タイトル:主要業種並びに建設業の雇用動向について

          −職業安定機関によるヒアリング結果(平成10年1月実施)−

発   表:平成10年1月29日

担   当:労働省職業安定局雇用政策課




 我が国経済は、景気が足踏み状態にあり、雇用失業情勢も、有効求人倍率が低下し

、完全失業率が高い水準にあるなど厳しい状況にある。

 こうした中で、平成9年9月に引き続き、12月下旬から10年1月上旬にかけて、

全国の職業安定機関において、管内の主要な事業所、建設事業所から、雇用動向等に

ついてヒアリングを実施した。以下はその結果である。





−概 要−




(1)「主要業種ヒアリング」によると、現在(概ね9年10〜12月実績見込)の業況は、

   「良い」と考えている事業所の割合は、前回ヒアリングよりも低下し、「悪い

    」と考えている事業所の割合より下回っており、業況は悪化している。



(2)「主要業種ヒアリング」における雇用過不足感については、「不足」と考えてい

    る事業所の割合は前回ヒアリングよりも低下はしているが、「過剰」と考えてい

    る事業所を依然上回っている。ただし、今後については、過剰感が高まる見通

    しになっている。



(3)「建設業ヒアリング」によると、現在の業況については「悪い」とする事業所の

    割合が、前回ヒアリングよりも上昇しており、今後については、更に厳しい見

    通しとなっている。



(4)「建設業ヒアリング」によると、現在、雇用調整を実施しているのは20.9%であ

    り、「中途採用の削減・停止」等の方法が多い。また今後をみると、雇用調整

    を実施する予定の事業所割合は23.0%とやや高まっている。また、公共工事削

    減により経営や雇用に大きな影響があるとした事業所の割合は、35.1%と前回

    を上回っている。

 





〔主要業種ヒアリング〕



 各公共職業安定所が、地域を代表する事業所、中小事業所等にヒアリングを行い、

計1,019社の回答を得た。



1.現在及び今後の業況の見込み

(1) 現在(概ね9年10月〜12月実績見込み)の業況をみると、「悪い」とする事業

   所の割合は41.0%と前回のヒアリング時(以下「前回」という。)より上昇し

   、「良い」とする事業所の割合は前回より低下しており、業況が悪化している

   ことがわかる。

(2) 今後(概ね10年1〜3月実績見込み)については、「悪い」とする事業所の割

   合は51.6%、「良い」とする事業所の割合は13.5%とそれぞれ前回より悪化し

   ている。



2.回復時期

    業況の回復時期については、「わからない」とする事業主の割合が50.8%と半

  数を超え、「すでに回復」とする事業主の割合は10.1%であった。

    業種別にみると、精密機械、電気機械、一般機械などで「すでに回復」の割合

  が比較的高い一方で、鉄鋼、衣服、食料品、繊維、窯業・土石製品、建設業など

  で「わからない」とする事業所の割合が高くなっている。



3.雇用過不足感、雇用調整の状況

(1)  現在については、「大きな過剰」又は「やや過剰」(以下「過剰」という。)

   と回答している事業所の割合は23.5%、「大きな不足」又は「やや不足」(以

   下「不足」という。)と回答している事業所の割合は26.5%、「適正」は50.0

   %となっており、「不足」が「過剰」を上回っているが、前回と比較すると不

   足感が後退している。

(2)  今後については、「適正」、「不足」とする事業所の割合はやや低下し、「

   過剰」とする事業所の割合は上昇しており、過剰感が若干高まる見込みとなって

   いる。

(3)  過不足感を業種別にみると、サービス業や卸売・小売業、飲食店などで「不足

   」が「過剰」を上回っており、窯業・土石製品、建設業、輸送用機械等で「過剰

  」が「不足」を上回っている。また規模別にみると、29人以下と1,000人以上

  で「過剰」が「不足」を上回っている。

(4)  現在、雇用調整を実施している事業所の割合は26.7%となっている。方法別に

  みると、「残業規制」が14.9%、「中途採用の削減・停止」が11.2%、「配置

  転換」が8.6%となっている一方、「希望退職者の募集・解雇」は1.9%と引き続

  き割合は小さいものの前回よりやや高くなっている。

(5) 今後については、雇用調整を実施する予定の事業所の割合は30.7%となっている

  。方法別にみると、「残業規制」が17.4%、「中途採用の削減・停止」が13.1%

  、「配置転換」が12.8%などとなっている。

  主要業種ヒアリング結果  





  

〔建設業ヒアリング〕



 各都道府県職業安定主務課において、建設業に係る事業所にヒアリングを行い、

191社の回答を得た。





1.現在及び今後の業況の見込み

(1) 現在(概ね9年10〜12月実績見込み)、業況は「悪い」とする事業所の割合は

  60.2%となっており、前回よりも上昇している。

(2) 今後(概ね10年1〜3月実績見込み)については、現在と比べ、「悪い」とす

  る事業所の割合が75.4%に上昇している。

(3) これを総合工事業者、専門工事業者別にみると、専門工事業者の方が業況は比

  較的よいが、いずれにしても前回に比較して業況は悪化している。



2.回復時期

  業況の回復時期については、「わからない」とする事業所の割合が78.0%となっ

ている。

  回復の時期を示した事業所では、「10年秋以降」としたところが一番多くなって

おり、主要業種のヒアリング結果と比較すると、先行きに対する不透明感が強くな

っていることがうかがわれる。



3.建設工事受注の見通し

(1) 民間、公共をあわせた全体の受注見通しについては、「かなり減少」又は「や

  や減少」(以下「減少」という。)と回答している事業所の割合は77.5%と前回よ

  り上昇する一方、「かなり増加」又は「やや増加」(以下「増加」という。)と回

  答している事業所の割合は6.8%と前回より低下している。

(2) 民間工事受注に関しては、「減少」と回答している事業所の割合は69.6%と前

  回より上昇し、「増加」と回答している事業所の割合は9.5%と低下した。

(3) 公共工事受注に関しては、「減少」と回答している事業所の割合は73.3%と前

  回より低下した一方、「増加」と回答している事業所の割合も前回より低下した。

(4) 地域別にみると、受注が「減少」と回答している事業所の割合は、近畿、北

  海道・東北、中部の順で高くなっている。



4.雇用過不足感の状況

(1) 現在については、「過剰」と回答している事業所の割合は28.8%、「不足」は

  12.0%、「適正」は59.2%となっており、前回よりも過剰、不足とも低下している。

(2) 今後については、「過剰」とする事業所の割合は上昇し、「適正」、「不足」

  とする事業所割合は低下している。



5.雇用調整の実施状況

(1) 現在、雇用調整を実施している事業所割合は20.9%と前回よりも上昇している

  。方法別にみると、「残業規制」、「中途採用の削減・停止」が9.9%、「配置

  転換」が4.7%などとなっている。

(2) 今後については、雇用調整を実施する予定の事業所割合は23.0%となっている

  。方法別にみると、「中途採用の削減・停止」が12.6%、「残業規制」が11.0%、

 「パート等再契約停止等」、「配置転換」が5.2%などとなっている。なお、「希望

  退職者の募集・解雇」が、3.1%とやや高まっている。



6.不動産価格低迷及び公共工事の削減等の影響について

(1) 不動産価格低迷の影響については、何らかの経営面への影響があると回答し

  た事業所の割合は64.9%となっているが、そのうち、雇用面への影響が大きいと

  している事業所の割合は5.2%となっており、前回よりも低下している。

(2) 公共工事削減等の影響については、何らかの経営面への影響があると回答し

  た事業所の割合は92.7%、そのうち、雇用面への影響が大きいとしている事業所

  の割合は35.1%となっており、いずれも前回よりも高まっている。地域別では経

  営面・雇用面への影響が大きいとした事業所の割合が、北海道、九州で高く、近

  畿で相対的に低くなっている。

建設業事業所ヒアリング結果  


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