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第1部 我が国のものづくり基盤技術の現状と課題



 第3章 ものづくり基盤技術に係る学習の現状と課題



  (3)ものづくりに係る生涯学習の現状



    青少年をはじめとする国民の「科学技術離れ」「理科離れ」が指摘されてい

   る中、ものづくりに関する学習の機会を様々な場で提供できる体制を整備する

   ことが必要。



    国民の「科学技術離れ」「理科離れ」が指摘されている中、科学館、公民館、

   博物館における行事の実施や、学校開放、放送大学における各種講座の開設な

   ど、様々な場においてものづくりをはじめとした各種の学習機会の提供が行わ

   れている。





第3回国際数学・理科教育調査結果



 理科の成績
  小学校 中学校
昭和45年(第1回) 1位/16国 1位/18国
昭和58年(第2回) 1位/19国 2位/26国
平成 7年(第3回) 2位/26国 3位/41国
平成11年(第3回追跡調査) 実施していない 4位/38国
(注)小学校については昭和45年及び58年は5年生、

   平成7年は4年生の成績。中学校については各年

   とも2年生の成績。







 理科に対する意識 
  理科が「好き」
または「大好き
理科の勉強は
楽しい
将来、科学を使う
仕事がしたい
生活の中で大切
平成7年 56%(73%) 53%(73%) 20%(47%) 48%(79%)
平成11年 55%(79%) 50%( − ) 19%( − ) 39%( − )
前回との差 △1 △3 △1 △9
(注)(  )内は国際平均値

   (−)内については国際平均値は発表されていない。





資料:国際教育到達度評価学会(IEA)「第3回国際数学・理科教育調査」





 (具体的事例)



  <国民の科学技術に対する理解の増進のための取組み事例>



   ○ロボット創造国際競技大会(ロボフェスタ)



     平成13年度にはロボット競技、展示、フォーラム等を通じ、青少年を

    はじめとする国民が、ものづくりの楽しさと最先端科学技術を体験できる世

    界初の国際的総合イベント「ロボット創造国際競技大会(ロボフェスタ)

    2001」が関西地域及び神奈川県において開催され、約56万人の参加が得ら

    れた。





   ○マルチメディアを活用した取組



     科学技術振興事業団は、「サイエンス・チャンネル」としてCS放送等を

    通じて国民に科学技術に関する情報を提供するためのテレビ番組の作成や、

    最新のコンピューター技術によって仮想的に科学技術を体験できる「バーチ

    ャル科学館」の開発を実施した。





   ○大学・研究機関の公開



     研究施設を一般市民に公開し、研究活動の紹介や講演会などを実施する大

    学の研究所や大学共同機関が多くなっている。例えば、国立天文台において

    は、青少年を含む一般市民を対象とした「天体観望会」を毎月2回実施。ま

    た、東京大学生産技術研究所では、一般公開の中で中高生を対象とした見学

    コースや産研究交流の展示を設けるなど、社会に開かれた研究所づくりを推

    進。また、平成13年度の「科学技術週間」においては、全国各地の研究施

    設や科学館等において、施設の一般公開や実験作教室、講演会の開催など約

    850件のイベントを開催。





   ○子ども科学技術白書



     文部科学省では、児童生徒を対象に科学技術に対する興味を持つきっかけ

    を与えることを目的として、科学技術白書の内容をもとに、平成11年度以

    降「子ども科学技術白書」を毎年発行し、都道府県教育委員会、都道府県立

    図書館、科学館及び総合博物館等に配布している。







  <大学子ども開放プランの例>



    名古屋工業大学において、「ものづくりに挑戦!(未来への体験)」と題し、

   ワイヤ放電加工機を使用したプレート作りや、普通旋盤を操作してのペーパー

   ウエイト製作、液体窒素を作る実験等を行った。

    中学生が普段触れることができない工作機械に触れる体験をとおして、機械

   操作の安全を身をもって実感できる機会となった。また、製作や実験を通して

   工学や「現在の中学校での勉強」の大切さや意味を考える契機となった。





  <国立科学博物館の取組事例>



    小・中学生を対象とした、ガラス工作、ろうそく製作等の実習用のシナリ

   オ・テキスト等、科学に対する興味・関心を増進させるための学習プログラム

   を開発・実施し、その成果を全国の博物館、公民館、学校等に普及を図ってい

   る。



    専修学校においては、実践的な職業教育や専門的な技術教育等を実施してい

   るほか、社会人の再教育機関としての役割も担っており、ものづくりをはじめ

   とした多様な学習機会を提供。





 (具体的事例)



  <産学連携によるプログラム開発の例>



    産業界のニーズを踏まえた、ニットについての豊富な知識・技術を有する即

   戦力となる人材を育成するため、ファッション関連企業と専修学校の連携のも

   と、マーケティングリサーチから製品化まで一貫したニットデザイン企画に係

   る先進的な教育プログラムの開発を実施している。





  <全国専門学校ロボット競技会>



    平成13年度に実施された第10回大会においては、自律型ロボット対戦競

   技と有線型ロボット対戦競技が行われた。前者については、センサー技術と高

   度なプログラミング技術が、後者については、設計・製作技術が競われた。





  <専修学校開放講座の例>



    新潟コンピューター専門学校では、小学生高学年程度とその保護者を対象と

   して「音と光に反応する科学作業ロボット製作講座」を実施した。ロボットを

   組み立てることにより、ものづくりの楽しさや親子のふれあいが体感できたと

   ともに、ICやセンサーの取り付けなどのメカニックな工程により、科学に対

   する興味・関心を深めることができた。

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