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(別添1)
キャリア・コンサルティング研究会報告(概要)
第1 キャリア・コンサルティング研究会設置の背景と目的
IT等の技術革新や経済のグローバル化の進展、企業の人材戦略の変化等の中で、
労働者の雇用の安定・拡大を図るためには、労働者にとって、企業の内外における様
々な変化に対応できる職業能力の開発及び向上が重要となってきている。また、厳し
い雇用失業情勢下においては、求人と求職の能力のミスマッチを解消していくことが
喫緊の課題となっている。このため、在職者や求職者が、自らの職業生活設計を踏ま
えた的確な職業選択や職業能力開発を効果的に行えるよう、これら在職者や求職者の
相談に応じる(キャリア・コンサルティング)ことにより、これらの者の雇用の安定・
拡大や円滑な再就職及び労働移動を積極的に支援することが必要である。このため、
キャリア・コンサルティングを担う人材の養成が必要であり、キャリア・コンサルテ
ィング実施に必要な能力要件を明らかにすることを目的として研究会を設置した。
第2 キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力
キャリア・コンサルティング実施のために必要な能力を体系的に整理したのが、以
下に示す「能力体系」である。当該能力体系は、4つのカテゴリーから構成されてい
る。
※なお、用語の整理として、「キャリア・コンサルタント」は、キャリア・コン
サルティングを実施する者を指し、「相談者」は、キャリア・コンサルタント
に相談をする者を指すものとする。
能力体系のカテゴリー
I キャリア・コンサルティングの社会的意義に対する理解
II キャリア・コンサルティングを行うための基本的知識・スキル
III キャリア・コンサルティングの実施過程において必要なスキル
IV キャリア・コンサルティングの効果的実施に係る能力
I キャリア・コンサルティングの社会的意義に対する理解
社会や経済の動向、労働者個人のキャリア形成の重要性、そのための支援の必要性、
キャリア・コンサルティングの役割、守るべき倫理規定(基本理念、任務範囲、秘密
保持等)について、理解していること。
II キャリア・コンサルティングを行うための基本的知識・スキル
キャリア・コンサルティングに関連する各種理論、心理テスト等の自己理解のため
の具体的方法、職業情報や職業能力開発に関する情報、企業における雇用管理の仕組
み、労働関係法規等を理解していること。また、カウンセリング・スキル等を用いて
相談を行うことができること。
III キャリア・コンサルティングの実施過程において必要なスキル
相談者の相談内容を把握し、その到達目標、相談を行う範囲、緊要度などについて、
明らかにすることができること。興味や適性、職業経験などを分析したり、相談者に
応じて検査等を実施し、自己理解を支援することができること。仕事に関する理解を
支援することができること。相談者の職業上の具体的な目標設定を指示することがで
きること。相談者の目標に応じて必要な能力開発の情報を提供することができること。
IV キャリア・コンサルティングの効果的実施に係る能力
キャリア・コンサルティングを求める可能性のある人や企業などに対して、様々な
活動を通じてキャリア形成の重要性、必要性等について普及することができること。
相談者の様々なニーズに応えるために、適切な専門機関等に紹介あっせんすることが
できること。効果的に相談を実施するために、追加情報を入手したり、異なる分野の
専門家に意見を求めることができること。コンサルタントは自ら常に学ぶ姿勢を維持
し、新たな情報を吸収し、自らの力量を向上させていくことができること。
第3 今後の課題
1 能力体系の活用
今回作成した能力体系が、キャリア・コンサルティングに係る能力評価試験のガイ
ドラインとして活用されることが期待される。これを推進するための施策として、職
業能力評価に係る助成制度等の活用について検討する必要がある。
2 レベル問題
今回作成した能力体系は、いわば標準的なものとして位置付けられると考えられる。
今後、キャリア・コンサルティングをより広く世間一般に普及させていくためには、
導入的なレベルの養成講座についても推進していく必要があるとともに、キャリア・
コンサルタントに対する指導者レベルの人材の養成についても配慮することが重要で
ある。
3 固有能力の整理
今回整理した能力体系は、共通する能力のみで整理することとしたが、キャリア・
コンサルティングが行われる「場」、例えば、企業内、需給調整機関、能力開発機関
等ごとに固有に必要とされる能力についても、今後精査していくことが必要である。
4 能力体系の見直し
今後とも、労働者を取り巻く経済社会的環境は、絶えず変化していくものと考え
られる。このため、的確なキャリア・コンサルティングを進めるには、当該能力体系
を定期的に見直していくことが必要である。
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