すること、労働契約締結時の労働条件と相違する可

   能性がある場合はその旨を明らかにすること等を指針において示すことが適当

   であり、詳細は引き続き検討するものとする。

    また、職業紹介事業者が求職者に対し的確に労働条件等の明示が行えるよう、

   求人者が求人申込みに際し職業紹介事業者に対して示す労働条件等についても

   文書明示を要することとすることが必要である。

 (2)職業紹介事業に関するルール

  イ 求人・求職申込み受理の原則

    現行の職業安定法第16条、第17条の求人、求職の申込み受理の原則につ

   いて、その維持を基本としつつ、民間の職業紹介事業においては、当該職業に

   ついて専門的知識を要したり、求職者に対し手厚い情報提供、指導、相談等を

   要する分野があることから、こうした分野について効果的、効率的な求人、求

   職の結合を促進する観点から、職業や求職者の属性等を限定した職業紹介が実

   施できるようにすることが適当である。

    このため、民間の職業紹介事業について、求人、求職申込みを受理する範囲

   をあらかじめ設定することを可能とし、その範囲においてはすべての求人、求

   職の申込みを受理しなければならないこととすることが適当である。

  ロ 適格紹介の原則

    現行の職業安定法第19条の適格紹介の原則について、例えば指針において

   その具体的内容を明確化する等、民間の職業紹介事業における適切な実施を確

   保するための具体的方策について引き続き検討するものとする。



 2 労働力需給調整の円滑化のためのルール

 (1)職業分類や労働力需給調整に関する専門用語の共通化等

    円滑、的確な労働力需給調整を実現する観点から、労働市場における情報を

   求人者、求職者等が正確かつ効果的に入手、活用できるようにするため、公共

   及び民間の職業紹介事業者等に共通して使用されるべき標準職業名を定めると

   ともに、労働力需給調整に関する専門用語の共通使用を進めることが必要であ

   り、この旨を法令上明確化することが適当である。

    これに加え、職業能力に係る社会的評価システムの整備、確立を図ることが

   適当である。

 (2)国による労働市場に関する情報の収集、整理、提供等

    国は、公共及び民間を通じた労働力需給調整の状況の把握、整理、公表等を

   行うことが必要であり、この旨を法令上明確化することが適当である。

 (3)公共と民間の職業紹介事業者等との相互協力

   円滑な労働力需給調整のために、公共職業安定機関と民間の職業紹介事業者等

   との間の雇用情報、職業紹介等についての相互協力を促進することが必要であ

   り、この旨を法令上明確化することが適当である。



 3 国による指針の策定

   労働者保護のためのルール及び労働力需給調整の円滑化のためのルールの適正

  な履行確保を図るため、国は、これらのルールの具体的内容及びその実施上の留

  意事項等について、法律に根拠を有する指針を定めて示すことが必要である。



 4 事業者団体等による自主規制

   事業者団体等が、これに属する職業紹介事業者等の事業運営が適正に行われる

  よう、それぞれの分野の実情に応じた倫理綱領等の自主的なルールを定め、関係

  法令と併せてこれを遵守していくことが重要である。

   また、事業者団体等が倫理綱領等を定めた場合は、関係法令と併せてこれを求

  人者、求職者等の関係者に十分に周知させる等により、事業の適正な運営を図る

  ことが必要である。

   なお、事業主団体等により、倫理綱領等の実効性を確保するための自主的な仕

  組みが設けられることを期待する旨の意見があった。



 5 苦情処理体制の整備

   労働者の働き方や労働条件等の多様化、個別化の進展、労働移動の増大等に伴

  い、労働力需給調整に関する苦情の増加が予想されることから、求職者、求人者

  等の個々の苦情を簡易、迅速、的確に処理する体制を整備することが必要である。

   このため、民間の職業紹介事業者、労働者供給事業者及びこれらの団体におけ

  る求職者、求人者等からの苦情に適切に対応するための体制整備を促進すること

  が必要である。

   また、国は、労働力需給調整に関する苦情について、事実関係を整理し、その

  内容に応じ都道府県レベル又は公共職業安定所レベルで苦情を受け付け、相談、

  助言等を行うとともに、必要に応じ、民間の職業紹介事業者等に対し必要な指導

  等を行うことにより簡易、迅速に解決を促す体制を整備することが必要である。

  この場合に苦情処理の中立公平な運用を確保するため、職業紹介の窓口とは別の

  窓口を設ける等、国の職業紹介事業担当部門とは組織的に明確に分離された形で

  実施することが適当である。



 6 申告制度の創設

   5の苦情処理体制の整備と併せ、国は、民間の職業紹介事業者等が法令違反を

  行った場合に、厳格な対応を行い得る仕組みを設けることが適当であり、職業安

  定法及びその政省令違反について、求職者等による労働大臣に対する申告制度を

  創設することが適当である。なお、この場合に、申告を理由として求職者に不利

  益な取扱いをすることは、1(1)イの差別的取扱に当たることとなる。



 7 罰則

   職業安定法の罰金額を、労働者派遣法の罰則との均衡も考慮しつつ見直すとと

  もに、個人情報の漏えいの禁止の規定違反については、罰則を設けることが適当

  である。

   さらに、V1(2)ハ(イ)の有料職業紹介事業等の許可等の手続の整備に伴い、

  その手続違反等について罰則規定の整備を行うことが適当である。





V 民間職業紹介事業等の在り方

 1 有料職業紹介事業

 (1)取扱職業

    民間の職業紹介事業者が、活力及び創意工夫を活かし、労働力需給調整の役

   割を適切に果たせるようにする観点から、有料職業紹介事業を行うことによる

   弊害が明らかに予想される職業を除き、労働大臣の許可を受けて有料職業紹介

   事業を行うことができることとすることが必要である。

    この場合に、建設業務の職業については、労働者との間で支配従属関係が実

   質的に存在し、労働者供給と明確に区分し得ない形で職業紹介が行われるおそ

   れが強い現状から取扱職業から除くことが適当である。また、港湾労働法に基

   づく特別の労働力需給調整システムが設けられている港湾運送業務の職業につ

   いても、除くことが適当である。

    なお、これらの職業以外の職業であっても、今後、当該職業をめぐる労働関

   係等の実態や職業紹介の弊害の発生状況等に照らし、必要なものは適時除いて

   いくものとすることが必要である。また、一旦除いた職業について有料職業紹

   介事業を行うことによる弊害が生じることがないと認められる場合には、除外

   を解除することが適当である。

    さらに、このような除外及び除外の解除が適時適切に行われるようにするた

   めの手続の在り方については、引き続き検討するものとする。

 (2)許可制度

    職業紹介事業については、有料、無料のいずれについても、不適格な業者の

   参入を排除することにより、事業運営の適格性を確保し、求職者の利益を保護

   する観点から、許可制を維持することが必要である。これは、職業紹介事業は

   許可又は認可によることを原則としているILO第181号条約第3条の規定

   を踏まえるものであり、さらにはルール違反への対応等の実効性の確保の上か

   らも重要である。

  イ 許可要件

   (イ) 許可要件については、許可の欠格事由、許可の基準、職業紹介責任者の

    選任義務についての基本的事項を法令で明確に定めることが必要である。

   (ロ) 許可基準の内容については、次のような点について見直しを行うことが

    必要である。

    @ 個人情報の的確な管理能力に関する要件

    A 他の事業と兼業を行う場合における要件

    B 職業紹介責任者に係る要件

  ロ 許可の有効期間

    労働者派遣事業の有効期間を参考としつつ、新規は3年、更新は5年に延長

   することが適当である。

  ハ 許可等の手続

   (イ) 許可等の手続については、総合的に見直し、一層の簡素化を図るととも

    に、基本的な事項(許可申請書の記載事項、許可申請書の添付書類、変更の

    許可手続、許可証の交付、許可条件、事業廃止届等)について法律に規定す

    ることが適当である。

   (ロ) 許可に当たっては、公労使三者構成の審議会に諮問の上、許可する仕組

    みを維持することが適当である。

  ニ 職種等の取扱範囲

    効果的、効率的な求人、求職の結合を促進する観点から、職業や求職者の属

   性等を限定した職業紹介も実施できるようにするため、求人、求職の申込みを

   受理する範囲をあらかじめ設定できることとすることが適当である。

    この場合の取扱いの範囲の設定の方法としては、例えば、職種、対象地域、

   対象企業、賃金、高齢者等が考えられるが、どのような設定方法を可能なもの

   とするかについての具体的な基準等は、引き続き検討するものとする。

    さらに、具体的な取扱いの範囲の設定の適否については、個別の許可に際し

   審議会において審査するものとすることが適当である。また、取扱いの範囲の

   変更については、職種の変更は届出とすることが適当と考えられるが、それ以

   外の方法による範囲の変更については、審議会に諮問の上変更を認めることを

   原則に引き続き検討するものとする。

 (3)手数料

  イ 求人者等からの手数料については、現行の職業紹介に関する基本的なサービ

   スについて額の上限が定められた第一種紹介手数料と、当該基本的なサービス

   以外のサービスについて労働大臣の承認制となっている第二種紹介手数料の枠

   組みを改め、基本的なサービスを専ら提供する事業と、基本的なサービス及び

   それ以外のサービスを併せて提供する事業等を念頭に置いた2種類の制度とし、

   事業者が選択できることとすることが適当である。

    この場合に、前者については現行と同様に上限付きの手数料制度とし、後者

   については手数料を労働大臣に届け出た上で当該手数料の内容が適当でない場

   合に労働大臣が変更命令を行うことを内容とする手数料制度とすることが適当

   である。また、変更命令の運用の基準の設定については、引き続き検討するも

   のとする。

    なお、求人者等は、通常、費用及び効果を比較衡量した上、最も適当な職業

   紹介事業者を選択するものと考えられることから、手数料についての規制は必

   ずしも必要ないのではないかとの意見があった。

  ロ 求職者からの手数料の徴収を原則として禁止した上で、関係労働者の利益の

   確保を図る観点から、家政婦、マネキン、配ぜん人、モデル、芸能家等一定の

   職業については例外的に求職者から手数料を徴収できることとすることが適当

   である。

    この場合に、家政婦、マネキン、配ぜん人については、これまでの職業紹介

   事業の運営の実情を踏まえ、激変回避のための経過的措置として、円滑な求人

   確保や職業紹介を維持し、求職者の就業機会を確保するためには、関係者の理

   解協力を得て条件整備ができるまでの間現行の手数料制度を維持することが適

   当と考えられる分野である。

    また、モデル、芸能家等は、求職者によっては、その特別の能力等を最大限

   発揮し、できるだけ高水準の対価を得られる雇用機会を確保するためには自ら

   手数料を負担することが効果的な場合もあると考えられる分野である。

    これらの点を考慮しつつ、対象となる具体的職業や手数料の額のあり方につ

   いては引き続き検討するものとする。

    なお、求職者がよりよい条件の職業に就くという利益を享受できるようにす

   るために相応の投資を行うことは、経済原則にかなったものであるとの意見が

   あった。

 (4)職業紹介責任者

    職業紹介事業者が職業紹介責任者を選任すべき旨を法律で明らかにするとと

   もに、その選任については、事業所ごとに、かつ、取り扱う求職者数に応じて

   選任するものとすることが適当である(例えば、有効求職者500人当たり1

   名とする)。

    また、職業紹介責任者が行うべき業務として、個人情報の管理に関する事項、

   苦情処理に関する事項等を法令に明らかにすることが必要である。

    なお、職業紹介責任者の行うべき業務の重要性に照らし、職業紹介責任者の

   選任要件を見直すとともに、人事、労務等に関する知識が十分に付与されるよ

   うにするための職業紹介責任者講習会の受講を引き続き義務付け、その内容の

   充実を図ることが適当である。さらに、将来的には、職業紹介責任者の業務に

   ついて専門的職業としての社会的な評価及び地位が向上し確立されることが重

   要であり、このため、有料職業紹介事業の進展の状況をみつつ、職業紹介責任

   者に係る資格制度の導入を検討する必要がある。

 (5)職業紹介事業に係る基本的事項の明示

    職種等の取扱範囲、手数料、提供するサービスの内容、苦情処理の方法等の

   職業紹介事業に係る基本的事項については、事業内容の明確化、透明化を図る

   観点から、利用者への明示を義務付けることが必要である。

 (6)労働者派遣事業との兼業の取扱い

    労働者派遣事業との兼業の取扱いについては、

   ○ 有料職業紹介事業、無料職業紹介事業、労働者派遣事業の許可基準により

    禁止されている「労働者を職業紹介することを目的とした労働者派遣」も、

    労働者の意思に基づくものであれば、派遣就業から常用の直接雇用への転換

    を促進する観点から、認めることが適当である。

   ○ 職業紹介事業について適正運営の実績があること等一定の要件を満たす家

    政婦、マネキン、配ぜん人等の有料職業紹介事業者が、今後、労働者の就業

    機会の確保を図るため労働者派遣事業を兼業する場合については、事業運営

    の実績や零細業者が多い等の実情に照らし、事業所面積、資産要件等の基準

    について、兼業の許可に係る激変緩和措置を講ずることが適当である。

   といった意見があったが、一方で、

   ○ 先に国会に提出され、継続審議となっている労働者派遣法の内容は、常用

    雇用の代替防止や労働者保護の措置が必ずしも十分なものではなく、労働者

    派遣事業との兼業の取扱いについて検討するには、労働者派遣法に係る国会

    審議の結果を踏まえる必要がある。

   ○ 労働者派遣事業との兼業を認めるには、製造業のライン現場などへの請負

    と称する偽装派遣について労働者派遣事業と請負により行われる事業との区

    分に関する基準等を是正し、労働者の権利を確保すべきである。

   との意見があった。

    この取扱いについては法的な対応を要しないことから、これらの意見を十分

   に踏まえ、今後における有料職業紹介事業、無料職業紹介事業及び労働者派遣

   事業の許可基準に係る議論の中で検討するものとする。

 (7)ルール違反への対応等

    ルール違反について、その内容、程度等に応じた的確、効率的な対応を行う

   ため、現行の許可取消、事業停止命令制度に加え、助言・指導、改善命令、事

   業報告について、法律に規定することが適当である。

    また、2ハ(イ)の有料職業紹介事業の許可等の手続の法定に伴い、変更の許

   可違反、変更の届出義務違反、職業紹介責任者の選任義務違反、改善命令違反

   等に対する罰則規定を設けることが適当である。

 (8)ヘッドハンター、アウトプレースメントへの対応

  イ 東京エグゼクティブサーチ事件最高裁判決(平成6年4月22日)の判断に

   よれば、求人者に紹介するため求職者を探索した上当該求人者に就職するよう

   勧奨し、これに応じて求職の申込みをした者をあっせんするいわゆるスカウト

   行為を事業として行う場合は、職業紹介事業に含まれるとしている。こうした

   判断等を踏まえ、指針において、この旨及び職業紹介事業の許可を取得する必

   要があることを明らかにした上で、必要な指導等を行うことが適当である。

  ロ 近年増加しているアウトプレースメントには、教育訓練、相談、助言等のみ

   行うものと、これにとどまらず紹介まで行うものとがみられるが、指針におい

   て、後者の事業は職業紹介事業に該当する旨及び職業紹介事業の許可を取得す

   る必要があることを明らかにした上で、必要な指導等を行うことが適当である。



 2 無料職業紹介事業

 (1)許可制度

  イ 許可要件

   (イ) 許可要件については、許可の欠格事由、許可の基準、職業紹介責任者の

     選任義務についての基本的事項を法令で明確に定めることが必要である。

      なお、無料職業紹介事業のうち、少なくとも公益法人、労働組合等が行

     うものについては、届出制としてもよいのではないかとの意見があった。

   (ロ) 現在、営利法人については、長期、継続的に大量の離職者が発生するこ

     とが見込まれ、無料職業紹介事業の実施が必要と認められる場合に限り、

     無料職業紹介事業を行うことが認められているが、営利法人であっても、

     社会貢献等の目的から無料職業紹介事業を行う場合も想定されるので、適

     格紹介の担保等のための適切な措置が講じられることを条件として、無料

     職業紹介事業の実施を認めるものとすることが適当である。

   (ハ) 許可基準の内容については、1(2)イ(ロ)の有料職業紹介事業に準じ

     た見直しを行うことが必要である。なお、公益法人、労働組合等が行う無

     料職業紹介事業については、その設立目的等に照らし適当と認められる範

     囲で実施できるようにすることが適当である。

      営利法人が無料職業紹介事業を行う場合については、職業紹介責任者に

     係る要件等一定の事項を除き有料職業紹介事業と同様の要件の設定を行う

     ことが適当である。

      この場合に、社会貢献等公益的目的のため行われるものであって、他の

     事業についての顧客の獲得、組織の拡大、宣伝等の手段として利用するこ

     とのないよう担保する必要がある。

  ロ 許可の有効期間

    5年に延長することが適当である。

  ハ 許可等の手続

   (イ) 許可等の手続については、総合的に見直し、無料職業紹介事業の運営実

     態を踏まえた一層の簡素化を図るとともに、許可等の手続の基本的な事項

     については、有料職業紹介事業と同様、法律に規定することが適当である。

   (ロ) 全国的又は広域的に組織を構成し、活動している公益法人や労働組合等

     が行う無料職業紹介事業については、その公益的な設立目的の達成に必要

     かつ実施可能な範囲で活動をしているものと考えられることから、その公

     益性及び広域性にかんがみ、各地域の支部等を単位とする許可にかえて当

     該法人等に対する包括的な許可によることもできることとすることが適当

     である。

   (ハ) 許可に当たっては、審議会に諮問の上、許可する仕組みを維持すること

     が適当である。

  ニ 職種等の取扱範囲

    公益法人、労働組合等が行う取扱職種の範囲その他取扱いの範囲の設定につ

   いては、従来どおりとすることが適当である。

    営利法人が行う無料職業紹介事業の取扱職種の範囲その他取扱いの範囲の設

   定については、有料職業紹介事業と同様とすることが適当である。

 (2)雇用情報の提供等の援助

  イ 公益的性格が強く、かつ、無料で行われることから、労働力需給調整が十分

   機能するよう国としての情報提供等の支援の必要性が高い。このため、職業安

   定法第25条の3第1項に規定される公共職業安定所の業務の一部を分担する

   学校に対する援助に準じて、無料職業紹介事業を行う公益法人、労働組合等に

   対し、公共職業安定所が雇用情報、職業に関する調査研究の成果等の提供その

   他必要な援助を行うことができることとすることが適当である。

  ロ 就職の特に困難な障害者や高齢者の雇入れの促進に資するため、営利法人以

   外の公益法人、労働組合等が行う無料職業紹介事業を通じて雇い入れる場合に

   ついて、特定求職者雇用開発助成金の支給対象とすることが適当ではないかと

   の意見があったが、その適否や、実施する場合の対象範囲については、引き続

   き検討するものとする。

 (3)職業紹介責任者、職業紹介事業に係る基本的事項の明示、ルール違反への対

   応等

   1(4)、(5)、(7)に準じたものとすることが適当である。



 3 労働者供給事業

 (1)許可制度

    労働者の労働条件の維持向上等を図るために活動することが法律上明確な労

   働組合等以外については労働者供給事業を禁止するという現在の労働者供給事

   業に係る枠組みを引き続き維持することが必要である。

  イ 許可の有効期間

    5年に延長することが適当である。

  ロ 許可等の手続

   (イ) 近年、音楽家やコンピューター技術者等の専門的な分野については、広

     域的に供給するニーズが高まっており、組合員の雇用機会の確保のために

     必要なケースも多くみられてきている等の事業運営の実情に照らし、居住

     地から通勤可能な地域に供給地域を限定して行う許可の仕方を見直すこと

     が適当である。

   (ロ) 許可等の手続については、総合的に見直し、労働者供給事業の運営実態

     を踏まえた一層の簡素化を図ることが適当である。

 (2)組合員の就業機会の確保、社会・労働保険の適用のための具体的方策

    組合員について、安定的な就業機会を確保するとともに、社会・労働保険の

   適用を促進するため、労供組合が下図のような労働者供給と労働者派遣とを組

   み合わせた労働力需給調整の仕組みにより対応することが考えられる。

    この場合に、供給先である派遣元事業主は、専ら労供組合から労働者供給を

   受けた労働者を派遣する事業を行うこととなるので、これに係る一般労働者派

   遣事業の許可の在り方については引き続き検討するものとする。





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 (3)雇用情報の提供等の援助

    公益的性格が強く、かつ、組合員の利益のため無料で行われることから、安

   定した供給先の確保等労働力需給調整が十分機能するよう、無料職業紹介事業

   と同様に公共職業安定所が雇用情報の提供等必要な援助を行うことができるこ

   ととすることが適当である。

 (4)ルール違反への対応等

    1(7)に準じたものとすることが適当である。



 4 労働者の募集

 (1)通勤圏外からの直接募集の届出制

  イ 情報化の進展や交通、通信手段の発達等にかんがみ、通勤圏外からの直接募

   集に係る届出制は廃止することが適当である。

  ロ これに伴い、建設労働者の雇用の改善等に関する法律第6条の指定区域に係

   る通勤圏内の直接募集の届出制に係る規定を改正し、通勤圏外を含む直接募集

   の届出制となるよう、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の改正を行うこ

   とが適当である。

 (2)委託募集

  イ 許可制

   (イ) 委託募集を行う事業主、募集の委託を受ける者及び募集従事者等につい

     ては、労働者保護の観点からその適格性を事前にチェックする必要があり、

     このための許可制は引き続き維持することが必要である。

      また、このことは、ルール違反への対応等の実効性の確保の上からも重

     要である。

   (ロ) 委託募集は、中小企業事業主がその所属する法律に基づく団体に委託し

     て行う場合にのみ許可されるものとされているが、委託募集を行う事業主

     及び募集の委託を受ける者について法令違反がなく、募集に係る労働条件

     が適正であることや、募集従事者について労働関係法令や事業内容に関し

     て十分な知識を有していること等の要件を満たす場合には、どのような事

     業主についても、広く第三者に労働者募集を委託できるように改めること

     が適当である。

      許可基準の具体的内容については、引き続き検討するものとする。

   (ハ) なお、ヘッドハンター等職業紹介を事業として行う者は、18のように

      職業紹介事業の許可を取得するものであるので、これに求職者の探索、

     あっせんを申込む事業主については、委託募集の許可制の対象とならない

     こととなる。

  ロ 報償金

    委託募集を行う事業主が募集の委託を受ける者に報償金を与えようとすると

   きは、労働大臣の許可を要すること及び額の上限が設定されている現行の制度

   を改め、募集の委託を受ける者の行う役務の種類及び内容並びに報償金の額を

   定め、これについてあらかじめ労働大臣の認可を受けるものとすることが適当

   である。

 (3)ルール違反への対応等

    1(7)に準じたものとすることが適当である。





W 国、公共職業安定機関の在り方

 1 国の業務

 (1)労働力需給の適正、円滑な調整の確保、促進

  イ 勤労権及び職業選択の自由を保障する憲法の規定に基づき、国は、労働力需

   給の適正かつ円滑な調整の確保、促進を図る責務を有しており、労働市場政策

   の策定、実施を行うとともに、労働力需給調整が円滑、的確に行われ、労働者

   保護が確保される労働市場のルール作り及びその履行確保、並びに勤労権や職

   業選択の自由の保障のためのセーフティネットの整備を行っている。

    このため、社会経済の構造変化や労働力需給に係るニーズの変化に的確に対

   応するべく、次の事項に積極的に取り組む必要がある。

   ○ 公共及び民間に共通するルールや民間の職業紹介事業者等の事業運営の適

    正化のためのルール等の設定やその厳格な履行確保等

   [労働者保護のためのルール]

    ・ 差別的取扱の禁止

    ・ 個人情報の保護

    ・ 労働条件の明示

    ・ 求人・求職申込み受理の原則

    ・ 適格紹介の原則等

   [労働力需給調整の円滑化のためのルール]

    ・ 職業分類や労働力需給調整に関する専門用語の共通化

    ・ 労働市場に関する情報の収集、整理、提供

    ・ 公共と民間の職業紹介事業者等との相互協力

   [民間の職業紹介事業者等の事業運営の適正化のためのルール]

    ・ 許可制度

    ・ 手数料

    ・ 職業紹介責任者

    ・ 助言指導、改善命令、事業報告、罰則等

   ○ 勤労権や職業選択の自由の保障のためのセーフティネットの整備

    ・ 情報提供機能の強化

    ・ 講習、職業体験機会の付与等の求職者援助の充実

    ・ 在職求職者の円滑な労働移動に対する支援の充実

    ・ 事業主団体、労働組合等の関係者との求人確保等についての連携、協力

    ・ 職業能力開発機関との連携強化等

  ロ 労働力需給調整が円滑、的確に行われ、労働者の保護が確保されるようにす

   る観点から、経済変動などの影響で特定地域や業種に大量の離職者が発生し労

   働市場が混乱したような場合や、緊急かつ重要な雇用政策の円滑、的確な実施

   を担保するために必要な場合等については、職業安定法第38条の募集時期、

   募集人員、募集地域等の労働者募集の制限の規定を参考としつつ、民間の職業

   紹介事業者等の行う職業紹介事業等についての制限等が行えるようにすること

   が必要である。

 (2)指針の策定(再掲)

 (3)苦情処理体制の整備(再掲)

 (4)申告制度の創設(再掲)

 (5)職業分類や労働力需給調整に関する専門用語の共通化(再掲)

 (6)労働市場に関する情報の収集、整理、提供等(再掲)



 2 公共職業安定所の労働力需給調整機能の強化

 (1)情報提供機能の強化

    労働力需給のミスマッチを解消し、円滑、的確な労働力の需給調整を図るた

   めには、求職者及び求人者が労働市場に関する正確、適切な情報を入手し、的

   確な判断を行うことが重要である。

    求職者がより主体的に適職選択を行うことができるようにするため、公共職

   業安定所の行う業務として情報提供を法令上明確化し、求職者等に対する情報

   提供に係る取組みを強化するとともに、多様な情報が氾濫する中で、求職者が

   職業選択に当たり的確な判断ができるよう、個々の求職者それぞれの実情に応

   じた職業相談・職業指導の充実を図ることが必要である。

 (2)講習、職業体験機会の付与等の求職者援助の充実

    労働者の働き方や労働条件等の多様化、個別化の進展、就業構造や必要とさ

   れる知識、技術、技能の変化、労働者の就業意識の変化等に的確に対応し、求

   人、求職の結合機能を強化するためには、職業指導の充実が重要である。

    このため、公共職業安定所の業務におけるカウンセリング、コンサルティン

   グ等求職者に対するきめ細かな相談援助の充実を図るとともに、求職者の適職

   選択の支援のための各種講習の実施、インターンシップの推進等について、そ

   の重要性が高まっている現状を踏まえ、的確かつ実効ある対応を進めていくこ

   とが必要である。

 (3)在職求職者の円滑な労働移動に対する支援の充実

    公共職業安定所の職業紹介については、従来、職に就いていない求職者を主

   たる対象としてきたところであるが、今後は、リストラ等により転職を余儀な

   くされる労働者や、自己の有する専門的知識、能力を活かすために転職する労

   働者の増加が見込まれる中で、離職前から求職活動を行う在職者についても、

   職に就いていない求職者と同様、情報提供、職業相談、職業紹介のサービスを

   的確に提供することが必要である。

    在職求職者への公共職業安定所の支援については、その有する特性、ニーズ

   に的確に応じうるよう選択可能な各種のサービスを用意することが必要であり、

   併せて在職求職者が利用しやすい手段を工夫すること、求職者が気軽に安心し

   て利用できるようレイアウトや連絡方法等について必要な配慮を行うことも重

   要である。

    また、この場合に、公共職業安定所は、情報不足等による安易な離職がいた

   ずらに行われることとならないよう、適切な情報提供、職業指導等を行い、本

   人が的確に判断できるようにすることが重要である。

 (4)事業主団体、労働組合等の関係者との求人確保等についての連携、協力

    公共職業安定機関は、事業主団体、労働組合等の関係者との間で求人確保等

   についての連携、協力を図る旨を法令上明確化し、このような連携、協力等に

   より、より広範囲での求人、求職の結合を図ることが必要である。

    具体的には、各団体の協力を得て、現在各団体等に分散保有されている求人

   情報等を公共職業安定機関に集約し、求職者に効果的、効率的に提供する等の

   対応を強化することによって、求人、求職の結合が広範、かつ、的確に行われ

   るようにすることが必要である。

 (5)職業能力開発機関との連携の強化

    労働力需給のミスマッチを解消し、的確、効率的な求人、求職の結合を図る

   ためには、求職者が教育訓練を受けることにより職業能力の開発向上を促進し

   エンプロイアビリティ(就職可能性)を高めることが重要である。

    このため、職業紹介、職業指導を行うに当たり、民間も含めた各種教育訓練

   の受講に関する情報提供、相談等の充実が図られるよう、公共職業安定所と職

   業能力開発機関との連携を一層強化することが必要である。

 (6)外国人労働者に係る職業紹介等の実施の明確化

    就労が認められる在留資格を有する外国人労働者に係る労働力需給調整を、

   円滑、的確に行うため、政府が行うべき業務である労働力需給の調整の対象に

   国内の外国人労働者が含まれることを法令上明確化することが適当である。



 3 雇用施策に関する国と地方公共団体との連携等

   地域の実情を踏まえた労働力需給調整機能の強化を図る等の観点から、公共職

  業安定機関が行う職業紹介等の施策と地方公共団体の講ずる雇用に関する施策に

  ついては、より密接な連携の下に、円滑かつ効果的に実施されることが重要であ

  る。このため、公共職業安定機関の保有する求人情報、労働市場情報等を地方公

  共団体に積極的に提供する一方、地方公共団体の保有する産業・企業情報、生活

  情報等を公共職業安定機関が行う職業紹介等の施策に有効に活用するとともに、

  国の職業紹介等の施策と地方公共団体の雇用施策との有機的、一体的な推進を図

  ることが必要である。

   また、公共職業安定機関が労働市場のルールの履行確保を図り、労働力需給調

  整機能を十分に発揮できるようにするため、必要な業務推進体制の整備を図るこ

  とが適当である。


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