タイトル:平成10年度障害者雇用実態調査結果について

     −障害者の雇用が進展、重度障害者の比率が高まる−



発  表:平成12年1月14日(金)

担  当:職業安定局高齢・障害者対策部障害者雇用対策課

                 電 話 03-3593-1211(内線5854)

                     03-3595-1173(夜間直通)




 労働省では、民間事業所における障害者の雇用の実態を把握するため、平成10年

11月、全国の従業員規模5人以上の民営の事業所を対象として「事業所調査」を行

った。さらに、現に雇用されている身体障害者及び知的障害者の就業及び職業生活に

対する意識等を把握するため、これらの事業所に常用雇用されている身体障害者及び

知的障害者を対象に「個人調査」を行った。





〔調査の概要〕



 ・事業所調査の回収数は5,482事業所(回収率80.0%)、個人調査の回収

  数は身体障害者13,935人(回収率64.3%)、知的障害者928人(回

  収率73.3%)である。

 ・事業所調査による雇用状況については、産業・規模別の回収結果をもとに復元を

  行った推計値である。

 ・この調査は5年ごとに実施しているものであり、前回は平成5年度に、「身体障

  害者等雇用実態調査」として行った。





〔調査結果の骨子〕



 T 事業所調査



  (雇用状況)

  −重度障害者の比率が高まる−



  1 身体障害者

    従業員規模5人以上の事業所に雇用されている身体障害者は39万6千人

   (平成5年度調査34万4千人)である。うち重度身体障害者の比率は

   33.3%(同30.0%)となり、前回調査と比較して比率が高まっている。



  2 知的障害者

    従業員規模5人以上の事業所に雇用されている知的障害者は6万9千人(平

   成5年度調査6万人)である。うち重度知的障害者の比率は28.5%(同

   22.4%)となり、身体障害者と同じく重度障害者の比率が上昇している。



  3 精神障害者

    従業員規模5人以上の事業所に雇用されている精神障害者は、5万1千人

   (平成5年度調査2万3千人)である。



  (雇用上の課題や配慮)

  −配慮事項は職務内容、業務遂行援助者の配置など−



  1 身体障害者

    身体障害者の雇用上の課題について、身体障害者を雇用している事業所の

   74.3%が「ある」としている。主な課題としては「会社内に適当な仕事が

   あるか」68.8%、「職場の安全面の配慮が適切にできるか」42.5%な

   ど、障害者の適性、能力にあった仕事の有無や安全管理に関するものをあげる

   事業所が多い。

    雇用上何らかの配慮をしている事業所は、身体障害者を雇用している事業所

   の69.5%であり、主な配慮事項は「工程の単純化等職務内容の配慮」

   49.9%、「業務遂行を指導、援助する者の配置」34.5%、「職場での

   移動や作業を容易にする施設・設備・機器の改善」33.8%などである。



  2 知的障害者

    知的障害者の雇用上の課題について、知的障害者を雇用している事業所の

   72.2%が「ある」としている。主な課題は身体障害者と同じく「社内に適

   当な仕事があるか」68.1%、「職場の安全面の配慮が適切にできるか」

   38.7%などである。

    雇用上何らかの配慮をしている事業所は、知的障害者を雇用している事業所

   の88.4%である。主な配慮事項は「工程の単純化等職務内容の配慮」

   65.8%、「業務遂行を指導、援助する者の配置」50.6%などであり、

   職務内容の工夫に加えて職務遂行に対する人的支援を重視する事業所の比率が

   高い。



  3 精神障害者

    精神障害者の雇用の促進や雇用維持を図るために必要なこととしてあげられ

   た主な項目は、「社会や職場の理解促進」56.8%、「精神障害者の雇用管

   理に関するマニュアル等の提供」34.0%、「医療機関との連携体制の確保

   」30.9%、「職場内のメンタルヘルス等の相談支援体制の確保」29.2

   %などである。





 U 個人調査



  1 身体障害者

    −職場に対する要望の多くは処遇やコミュニケーションに関すること−



  (1)転職経験のある身体障害者の比率は28.7%、平均転職回数は2.2回

    であり、前回調査の31.0%、2.5回より若干低下している。主な転職

    理由は、「個人的理由」68.8%、「事業所の都合」12.9%などであ

    る。個人的理由の主なものは、「賃金・労働条件」28.2%、「職場の人

    間関係」22.1%、「仕事の内容」19.7%など、職場や職務の状況に

    関することが多い。

  (2)仕事を続けていく上で、さらに職場の改善が必要としている者は全体の

    30.0%である。必要な改善点としてあげられた主な項目は「能力に応じ

    た評価・昇進・昇格」30.0%、「コミュニケーション手段や体制の整備

    」27.0%など、処遇やコミュニケーションに関する事項である。

  (3)仕事や職場に関して悩みや不安を抱いたときの相談相手がいる者は全体の

    81.3%であり、主な相談相手は「家族・親族」43.6%、「職場の同

    僚・友人」35.5%などである。



  2 知的障害者

    −職場に対する要望の第一は「今の仕事を続けること」−



  (1)職場で困ったときの相談相手がいる者は全体の87.9%で、主な相談相

    手としては「職場の上司」28.4%、次いで「職場の同僚」25.3%、

    「家族」20.2%の順となっている。

  (2)今の職場に対する要望として「今の仕事を続けたい」が59.4%と最も

    多く、次いで職場で相談できる人がほしい」15.4%などである。




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