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III 労働者派遣法関係



 2 派遣労働者の希望を踏まえた直接雇用の促進関係



  (1) 派遣先が1の(1)の派遣期間の制限に違反する場合には、派遣労働者の保護

   を図るため、派遣元事業主は当該派遣先及び派遣労働者に対し派遣停止を通知

   することとし、派遣停止の通知を受けたにもかかわらず当該派遣労働者をなお

   就業させる派遣先は、当該派遣労働者に対し雇用契約の申込みをしなければな

   らないこととすることが適当である。



  (2) 派遣労働者の中には、派遣先に直接雇用されることを希望する者も一定程

   度おり、そうした派遣労働者に対し派遣先による直接雇用の機会をより多く確

   保することが必要である。具体的には、3年を超えて同一業務に同一派遣労働

   者を受け入れている派遣先が、当該業務と同じ業務に従事させるため労働者を

   雇い入れようとするときは、当該派遣労働者に対し雇用契約の申込みをしなけ

   ればならないこととすることが適当である。



  (3) 現行の派遣先による派遣労働者の雇入れ努力義務が発生する規定について

   は、所要の整備を行うことが適当である。



    労働者代表委員から、上記の趣旨が確保されるよう、より実効性のある措置

   を検討すべきとの意見があった。



  

 3 適用対象業務関係



  (1) 現行制度において労働者派遣事業の適用除外業務とされている業務のうち、

   港湾運送業務、建設業務及び警備業務については、他法において特別の措置が

   講じられていること等から、引き続き適用除外業務とすることが適当である。



    雇用主代表委員から、港湾運送業務、建設業務及び警備業務の適用について

   は、引き続き検討すべきとの意見があった。





  (2) 現行制度において労働者派遣事業の適用除外業務とされている医業等のう

   ち、(1)病院、診療所、介護老人保健施設における業務、及び、(2)往診、訪問

   看護に関する業務については、派遣先が派遣労働者を特定できないこと等を考

   慮し、引き続き、適用除外業務とするが、社会福祉施設等における業務につい

   ては、適用対象業務とすることが適当である。



  (3) 経済・産業構造の転換や国際化が進展する中、相手先企業からの発注に迅

   速に対応するため、日々変動する業務量に応じ、労働力需要に迅速かつ的確に

   対応することへのニーズは製造業を中心により一層高まっている。

    こうしたニーズを踏まえると、当分の間、適用除外業務となっている「物の

   製造」の業務については、製造業における臨時的・一時的な労働力需給を迅速

   に調整し、円滑な事業運営が可能となるよう、適用対象業務とすることが適当

   である。

    なお、「物の製造」の業務に従事する労働者の就業の実情等を考慮すると、

   一定期間、「物の製造」の業務については、派遣期間を1年に制限することが

   適当である。



    労働者代表委員から、(1)「物の製造」の業務の解禁を認めるに当たっては、

   労働者派遣法の実効を確保するために偽装請負に適正に対処する必要があるこ

   とやものづくり施策を進める必要があること、(2)「物の製造」の業務及び医

   業等の解禁は慎重に検討すべきとの意見があった。

    また、雇用主代表委員から、(1)「物の製造」の業務を解禁するに当たって

   派遣期間を1年に制限するべきではないが、仮に制限するとしても可及的速や

   かに他の業務と同様にすべき、(2)医業等は、社会福祉施設等における業務に

   限定せず解禁すべきとの意見があった。



  

 4 許可・届出制等関係



  (1) 具体的な規制制度の見直しの視点として、「許可制から届出制への移行」

   について検討したところ、一般労働者派遣事業については、労働者派遣事業の

   適正な運営の確保を図り、派遣労働者の就業条件を確保するため、派遣元事業

   主に一定の能力を担保する必要性があることから、引き続き許可制を維持する

   ことが必要であるが、許可制の下で、機動的な事業所の設置を可能とするなど

   の観点から、許可の単位については事業所単位から事業主単位とし、事業所の

   設置については、届出制とすることが適当である。

    なお、「物の製造」の業務に労働者派遣を行う事業所については、当該事業

   所の把握等のため、当分の間、「物の製造」の業務に労働者派遣を行う旨、届

   け出るものとすることが適当である。



  (2) 特定労働者派遣事業については、現在、事業所ごとの届出制となっている

   ところであるが、複数の事業所で事業を行う場合には、事業者の負担を軽減す

   る観点から、その手続を簡素化し、本社から一括して届け出ることを可能とす

   ることが適当である。

    なお、「物の製造」の業務に労働者派遣を行う事業所については、一般労働

   者派遣事業と同様に、当該事業所の把握等のため、当分の間、「物の製造」の

   業務に労働者派遣を行う旨、届け出るものとすることが適当である。



  (3) 派遣先から派遣元事業主への通知及び派遣元事業主から派遣先への通知で、

   現在、書面によることとされているものについては、事業者の負担を軽減し、

   迅速な事業運営を可能とする観点から、ファックスや電子媒体による通知も可

   能とすることが適当である。

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