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III 労働者派遣法関係



 6 派遣元事業主・派遣先の講ずべき措置関係



  (1) 「物の製造」の業務への労働者派遣を可能とすることに伴い、安全衛生の

   徹底を図るため、派遣元責任者及び派遣先責任者の安全衛生に係る職務につい

   て所要の整理を行うことが適当である。具体的には、派遣元責任者及び派遣先

   責任者は、派遣労働者の安全及び衛生に関し、それぞれの事業所において必要

   な連絡調整を行うとともに、派遣元責任者は派遣先と、派遣先責任者は派遣元

   事業主と必要な連絡調整を行うこととし、派遣労働者の安全及び衛生が的確に

   確保されるよう措置することが適当である。

    また、労働者派遣契約の内容として定めるべき事項である「安全及び衛生に

   関する事項」については、内容をより具体的に記載するようにしていくことが

   適当である。



  (2) 「物の製造」の業務への労働者派遣を可能とすることに伴い、製造現場で

   の就業の実情を考慮し、派遣労働者の適正な就業を確保するため、派遣労働者

   の雇用管理体制の一層の充実を図る必要があることから、「物の製造」の業務

   へ派遣された派遣労働者を担当する派遣元責任者と、それ以外の業務へ派遣さ

   れた派遣労働者を担当する派遣元責任者とを区分して選任することが適当である。

    また、同様に、派遣先における派遣労働者の就業管理体制の一層の充実を図

   る必要があることから、「物の製造」の業務に派遣された派遣労働者が一定数

   以上いる場合、当該派遣労働者を担当する派遣先責任者と、それ以外の業務に

   派遣された派遣労働者を担当する派遣先責任者とを区分して選任することが適

   当である。



  (3) 派遣元事業主の負担を軽減する観点から、派遣元責任者の変更手続の簡素

   化、派遣元責任者講習の見直し(講習の有効期間の5年への延長、再講習につ

   いて講習時間数の短縮)を図ることが適当である。



  (4) 労働・社会保険の適用については、平成11年の改正により、派遣先が講

   ずべき措置に関する指針において、派遣労働者の労働・社会保険への加入を促

   進するため、派遣先が派遣労働者を受け入れる際に、その労働・社会保険への

   加入状況を了知し、未加入の者を受け入れないようにするなど、一定の適用促

   進のための仕組みが設けられているところであるが、これをさらに実効あらし

   めるための措置を検討することが適当である。



  (5) 派遣労働者の福祉の増進を図るため、派遣元事業主は、業務を円滑に遂行

   する上で有用な物品の貸与や教育訓練の実施等をはじめとする派遣労働者の福

   利厚生等の措置について、派遣先において直接雇用されている労働者との均衡

   に配慮した取扱いが行われるよう努めなければならない旨、派遣元事業主が講

   ずべき措置に関する指針において明記することが適当である。



    雇用主代表委員から、上記福利厚生等の措置の取扱いについては、派遣元事

   業主が講ずべき措置に関する指針で明記するまでもないとの意見があった。





  (6) 各人の希望及び能力に応じた教育訓練の機会を付与することを通じ、派遣

   労働を派遣労働者にとってより良い雇用機会とするため、派遣労働者の教育訓

   練・能力開発について、派遣先は派遣元事業主が行う教育訓練や派遣労働者の

   自主的な能力開発等について協力すべき旨、派遣先が講ずべき措置に関する指

   針において明記することが適当である。



  (7) 安全衛生等の措置を円滑に実施するため、派遣元事業主の責任である事項

   にあっても、例えば、雇入れ時の安全衛生教育について、派遣元事業主から派

   遣予定労働者の雇入時教育の実施の委託の申し入れがある場合には、派遣先は

   できるだけこれに応じるよう努めるものとすること等、派遣先が協力や配慮を

   行うことが適当又は望ましいと考えられる事項については、派遣先が講ずべき

   措置に関する指針において必要な措置を明記することが適当である。



  (8) (1)から(7)に掲げるもののほか、派遣労働者の適正かつ円滑な派遣就業を

   確保するため、派遣先が派遣元事業主や派遣労働者に対し協力や配慮等を行う

   ことが必要と考えられる事項等や派遣元事業主が取り組むべき事項等について

   は、派遣先が講ずべき措置に関する指針や派遣元事業主が講ずべき措置に関す

   る指針において必要な措置を明記することが適当である。

    また、本部会において問題提起のあった、派遣労働者に対する最低賃金の取

   扱いについては、今後、別の場で中長期的な視点から検討することが適当であ

   ると考える。



    労働者代表委員から、派遣先の法定最低賃金をはじめ基本的雇用労働条件に

   ついて、派遣先の通常の労働者の条件を下回ってはならないとする措置を検討

   すべきとの意見があった。



  

 7 指導監督体制の整備等



   「物の製造」の業務への労働者派遣を可能とすること等に伴い、労働者派遣事

  業を行う事業主、派遣先及び派遣労働者が増加することが予想される。特に、請

  負と労働者派遣の混在等が予想される製造現場においては、指導監督に万全を期

  す必要がある。このため、違法な労働者派遣の解消等のための指導監督業務の効

  率性、実効性を高める必要があることから、現在、職業安定行政において各公共

  職業安定所に分掌されている指導監督業務は、都道府県労働局において、専門的

  な職員の配置、相談員の活用等体制を充実・強化することにより対応することと

  し、併せて労働基準行政との連携のより一層の強化を図ることが適当である。ま

  た、労働者派遣事業適正運営協力員については、その設置の趣旨等を踏まえ、必

  要な運用の見直しを行うことが適当である。

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