3.改革の骨格に関する基本的な方向性と論点 (3)給付と負担の関係が分かりやすい年金制度 《将来の年金給付を実感できる分かりやすい仕組みや運営の必要性》 ○ 現役世代、特に若い世代の年金制度に対する理解と信頼を高めるため、将来の年 金給付を実感できる分かりやすい仕組みや運営が必要である。 《ポイント制の導入と年金個人情報の通知》 ○ このため、推進していくこととしている被保険者サービスの充実に向けた施策に 加えて、ドイツが行っているポイント制のように、被保険者個々人の保険料納付実 績を年ごとに点数(ポイント)化することにより、自らの拠出実績が確認できると ともに、被保険者にとって将来受給する年金権が着実に増加することが実感できる 仕組みを整備していく。 ○ また、年金ポイント数や将来受給する年金見込額等の年金個人情報を、定期的に 被保険者に対して情報提供(通知)していく仕組みを導入する。 《ポイント制の具体例》 ○ 年金額の算定式を、給付水準が変えずに、例えば、次のように変更する。
現行の給付算定式 | ポイント制 | |
基礎年金 (年額) |
804,200(円)×保険料納 付済月数等÷加入可能 月数(480月) ※ 基礎年金満額は、 月額67,000円 |
基礎年金ポイント×単価 ・ ポイントは、納付1年で1ポイント (40年間の保険料納付で40ポイント) ・ 単価=804,200(円)/40(年)= 20,105円(月当たり1,676円) |
報酬比例 年金 (年額) |
平均標準報酬月額(賃 金再評価後)×7.125/ 1000×加入月数 ※ 40年加入の標準的 な報酬比例年金 359,660(円)×7.125/ 1000×480(月)= 1,230,037(円) (月額102,500円) |
報酬比例年金ポイント×単価 ・ ポイント=年ごとの納付実績(ある 年度の当該被保険者の賃金/当該年度 の被用者年金の全被保険者の平均賃金 )を累計 ・ 被用者年金の全被保険者の平均的な 報酬を有する者が1年保険料を納付す ると1ポイント(40年間、全被保険 者の平均賃金の場合、40ポイント) ・ 単価=1,230,037(円)/40(年)= 30,751円 (月当たり2,563円) |
ポイント制のイメージ (1)基礎年金 年金額= 基礎年金ポイント × 単価(年金現在価値) 保険料納付1年で ○単価=804,200(円)(基礎年金 1ポイント 満額)/40(年)=20,105(円) (40年間の保険料 (月当たり1,676円) 納付で40ポイント) ○単価(年金現在価値)は、国民生活の 動向等を踏まえて政策改定 (2)報酬比例年金 年金額= 報酬比例年金ポイント × 単価(年金現在価値) 毎年のその人の賃金を ○40ポイント獲得した場合に標準 その年の被用者全体の 的な年金額を受給できるように設 平均賃金で割って点数 定 化 (例えば、平均的な給 ○単価=1,230,037(円)(モデル年金 与で1年間保険料を納 相当額)/40(年)=30,751(円) めた場合を1ポイント (月当たり2,562.6円) とすると、標準的な労 働者は、40年間の勤務 ○単価(年金現在価値)は、賃金等の で累積40ポイントとな 上昇に応じて改定 る。) 《ポイント制の意義》 (1) 保険料納付に伴いポイントが増加していくので、自らの拠出実績が確認できる とともに、将来受給する年金権が着実に増加することが実感できる。 (2) 例えば、上記の具体例であれば、基礎年金満額やモデル世帯の報酬比例年金を 受給するためには、基礎年金ポイント、報酬比例年金ポイントが40ポイント必要 となるが、このような標準的な年金水準に必要となる年金ポイント数と比較する ことにより、自らの年金権が現在どの程度の位置にあるかが分かるので、老後の 生活設計がしやすい。 (3) 加入者からみて、年金額の算定式が分かりやすい。 《年金個人情報の提供(通知)の具体例》 ○ 全被保険者を対象として、定期的に(例:1年ごと)年金情報を提供(通知)す る仕組みを導入する。 ○ 年金ポイント(直前1年間の実績及び累計総ポイント数)、現在の年金加入期間、 年金見込額等を通知する。