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第1部 我が国のものづくり基盤技術の現状と課題



 第2章 ものづくり労働者の確保等の現状と課題



  (2)ものづくり労働者の職業能力開発



    国際競争が激化し生産拠点の海外移転が進展する中で、ものづくり労働者に

   求められる能力が高度化・多様化しており、それ対応してものづくり労働者の

   職業能力の開発・向上を図ること重要な課題。





   ○製造業企業の教育訓練の実施状況についてみると、概して企業規模が小さい

    ほど低い水準。





      計画的なOJTとOFF−JTの実施率





   ○労働移動の増加等により、企業主導の能力開発だけでは限界が生じてきてい

    ることから、労働者の自発的な職業能力開発の必要性が増してきているが、

    「忙しくて自己啓発の余裕がない」「費用がかかりすぎる」等が問題。





    自己啓発についての問題点





   ○国際化の下でコスト競争が激化し、量産分野を中心として生産拠点の海外移

    転が進展。国内の生産は、ニーズの多様化に対応し多品種少量生産にシフト

    するとともに、高付加価値化。これに伴い、



     ・多数の機械を操作できる多能工型技能者

     ・生産の変化に対応して仕事と人の配置などを適切に行えるマネジメント

      能力を備えたマネージャー型技能者

     ・生産のあり方を体得した技能者

     ・高度熟練技能者



    の重要性が増加している。企業や公共職業能力開発施設においては、それに

    対応した人材の育成に努めている。





技能者タイプごとの重要度の変化







 (具体的事例)



  (1)多能工型技能者の能力開発



    A社は海外との競争が激化した90年代半ばから、生産性を上昇させるため

   に「自己完結方式・一人生産方式」に取り組んでいる。例えば、金物加工では、

   ある一人の技能者を取り囲むように機械をコの字型に並べ、技能者はその機械

   をすて使って様々な製品を作る。

    このような生産方式に対応できる技能者の育成の際には、技能者本人とグル

   ープリーダーとの話し合いにより個々人の技能マップが作成され、それをもと

   にリーダーが作成したOJTの課題設定シートに則り、チーム内のベテラン技

   能者または他チームの適当な技能者の下で計画的にOJTが行われる。





  (2)マネージャー型技能者の能力開発



    D社では本社の技能研修センターが中心になって、技能系リーダーを養成す

   るためのマネジメント能力養成コースを開設している。対象は一定水準以上の

   人事評価を受けている班長レベルの技能者であり3か月間現場を離れて工場改

   善、販売実習、情報技術などを学ぶ。また、同社では高度な技能者について生

   産ラインから離れ改善業務等のスタッフ的な仕事を担当するエキスパート職が

   導入され、技能のキャリア・コースの複線化を進めている。





  (3)実践技術者の育成



    職業能力開発大学校では、機械に関し専門性を有する者が電子、情報に関す

   る科目を習得することによって、生産設備の省力化システムを構築・運用でき

   るようなることを目指すなど、技術と技能の双方に通じた生産現場の実践技術

   者を育成している。





   ○熟練技能の継承は多くの企業の課題となっており、OJTの強化、指導者の

    養成等により若年の育成に努力。





   技能継承に向けて実施している取り組み

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