障害者緊急雇用安定プロジェクトの概要 1 趣旨 厳しい雇用失業情勢の中で、障害者が会社の倒産やリストラにより離職するケー スが増えている。これらの離職者の多くは、基本的な労働習慣・能力はあるが現下 の雇用失業情勢の下では、新たな就職先の確保は極めて困難な状況にあり、公共職 業安定所において雇用の場の提供を待っている状態にある。 一方、平成10年7月から障害者雇用率が引き上げられ、事業主としては知的障 害者を含めた障害者雇用を進めなければならない状況にあるが、障害者に対する知 識や雇用経験がないために、障害者を雇用することを躊躇している事業所が多い。 こうした事業所は、適切なサポートの下で障害者が実際に働く姿を確認する機会が あれば、安心して障害者の雇用に取り組んでいける。 このため事業主団体に委託し、大規模事業所を中心に障害者を「職場実習」の形 で受入れてもらい、障害者に対する理解を深めてもらうとともに、職場実習の修了 者を「トライアル雇用」として短期雇用の形で受け入れてもらい、本格的な障害者 雇用に取り組むきっかけとする。 職場実習やトライアル雇用は、事業主にとっては障害者雇用に本格的に取り組む ための試行期間としてその意味があり、離職者にとってはプロジェクト実施期間中 に一定の収入が確保できるとともに、終了後に引き続き雇用される可能性を期待で きるものである。 このように、この事業は双方にとってメリットがあり、現下の厳しい雇用失業情 勢の下で臨時・短期の雇用創出の効果をもたらすとともに、今後の障害者の雇用の 促進にとっても、大きなきっかけとなるものである。 2 プロジェクトの実施主体 プロジェクトの実施は、運営協議会の開催を除き、日本経営者団体連盟(日経連 障害者雇用緊急支援センター)に委託する。また、労働省、日本障害者雇用促進協 会(地域障害者職業センター)等がその円滑な実施のために必要な協力を行う。 3 プロジェクトの対象者及び対象事業主 (1)対象者 公共職業安定所に求職登録している障害者とする。(対象者1,800人) (2)対象事業主 日経連障害者雇用緊急支援センター等に配置するコーディネーターが、プロジ ェクト参加を希望する事業主を募集する。 4 プロジェクトの具体的な内容 (1)運営協議会の開催 労働省、日経連障害者雇用緊急支援センター、日本障害者雇用促進協会を構成 員とする運営協議会を開催する。 (2)職場実習 @ 期間は1カ月間とする。 A 実習は、職場実習実施事業所において行っている業務について、実習生の知 識、技能等の状況に応じて体験させるものとする。 B 職場実習実施事業主及び実習生に対して、職場実習奨励金を支給する。 (事業主分)実習生1人当たり月額23,900円 (実習生分)月額116,700円 C 実習生は、実習期間中、日経連障害者雇用緊急支援センターにおいて傷害保 険に加入する。 (3)トライアル雇用 @ 期間は3カ月間とする。 A 事業主と対象者との間で、労働関係法令に基づき雇用契約を締結する。 B トライアル雇用実施事業主に対して、トライアル雇用奨励金を支給する。 雇用した対象者1人当たり月額59,000円 (4)関係機関等による支援 職場実習及びトライアル雇用の開始前、期間中及び終了後に事業主及び対象者 に対して、地域障害者職業センター等が必要に応じて支援を行う。 5 プロジェクト実施期間 平成12年3月まで実施