事項 | 説明 |
実施 施策名 |
6(1) 高年齢労働者の安全と健康に配慮した作業負荷の 評価基準の開発に関する調査研究 |
実施 目標 |
高年齢労働者が過度の身体的負担を受けることによる労働災害・ 疾病を防止するため、作業負荷の許容基準及び事業場で作業負荷を 判定できる方法の開発を行う。 |
平成12 年度の 事業実 施状況 |
(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度以降の課題) 作業負荷の評価にかかわる調査として最先端の知見・手法等を広 く収集・考察した。 なお、身体生理機能に関する既存データの分析については13年 度に継続実施する。 (具体的な事業実施内容) (1)内外の作業負荷制限等人間工学的安全衛生対策の取組、負荷判 定方法、基準等の調査 作業負荷許容基準開発のため、最先端の情報を次のとおり収集・ 考察した(収集情報:「内外の有力データベースの労働安全衛生に 関する論文1,300万件から絞り込んだ文献、論文200件」、「欧米、 国際機関の基準、ガイドライン、規格80件」、「民間企業、コンサ ルタント企業の作業負荷評価ツール等44件」、「国内の研究事例29 件」等)。 a 内外の作業負荷・負担に関わる調査内容・実験結果、高年 齢労働者の作業遂行能力に関わる調査結果等の情報収集・考 察 b 内外の作業負荷・負担の代表的評価手法・判定方法に関わ る情報の収集・考察 c 作業負荷の制限に関わるISO、EN、JIS等の規格、アメリカ 、イギリス等における規制等の情報の収集・考察 (2)作業負荷の許容基準の開発に必要な、身体生理機能に関するデ ータの収集、計測、整備 作業負荷を受けとめる身体側の機能値(筋力、持久力、血圧等) を把握するため、労働者の運動機能、医学的数値等について中央労 働災害防止協会が有するデータ(調査対象数62,669名)等を整備し 、さらに製造業に従事する高年齢労働者を対象としてデータを実測 により収集し(調査対象者数88名(男性49名、女性39名))、分析 を行っている。 (3)作業負荷・負担等にかかわる事業場の予備的実態調査 実作業の負荷・作業者の負担の許容範囲の把握など作業負荷許容 基準開発のための資料収集(企業の作業標準8種等)を行い、また、 高年齢労働者が就業する事業場の作業状況を視察した(1事業場) 。 (4)作業負荷許容基準・判定方法及び身体生理機能に関わる考察 a 高年齢労働者の身体生理機能特性、作業負担の受けとめ方 、身体的作業能力の特性等の考察を行った。 b 作業負荷と身体生理機能との組み合わせに対応した身体的 負担の許容範囲をとらえるための考察を行った。 なお、本調査研究においては、サンプル数の関係等により、50歳 以上を高年齢労働者とし、また、製造業の筋作業を主対象とするこ ととした。 |
平成13 年度以 降の事 業実施 計画・ 方針 (本年 度の改 善点) |
平成12年度に行った各種の調査・分析結果を活用し、次の事項を実 施。 (1) 作業負荷評価指標・判定方法の検討 (2) 身体生理機能評価指標・判定方法の検討 (3) 作業負荷の許容基準・判定方法の検討 (4) (3)により取りまとめた基準案・判定方法案の事業場における 検証 (5) 作業負荷の許容基準の開発 (6) 事業場が負荷を判定できる方法の開発 |
関係機 関や民 間との 連携の 状況 |
(1)各種とりまとめ、考察等を行うため、次の委員による「高年齢 労働者の安全と健康に配慮した作業負荷の評価基準の開発に関す る調査研究委員会」を設置 (委員長) 大久保堯夫 日本大学生産工学部管理工学科教授 (委 員) 阿久津正大 玉川大学工学部経営工学科助教授 上野 信吾 (株)三菱総合研究所安全科学研究本部 安全政策研究部主任研究員 加藤 隆康 トヨタ自動車(株)安全衛生推進部 健康サービス室長 田中 勇武 産業医科大学産業生態科学研究所所長 筒井 保博 日立金属(株)九州工場診療所所長 成清 雄一 東陶機器(株)人事部 安全衛生グループリーダー 東 敏昭 産業医科大学産業生態科学研究所 作業病態学研究室教授 (2)次の事業場に調査対象として協力を得る。 東陶機器株式会社 日立金属株式会社九州工場 (3)次の大学及び団体に、情報・データの収集・分析・研究を依頼 し、作業負荷評価基準開発のための基礎資料を整備した。 ・産業医科大学 (調査研究担当メンバー) 田中 勇武 (委員) 池田 正春 産業生態科学研究所健康開発科学研究室教授 東 敏昭 (委員) 高橋 謙 産業生態科学研究所環境疫学研究室教授 藤代 一也 産業医実務研修センター助教授 吉積 宏治 産業生態科学研究所作業病態研究室助手 ・(株)三菱総合研究所 |
当該テ ーマに かかる 外的な 研究環 境(国 際動向 、研究 動向等 )など 参考事 項 |
海外においてはILO、アメリカ、EU等で作業負荷制限に関わる取 り組みがなされている。また、国内においては、日本人間工学会、 日本産業衛生学会等により人間工学的手法による取り組みの研究が 行われている。しかし、我が国の高年齢労働者の身体生理機能値を 基礎においた作業負荷の評価基準については、開発されていない。 |
評価・ 助言会 議の個 別評価 |
○ 平成13年度の最終成果たる「事業場が作業負荷を判定する方 法の開発」は、高齢者だけでなく労働の場全体に対してかなりの 波及効果をもたらすものと考えられ、その成果に大いに期待する 。 ○ 従来高齢者就業のネックと考えられてきた労働安全の面に関す る掘り下げた研究は、政策的含意が大きい。 |
研究受 託機関 (ホー ムペー ジ・ア ドレス ) |
中央労働災害防止協会 (http://www.jisha.or.jp/profile/2_2/choken/mpro/index.html) |