2.課題 (1) 経済情勢や職場環境の変化等に対応した施策の推進 厳しい経済情勢の下、グローバル化の進展等により、持株会社による企業組織の 再編等が進められているとともに、製造現場の縮小、サービス産業の職場の増加が みられる。一方で、技術革新による機械化、生産・事務作業におけるIT化の進展、 職場環境の改善等によるバリアの低減等、障害者雇用を取り巻く状況の変化が進ん でいる。 このような状況に対応して、法定雇用率が達成されるよう、障害者の雇用の場を 確保し、新たな職域の拡大を図るとともに、企業組織の変化等に合わせて障害者を 雇用しやすい条件整備を行うことが必要となっている。 こうした中で、雇用率を算定する上で、障害者の就業が困難と考えられた職種の ある業種に設定されている除外率については、技術革新、作業環境の変化等により、 実態に合わなくなってきており、縮小に向けた取組が必要となっている。 この問題については、平成9年の障害者雇用審議会意見書においても、「今後、 除外率設定業種における障害者の雇用促進を図りつつ、除外率制度については、基 本的に縮小を前提とした検討を行い、次回の法定雇用率の見直しに併せて措置する ことが適当である。」とされているところである。 (2) 雇用と保健福祉の連携強化 就業を希望する障害者が増加する中で、知的障害者、精神障害者、重度身体障害 者など、安定した職業生活を維持するためには、就業支援だけでなく、生活習慣の 形成や日常生活の自己管理などへの生活支援、医療面での支援を行うことが必要で ある障害者も増加している。こうした中で、障害者の多様なニーズに応えるきめ細 かな職業的自立支援策の充実・強化を図ることが重要である。 また、厚生労働省の発足による統合のメリットを生かして、障害者の雇用施策と 保健福祉施策の連携を強化し、就業面と生活面の両面からの支援の強化、個々の障 害者の多様な能力に着目して福祉的就労から雇用につなげる施策の展開など総合的 な施策の推進を図ることが求められている。 (3) 精神障害者の雇用施策の充実 近年、医療・福祉の進展等により、社会参加や就業への可能性を持つ精神障害者 の増加が見られており、就業を希望する精神障害者も大きく増加している。そのた め、精神障害者の雇用促進のための施策の一層の充実が必要であり、施策の対象と なる精神障害者の範囲の整理、その特性にあった施策の充実、採用後に精神障害を 有するようになった者への対応、関係者や社会全体の理解の促進、雇用率制度の在 り方についての検討等が求められている。 この問題については、平成9年の障害者雇用審議会意見書においても、「精神障 害者の雇用率制度については、一層の雇用支援策の充実を図りつつ、障害者プラン の計画期間である平成14年度までに、引き続き検討を加え、適切な措置を講じてい くことが必要である。」とされているところである。