(別紙) 雇用・能力開発機構法案(仮称)要綱(案) 第一 総則 一 目的 雇用・能力開発機構は、雇用管理の改善に対する援助、公共職業能力開発施 設の設置及び運営等の業務を行うことにより、雇用開発及び職業能力の開発を 促進し、もって労働者の雇用の安定その他福祉の増進と経済の発展に寄与する ことを目的とするものとすること。 二 法人格 雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)は、法人とするものとするこ と。 三 事務所 機構は、主たる事務所を横浜市に置くとともに、労働大臣の認可を受けて、 必要な地に従たる事務所を置くことができるものとすること。 四 資本金 (一) 機構の資本金は、第七の三の(三)により政府及び地方公共団体から出 資があったものとされた額の合計額とするものとすること。 (二) 機構は、必要があるときは、労働大臣の認可を受けて、その資本金を増 加することができるものとすること。このとき、政府は、機構に出資する ことができるものとすること。 第二 役員及び職員 一 役員 (一) 機構に、役員として、理事長一人、副理事長一人、理事五人以内及び監 事二人以内を置くものとすること。 (二) 理事長は、機構を代表し、その業務を総理し、副理事長は、機構を代表 し、理事長を補佐して機構の業務を掌理する等役員の職務及び権限を定め るものとすること。 (三) 理事長及び監事は、労働大臣が任命し、副理事長及び理事は、理事長が 労働大臣の認可を受けて任命するものとすること。 (四) 理事長及び副理事長の任期は四年、理事及び監事の任期は二年とし、役 員は、再任されることができるものとすること。 二 機構の職員は、理事長が任命するものとすること。 第三 業務 一 業務の範囲 (一) 機構は、第一の一の目的を達成するため、次の業務を行うものとするこ と。 イ 労働者の就職、雇入れ、配置等についての相談、情報の提供その他の援 助を体系的に行うための施設の設置及び運営を行うこと。 ロ 求職者が公共職業安定所の紹介により就職する場合において、必要な資 金を貸し付け、及び身元保証をすること。 ハ 雇用対策法第十条の規定に基づいて職業安定機関が労働者の雇入れ又は 配置その他の雇用に関する事項につき事業主に対して行う援助について必 要な協力を行うこと。 ニ 建設労働者の雇用の改善等に関する法律第九条第一項各号に掲げる事業 を行うこと。 ホ 建設業の事業主及びその雇用する労働者に対して、労働者の雇入れ、配 置その他の雇用管理に関し必要な知識を習得させるための研修を行い、及 び雇用管理の改善について助言すること。 ヘ 特定不況業種等関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法第九条第一 項第一号及び第二号、地域雇用開発等促進法第二十一条の五第一項各号並 びに中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための 雇用管理の改善の促進に関する法律第七条第一項各号に掲げる事業を行う こと。 ト 職業能力開発短期大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発促進セン ター及び職業能力開発総合大学校の設置及び運営、職業能力開発促進法第 十五条の六第一項ただし書に規定する職業訓練の実施並びに事業主その他 のものの行う職業訓練の援助を行うこと。 チ 公共職業安定所の指示により公共職業能力開発施設の行う職業訓練又は 職業能力開発総合大学校の行う職業訓練を受ける者のための宿泊施設の設 置及び運営を行うこと。 リ 労働者の自発的な職業能力の開発及び向上についての事業主、労働者そ の他の関係者に対する相談その他の援助並びにその雇用する労働者が自ら 職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するための援 助を行う事業主に対する職業能力開発促進法第十五条の三に規定する必要 な助成を行うこと。 ヌ 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。 ル 前各号に掲げるもののほか、雇用に関する事項につき事業主に対して行 う援助並びに労働者の職業能力の開発及び向上についての事業主、労働者 その他の関係者に対する援助に関し必要な業務を行うこと。 (二) (一)に規定する業務は、雇用保険法第六十二条の規定による雇用安定 事業、同法第六十三条の規定による能力開発事業又は同法第六十四条の規 定による雇用福祉事業として行うものとすること。 (三) 機構は、(一)に規定する業務のほか、労働者の雇用を促進するため、 公共職業安定所の紹介(職業安定法第十九条の二第一項に規定する広範囲 の地域にわたる職業紹介活動に係る紹介に限る。)により就職する者を雇 い入れる事業主その他の政令で定める事業主に対して、その雇用する労働 者の福祉を増進するため必要な労働者住宅その他の政令で定める福祉施設 の設置又は整備に要する資金の貸付けを行うものとすること。 二 業務方法書 機構は、一の(一)及び(三)に規定する業務について、当該業務の開始前 に、業務方法書を作成し、労働大臣の認可を受けなければならないものとし、 これを変更しようとするときも、同様とするものとすること。 第四 財務及び会計 一 予算等の認可 機構は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度 の開始前に、労働大臣の認可を受けなければならないものとし、これを変更し ようとするときも、同様とするものとすること。 二 決算 機構は、毎事業年度の決算を翌年度の七月三十一日までに完結しなければな らないものとすること。 三 財務諸表等 機構は、財務諸表を作成し、労働大臣の承認を受けるとともに、財務諸表等 を各事務所に備えておかなければならないものとすること。 四 交付金 政府は、予算の範囲内において、機構に対し、第三の一の(一)及び(三) に掲げる業務に要する費用(第三の一の(三)に掲げる業務を行うため必要な 貸付資金を除く。)の一部に相当する金額を交付することができるものとする こと。 第五 監督 機構は、労働大臣が監督するものとし、労働大臣は、必要があると認めると きは、機構に対して報告をさせ、又は立入検査をすることができるものとする こと。 第六 その他 その他機構に関し所要の規定の整備を行うものとすること。 第七 附則 一 施行期日 この法律は公布の日から施行するものとすること。ただし、六については、 公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行 するものとすること。 二 機構の設立 労働大臣は、理事長又は監事となるべき者を指名するとともに、設立委員を 命じて、機構の設立に関する事務を処理させるものとすること。 三 雇用促進事業団の解散等 (一) 雇用促進事業団は、機構の成立のときにおいて解散するものとし、その 一切の権利及び義務は、そのときにおいて機構が承継するものとすること。 (二) 機構は、設立の登記をすることによって成立するものとすること。 (三) (一)により機構が雇用促進事業団の権利及び義務を承継したときは、 その承継の際における雇用促進事業団に対する政府及び地方公共団体の出 資金に相当する金額は、それぞれ政府及び地方公共団体から機構に出資さ れたものとすること。 四 業務の特例 機構は、第三に掲げる業務のほか、機構の成立の際雇用促進事業団が現に建 設し、又は設置している雇用促進事業団法第十九条第一項第三号の宿舎及び同 項第五号の福祉施設を譲渡し、又は廃止する業務を行うものとするとともに、 これにより譲渡し、又は廃止するまでの間、これらの宿舎及び福祉施設につい て、雇用促進事業団法第十九条第一項第三号及び第五号に規定する業務を行う ことができるものとすること。 五 その他経過措置 その他機構の設立及び雇用促進事業団の解散に関し必要な経過措置を整備す るものとすること。 六 関係法律の改廃等 雇用促進事業団法を廃止するとともに関係法律の一部を改正するものとし、 それに伴う所要の経過措置を整備するものとすること。