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 I 基本的な考え方



   現在、我が国は、経済のグローバル化、少子高齢化、情報通信技術革命(IT

  革命)等の構造的な環境変化に対応して、経済社会の構造改革を進めなければな

  らない状況にある。職業紹介事業や労働者派遣事業等の分野においても、このよ

  うな状況を踏まえ、我が国全体の労働力需給調整の強化を図るべく、必要な制度

  的手当てについて検討が求められている。



   平成11年に、有料職業紹介事業の取扱職業や労働者派遣事業の対象業務の原

  則自由化等を内容とする職業安定法及び労働者派遣法の改正が行われて以来、職

  業紹介事業所数及び労働者派遣事業所数は大きく増加するなど、民間による労働

  力需給調整システムは大きな進展を見せてきている。また、働き方としての派遣

  労働は、労働者自身のライフスタイルに合わせた働き方を可能にするものとして

  一定の評価も定着しつつある。



   近年の厳しい雇用失業情勢の中で、労働力需給のミスマッチの解消に向け、国

  はもとより、民間を中心とした多様な労働力需給調整機関が、それぞれの特性を

  いかし、より積極的に労働市場における役割を果たしていくことが求められてい

  る。また、経済・産業構造の転換や国際化の進展等に伴い、企業は、競争の中で

  日々変動する業務量に対応するため、労働力需要に迅速かつ的確に対応していか

  なければならない。さらに、個人の就業意識の多様化が進む中、仕事と生活のバ

  ランスのとれたライフスタイルを選択する傾向が若年層を中心に見られ、このよ

  うな働き方に対応していく必要性が高まっている。また、派遣労働は雇用が不安

  定である等を指摘する声もある。

   こうした実状を背景として、職業紹介事業、労働者派遣事業等に係る制度をよ

  り社会のニーズに応えられるものとしていくことが、現在求められている。



   今回の見直しに当たっては、以上のような視点を踏まえ、厳しい雇用失業情勢

  の中、民間を中心とした多様な労働力需給調整機関が、労働力需給の迅速、円滑、

  的確な結合を図るために、労働市場においてより積極的な役割を果たすことが可

  能となるよう、労働者や求職者の保護の視点を持ちつつ、派遣労働者の雇用の安

  定及び適正な労働者派遣の確保、派遣元・派遣先責任等の在り方、常用雇用との

  調和にも配慮しながら検討を行った。その結果、具体的には以下の措置を講ずる

  ことが適当と考えられる。



   労働者代表委員からは、(1)労働者派遣法の見直しに当たっては、適切なワー

  クルールを確立するため、派遣労働者の保護と雇用安定化の措置の抜本強化とし

  て、時代の要請である均等待遇や派遣先雇用責任の強化が重要な課題であること、

  (2)また、これらの観点からは、本報告には問題がある点や慎重に検討すべき事

  項があることから、必要な対応・手当なしに全体として「以下の措置を講ずるこ

  とが適当」であるとは認められないとの意見があった。



   雇用主代表委員からは、規制緩和という時代の流れを背景として、事業規制は

  原則撤廃すべきであり、とりわけ、許可制、派遣対象業務、派遣期間等の諸規制

  については、制度の円滑な運用を可能とするよう、早急に見直すべきであるとの

  意見があった。

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