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今後の職業能力開発の在り方研究会報告の概要 



  



I 経済・社会情勢の変化と職業能力開発政策上の課題



 1 経済社会の変化と労働市場への影響 



   IT等の技術革新や経済のグローバル化の進展による企業をとりまく急激な環境

  変化、労働者の職業生活の長期化、就業形態やキャリアの多様化、労働移動の増加

  等により、 



   内部労働市場の変化として、 



   <1>  職務編成が指揮命令系統の明確なタテ系列から柔軟でフラットなものに

      変化しつつある。 

   <2>  能力主義、成果主義の傾向が強くなっている。 

   <3>  キャリア形成の個別化の様相が強くなっている。 



   外部労働市場との関係においても、 



   <4>  労働移動の増加等により職業能力の市場価値を高める必要性が増大して

      いる。







 2 労働市場の変化に対応した職業能力開発の在り方 



  ○ 職務編成の変化への対応 



    労働者の能力の発揮のため、企業のニーズと労働者のキャリア希望とのすり合

   わせ等が必要。企業内においても、労働者のエンプロイアビリティ(就業能力)、

   市場価値を高めるため、労働者自らの能力開発を支援することが必要。 



  ○ 能力主義、成果主義の傾向への対応



    職務の内容や期待される役割を明確化し、職務と労働者の希望・適性・能力と

   のマッチングを行うことが重要。適正なアウトプット評価を基に人事配置、節目

   ごとのキャリア・コンサルティング等を進めていくことが必要。 



  ○ キャリア形成の個別化への対応 



    職業能力開発や職業能力評価を推進するための施策は、労働者の個別キャリア

   形成の在り方を軸として展開していくことが必要。 



  ○ 労働移動の増加への対応 



    職業能力の市場価値の基準を明らかにし、これを高めるためのキャリア形成支

   援や多様な職業能力開発を受けられるシステムの整備が重要。 









II 今後の職業能力開発政策の基本的方向性



   <1>  「職業生涯にわたるキャリア形成」を施策の柱に位置づけ、労働者

      の適切なキャリア形成を支援。



   <2>  これまでのキャリアをベースにした職業能力評価システムの構築。



   <3>  エンプロイアビリティ向上施策の推進及び自己啓発促進のための環境整

      備。



   <4>  職業能力の高度化及び問題発見解決能力の涵養を目標とした施策の推進。



   <5>  自己啓発を施策の重要な手段として位置づけ。 









III 今後推進すべき職業能力開発施策





 1 個別的なキャリア形成を支援するための体制の整備



   (1) 労働者が能力を「知る」仕組みの整備 



      経験してきた職務や教育訓練等により身につけた能力の労働者自身による

     棚おろし。 





   (2) 労働者に能力を「知らせる」仕組みの整備 



      キャリアの節目ごとに労働者が自らキャリアを詳細に記述できるような仕

     組みや企業がこれに係る情報を保持できる仕組みの整備。 

      離職の際、労働者がキャリアに係る「記述」や情報を持ち運びできる仕組

     みの構築。 

  



   (3) 労働者のキャリア形成を支援する仕組みの整備



    <1>  企業内におけるキャリア形成支援 



       事業主が必要とする「人材像」を労働者に提示した上で、企業のニーズ

      と労働者の希望・適性・能力を照合し、キャリア形成の具体的方向と職業

      能力開発の方針を確定させること(キャリア・コンサルティング)が必要

      であり、こうした職務に専門的な能力を有している者を配置することが望

      ましい。 

       また、行政としても、このようなシステムの整備を支援することが重要。

 

    <2>  企業外におけるキャリア形成支援 



        労働者が企業を超えてキャリア形成を行っていくに当たって、公的な

       支援体制を整備することが重要。



    <3>  キャリア・コンサルティングを行う専門家の養成 





   (4) 能力開発コースに係る情報提供、個人別の能力開発計画の作成 





   (5) 若年者(学卒未就職者等)のキャリア形成を支援する仕組みの整備 



  



 2 個人の適正なキャリア形成を支援するための職業能力評価制度の整備 



   (1) 職業キャリアをベースにした職業能力評価システムの開発・整備 





   (2) エンプロイアビリティ評価 

 

      エンプロイアビリティについての基準を実践的なものとして明確にしてい

     くことは、今後の雇用対策として極めて重要。 





   (3) 民間団体が実施する職業能力評価システムの整備 







 3 エンプロイアビリティ向上のための能力開発施策の推進 



   労働者のエンプロイアビリティを評価し、不足している職業能力については、こ

  れを能力開発等につなげ、市場価値を高めていく仕組みの整備。 

   公共職業能力開発施設等における教育訓練コースの多様化・弾力化や、労働者が

  主体的にコースを選択できるシステムの拡充。 

   問題発見解決能力等を獲得する各種訓練技法を取り入れた教育訓練コースの設定

  やノウハウの蓄積等。 







 4 自己啓発への支援の強化



   自己啓発を適切に進めるためには、能力評価をベースとしたコンサルティングや

  情報提供が不可欠。また、就業時間の配慮、教育訓練休暇制度の普及・支援等の環

  境整備も必要。


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