II 職業安定法関係 1 職業紹介事業の許可・届出制関係 (1)具体的な規制制度の見直しの視点として、「許可制から届出制への移行」に ついて検討したところ、職業紹介事業については、有料、無料のいずれについ ても、不適格な業者の参入を排除することにより、事業運営の適格性を確保し、 求職者の利益を保護する観点から、原則として許可制を維持することが必要で あるが、現下の厳しい雇用失業情勢にかんがみ、民間を中心とした多様な労働 力需給調整機関が、労働市場において、より積極的かつ円滑にその役割を果た すことが可能となるよう、以下の見直しを行うこととするのが適当である。 (i)商工会議所、農協等特別の法律に基づいて設立された団体が、その構成員 のために行う無料職業紹介事業については、当該団体の適正性が他の制度 により確保されており、かつ、無料職業紹介事業の対象者が限定されてい ることにかんがみると、事業運営の適格性に問題が少ないと考えられるこ とから、届出により機動的に行うことができるようにする。 (ii)現行の無料職業紹介事業の許可基準のうち、適正な事業運営の要件として 定められている「申請者の存立目的、形態、規約等から必要かつ適当であ ると認められる範囲の職業紹介を行うものであること」という要件の「必 要かつ適当である」という部分については、裁量行政の余地を縮小させる 観点から必要な改正を行うものとする。 (iii)現在地方公共団体が行うことができないとされている無料職業紹介事業 については、国と地方の二重行政となることのないよう配慮しながら、地 域性の強い施策を展開する上で必要な職業紹介事業を行うことができるよ うにする。 (iv)職業紹介事業者が、その事業運営を機動的に実施できるよう、有料、無料 のいずれについても、職業紹介事業の許可の単位を、事業所単位から事業 主単位とし、事業所の設置については、届出制とする。 (2)なお、学校等が届出により行う無料職業紹介事業の対象者については、現在、 学生若しくは生徒又は学校を卒業した者に限定されているが、業務の実状にか んがみ、委託訓練修了者等、学校を卒業した者に準ずる者を対象に追加するこ とが適当である。 2 有料職業紹介事業の手数料関係 (1)求職者からの手数料徴収については、現在、年収1,200万円以上の科学 技術者・経営管理者から例外として徴収可能となっているが、求職者の実状等 を踏まえ、年収に係る要件を引き下げるとともに、経営管理者、科学技術者の 範囲について、より労働市場のニーズを踏まえたものとすることが適当である。 (2)求人者からの手数料徴収については、現在、手数料表を厚生労働大臣に届け 出ることとされ、厚生労働省令で定める上限額に満たない手数料を徴収する場 合は届出が不要とされているところであるが、有料職業紹介事業者の業務の実 状にかんがみ、現行どおり上限額に満たない場合は届け出ることなく手数料を 徴収することができるようにすることが適当である。