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(参考3)



             雇用対策基本計画(第9次)(抄)
         −今後の労働市場・働き方の展望と対策の方向−


                                  閣議決定
                              平成11年8月13日
III 雇用対策の基本的事項
 4 高齢者の雇用対策の推進
  (1) 長期的な高齢者雇用の在り方
     急速に高齢化が進展する我が国において、その経済社会の活力を維持する

    ためには、できるだけ多くの高齢者が社会に支えられる側から社会を支える

    側へ回ることが必要である。こうした発想の転換は、国際的な潮流となりつ

    つあり、デンバーサミットを始めとした各種国際会議においても、アクティ

    ブ・エージング(活力ある高齢化)の実現ということが提唱されるに至って

    いる。このため、将来的には、高齢者が、意欲と能力がある限り年齢にかか

    わりなく働き続けることができる社会を実現していくことが必要である。
     我が国においては、急速に高齢化が進展する中で、労働力供給すなわち労

    働力人口の年齢構成も急速に高齢化していく。こうした状況の中で、仮に、

    労働力需要の側の年齢構造が変化しないとすると、若年労働力が大幅に不足

    となる一方で、高齢者に関しては大幅な労働力過剰となる。
    労働力需要の年齢構造を急速に変化させていく上では、従来の雇用慣行の見

    直しなど様々な課題があり、これらを解決していくためには、労使が率直に

    話し合い、政労使が協力して段階的な取組を行っていくことが必要である。
     個々の企業においては、従来の人事管理制度の見直しを行いながら、高齢

    者が働き続けることができるような条件整備を図り、高齢労働力を一層活用

    していくことが必要となる。
     そして、多くの企業において、年齢よりもその能力に基づく人事管理制度

    が普及するようになれば、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続

    けることができる社会の実現に近づいていくものと考える。


  (2) 向こう10年程度の間における取組(65歳までの雇用の確保)向こう10年程度

    の間における年齢別労働力人口の変化を見ると、29歳以下の労働力人口が約

    400万人減少するのに対し、60歳以上の労働力人口は、団塊の世代が60歳台

    に差し掛かること、及び、公的年金(基礎年金部分)の支給開始年齢が引き

    上がっていくこと等により、約360万人増加することが見込まれている。
     こうした状況を踏まえると、向こう10年程度の間における高齢者雇用の最

    重要課題は、労働力人口(労働力供給)の急速な高齢化に対応して、高齢者

    (特に60歳台前半層)の労働力需要を大幅に高めていくことであるというこ

    とができる。
     (1)で述べたような将来展望を踏まえると、個々の企業においては、従来

    の人事管理制度の見直し等を行いながら、向こう10年程度の間において、65

    歳に向けて定年年齢を引き上げていくことが必要である。
     しかしながら、我が国の年功的な賃金が生活給的な側面も有しているなど、

    従来の人事管理制度の見直しに当たっては解決すべき問題点も多いことを考

    えると、当面は、60歳台前半層の高齢者の労働力需要を高めていくために、

    再雇用による継続雇用、あるいは、他企業への再就職という方策も視野に入

    れていく必要がある。
     したがって、向こう10年程度の間においては、65歳定年制の普及を目指し

    つつも、少なくとも、意欲と能力のある高齢者が再雇用又は他企業への再就

    職などを含め何らかの形で65歳まで働き続けることができることを確保して

    いくこととする。
     このため、事業主が、人事管理制度の見直しや高齢期にも十分に能力が発

    揮されるようにするための職業能力開発などを行いつつ、定年延長又は継続

    雇用の拡充に取り組むことを促進していくため、各種の指導・援助を行うこ

    ととする。
     また、継続雇用されない定年退職者の再就職が円滑に促進されるよう、事

    業主に対して、求人開拓や能力開発など各種の支援を行うことを求めていく

    とともに、国としても、そうした取組に対して助言・援助を行う。さらに、

    高齢期における再就職を促進していくため、事業主に対して、労働者募集の

    段階における年齢制限を緩和していくことを求めていくこととする。
     なお、高齢期には、就業意欲や体力が多様化するので、それに応じた様々

    な形態の労働力需要を生み出すことも必要である。
     このため、短時間勤務の雇用形態を普及させるほか、年齢にかかわりなく

    働き続けることができる就業の場として、高齢者の自営開業も促進する。
     また、短時間雇用を始めとした普通勤務以外の雇用・就業機会に関するあ

    っせん機能を強化する等の観点から、シルバー人材センター事業等について

    発展・拡充を図るとともに、高年齢者職業経験活用センターの在り方につい

    ても検討を行う。


  (3) 高齢期に向けた社会参加の促進
     「アクティブ・エージング(活力ある高齢化)」を実現していくという観

    点から、定年退職後等の高齢者がその知識や経験を活かし、雇用・就業のほ

    かボランティア活動など様々な社会参加を行っていくことを促進する。
     また、定年退職後、それまで培ってきた知識や経験を活かした上で多様な

    社会参加を行っていくためには、在職中に退職後の準備を行うことが望まし

    いため、高齢期雇用就業支援センター等において、退職準備活動に対する支

    援を行う。

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