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児童養護施設における福祉サービスの第三者評価基準(試案)
V 福祉サービスの適切な実施
3 日常生活の援助
V-3-(1) 適切な食生活に対する援助を行っている。
V-3-(1)-7 食事を美味しく楽しく食べられるよう工夫し、栄養管理にも十分
な配慮を払っている。
【判断基準】
a)以下の項目の内7つ以上を実施
b)以下の項目の内5つ〜6つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・食事場所は明るく楽しい雰囲気で、常に清潔が保たれている。
・温かいものは温かく、冷たいものは冷たくという食事の適温提供に配
慮している。
・陶器の食器等を使用したり盛りつけやテーブルの飾りつけの工夫など、
食事を美味しく食べられるように工夫している。
・幼児など児童の個人差や児童の体調、疾病、アレルギー等に配慮した
食事を提供している。
・好き嫌いをなくす工夫や偏食指導については、無理がないよう配慮し
実施している。
・定例的に児童の嗜好や栄養摂取量を把握し、献立に反映させている。
・生活指導担当職員と給食担当職員との定例的な連絡会議を開催し、食
生活の向上などに努めている。
・研修会や講習会に参加し、技術の向上に努めている。
V-3-(1)-8 児童の生活時間にあわせた食事の時間が設定されている。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・朝食、昼食、夕食それぞれの食事時間が児童の基本的生活習慣の確立
につながるよう設定されている。例:夕食時間は午後6時以降にして
いる。
・クラブ活動等児童の事情に応じて、食事時間以外の時間でも個別の食
事を提供している。
・電子レンジや保温庫、保冷庫等を用意し、食事時間以外にもおいしく
食べられるよう配慮している。
・無理なく楽しみながら食事ができるように、年齢や個人差に応じた食
事時間に配慮をしている。
V-3-(1)-9 発達段階に応じて、食習慣を習得するための支援を適切に行って
いる。
【判断基準】
a)以下の項目の内5つ以上を実施
b)以下の項目の内4つを実施
c)以下の項目の内3つ以下の実施
・箸、ナイフ・フォーク等食器の使い方や食事のマナーが習得できるよ
う支援している。
・食習慣の習得を、無理なく楽しみながら身に付けられるよう工夫して
いる。
・基礎的な調理技術を習得できるよう、食事やおやつを作る機会を設け
ている。
・テーブル拭き、食器洗い、食器消毒、残飯処理など食後の後片づけの
習慣が習得できるよう支援している。
・外食の機会を設け、施設外での食事を体験させている。
・食品分類やおやつの摂り方等、栄養についての正しい知識を教えてい
る。
V-3-(2) 適切な衣生活に対する援助を行っている。
V-3-(2)-10 衣服は清潔で、体に合い、季節にあったものを提供している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・常に衣服は清潔で、体に合い、季節に合ったものが着用されるよう提
供している。
・年齢に応じて、TPOに合わせた服装ができるように配慮している。
・毎日取り替える下着や、汚れた時などに着替えることができる衣類が
十分に確保されている。
・制服、運動着、作業着など生活場面や活動場面に応じて着替えること
のできる衣類を提供している。
V-3-(2)-11 児童が、衣習慣を習得し、衣服を通じて適切に自己表現できるよ
うに援助している。
【判断基準】
a)以下の項目の内5つ以上を実施
b)以下の項目の内4つを実施
c)以下の項目の内3つ以下の実施
・気候、生活場面、汚れなどに応じた選択、着替えや衣類の整理、保管
などの衣習慣を習得させている。
・個々の収納スペースを確保するなど、「自分の服である」という所有
感を持てるようにしている。
・発達段階や好みに合わせて児童自身が衣服を購入できる機会を設けて
いる。
・発達段階に応じて、衣服の着脱、整理整頓ができるよう援助している。
・発達段階に応じて、洗濯、アイロンかけ、補修等衣服の自己管理がで
きるよう援助している。
・衣服を通じて児童が適切に自己表現ができるように支援している。
V-3-(3) 適切な住生活に対する援助を行っている。
V-3-(3)-12 居室等施設全体が、生活の場として安全性や快適さに配慮したも
のになっている。
【判断基準】
a)以下の項目の内5つ以上を実施
b)以下の項目の内4つを実施
c)以下の項目の内3つ以下の実施
・トイレ、洗面所等は性別や年齢に応じて使いやすいように配慮してい
る。
・必要に応じて、冷暖房設備を整備している。
・児童が私物を収納できるよう、個々にロッカー、タンス等を整備して
いる。
・日常的な清掃や大掃除を行い、軽度な修繕を迅速に行っている。
・くつろげる空間を確保するように努めている。
・必要に応じていつでも入浴やシャワーが利用できるようになっている。
V-3-(3)-13 発達段階に応じて居室等の整理整頓、掃除等の習慣が定着するよ
う援助している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・居室の整理・整頓、掃除の習慣を身に付けられるよう支援している。
・洗濯、ふとん干し、各居室のごみ処理の習慣を身に付けられるよう支
援している。
・戸締り、施錠の習慣を身につけられるように支援している。
・建物や設備の軽度な破損について、簡単な修理を体験できるように配
慮している。
V-3-(4) 適切な衛生管理や健康管理及び安全管理に対する援助を行っている。
V-3-(4)-14 発達段階に応じ、身体の健康(清潔、病気、事故等)について自
己管理ができるよう支援している。
【判断基準】
a)以下の項目の内7つ以上を実施
b)以下の項目の内5つ〜6つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・幼児については、常に良好な健康状態を保持できるよう、睡眠、食事
摂取、排泄等の状況を職員がきちんと把握している。
・排泄後の始末と手洗いの指導をしている。
・うがいや手洗いの習慣を養うように指導している。
・寝具の日光消毒や衣類などを清潔に保つなど、健康管理ができるよう
指導している。
・洗面、整髪、ひげそり、歯磨き、爪きり等身だしなみについて、発達
に応じて自ら行えるよう援助している。
・定例的に理美容をしている。
・児童の発達段階に応じて、危険物の取り扱いや危険な物・場所・行為
から身を守るための指導を行っている。
・児童の交通事故を防止するため、交通ルール等について日頃から児童
に教えている。
V-3-(4)-15 医療機関と連携して一人ひとりの児童に対する心身の健康を管理
するとともに、異常がある場合は適切に対応している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・児童の平常の健康状態や発育・発達状態を把握している。
・健康上特別な配慮を要する児童については、医療機関と連携して、日
頃から注意深く観察している。
・職員間で医療や健康に関して学習する機会を設け、知識を深める努力
をしている。
・服薬管理の必要な児童については、医療機関と連携しながら服薬や薬
歴のチェックを行っている。
・受診や服薬が必要な場合、児童がその必要性を理解できるよう、説明
している。
V-3-(5) 児童の問題行動などに対して適切な対応を行っている。
V-3-(5)-16 児童が暴力・不適応行動などの問題行動をとった場合に、適切に
対応している。
【判断基準】
a)以下の項目の内6つ以上を実施
b)以下の項目の内5つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・施設が、児童にとっての癒しの場となるよう配慮している。
・問題行動のある児童について、児童の特性等あらかじめ職員間で情報
を共有化し、連携して対応できるようにしている。
・問題行動のある児童については、問題となる行動を観察・記録し、誘
因や刺激、人的・物的環境との因果関係を分析している。
・職員の研修等を行い、問題行動に対して適切な援助技術を習得できる
ようにしている。
・問題行動に対して、児童の心身を傷つけずに対応するための体制を整
えている。
・必要に応じ、児童相談所、専門医療機関等と協力し、対応している。
・周囲の児童の安全を図る配慮がなされている。
V-3-(5)-17 虐待を受けた児童等、保護者からの強引な引き取りの可能性があ
る場合、施設内で安全が確保されるよう努めている。
【判断基準】
a)以下の項目の内3つを実施
b)以下の項目の内2つを実施
c)以下の項目の内1つ以下の実施
・強制引き取りのための対応について職員に周知徹底している。
・引き取りの可否等について、児童相談所との連絡を適宜行っている。
・緊急時には協力を依頼できるよう、警察との連携を図っている。
V-3-(5)-18 施設内の児童間の暴力、いじめ、差別など施設全体で生じないよ
う徹底している。
【判断基準】
a)以下の項目の内5つ以上を実施
b)以下の項目の内4つを実施
c)以下の項目の内3つ以下の実施
・日頃から他人に対する配慮の気持ちや接し方を職員が模範となって示
している。
・人権に対する児童の意識を育むよう支援をしている。
・問題の発生予防のために、施設内の構造、職員の配置や勤務形態のあ
り方についても点検を行っている。
・課題を持った児童、入所間もない児童の場合は観察を密にし、個別援
助を行っている。
・児童間での暴力やいじめが発覚した場合については、施設長が中心に
なり、全職員が適切な対応ができるような体制になっている。
・暴力やいじめに対する対応が困難と判断した場合には、児童相談所等
に協力を要請するようにしている。
V-3-(6) 児童の自主性や自律性を尊重した日常生活の援助を行っている。
V-3-(6)-19 行事などのプログラムは、児童が参画しやすいように計画・実施
されている。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・児童の趣味や興味にあったプログラムになるように児童の意見を反映
させ、適宜改変している。
・児童が主体的に行事の企画・運営に関わることができる。
・活動に対して自発的な参加を促すよう支援している。
・行事等のプログラムに追われることなく、ゆとりある生活が過ごせる
よう配慮している。
・行事等の参画について、児童一人ひとりの選択を尊重している。
V-3-(6)-20 休日等に児童が自由に過ごせるよう配慮している。
【判断基準】
a)以下の項目の内5つ以上を実施
b)以下の項目の内4つを実施
c)以下の項目の内3つ以下の実施
・児童の興味や趣味に合わせて、自発的活動ができるよう工夫している。
・児童(外国籍児童等)の生活文化を保障し、自由に活動ができるよう
にしている。
・学校のクラブ活動への参加は、本人の希望を尊重している。
・児童が外部のサークル活動やレクリエーション等に参加することを望
む場合、可能な限りそれに応えている。
・児童の趣味に応じて、外部の文化・スポーツ活動への参加や習い事を
認めている。
図書・雑誌・新聞等、児童の要望に応じた出版物を備えて、自由に閲
覧できるようにしている。
・テレビ・ビデオ・ステレオ等オーディオ機器を備え、児童の健全な発
達に考慮した上で、自由に使用できるようにしている。
V-3-(6)-21 児童の発達段階に応じて、金銭の管理や使い方など、経済観念が
身につくよう支援している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・計画的な小遣いの使用等、金銭の自己管理ができるよう支援している。
・無駄遣いをやめ、節約したことによる効果が実感できるようなお金の
使い方を体験できるように工夫している。
・大人と一緒に買物に行ったり、一人で買物をさせるなど経済観念や金
銭感覚が身につくよう支援している。
・小遣いの使途については、児童の自主性を尊重し、不必要な制約を加
えていない。
・一定の生活費の範囲で生活することを学ぶプログラムを実施している。
V-3-(6)-22 児童が友人や地域との関係を深められるよう支援している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・学校の友人等が施設へ遊びに来やすいような環境づくりに努めている。
・電話の取次ぎ時間は、児童の発達や状況に応じて、可能な限り制限し
ないようにしている。
・帰宅時間(門限)は、児童と発達や状況に応じて決めている。
・地域のボランティア活動への参加の機会を設けている。
・お祭りへの参加など、地域社会での活動や交流会への参加を支援して
いる。
V-3-(7) 一人ひとりの児童に応じた適切な学習支援、進路指導等を行ってい
る
V-3-(7)-23 学習環境の整備を行い、学力に応じた学習支援を行っている。
【判断基準】
a)以下の項目の内5つ以上を実施
b)以下の項目の内4つを実施
c)以下の項目の内3つ以下の実施
・忘れ物や宿題の未提出がないよう把握している。
・辞書・参考書等学習に必要な書籍を用意している。
・静かに落ちついて勉強できるように個別スペースや学習室を用意する
など、中学生、高校生、大学受験生のための環境づくりなどの配慮を
している。
・年齢や理解力に応じて、自分で学習計画が立てられるなど、学習習慣
が身につくよう援助している。
・学校教師と十分な連携をとり、常に児童個々の学力を把握し、学力に
応じた個別的な学習支援を行っている。
・学習指導のため、ボランティアの協力を得ている。
V-3-(7)-24 学校を卒業する児童の進路について、「最善の利益」にかなった
進路の自己決定ができるよう援助している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・進路選択に必要な資料を収集し、児童に判断材料を提供している。
・進路選択にあたって、児童と十分に話し合っている。
・進路選択にあたって、親、学校、児童相談所の意見を十分聞くなど連
携している。
・早い時期から進路について自己決定ができるような相談、指導を行っ
ている。
・奨学金など進路決定のための経済的な援助のしくみについての情報等
も提供している。
V-3-(7)-25 職場実習や職場体験等の機会を通して、社会経験の拡大に取り組
んでいる。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・実習先や体験先の開拓を積極的に行っている。
・事業主等と密接に連携するなど、職場実習の効果を高めている。
・各種の資格取得を積極的に奨励している。
・職場実習に対する実施規程などを作成し、児童の自立支援に取り組ん
でいる。
V-3-(7)-26 児童の年齢・発達段階に応じて、異性を尊重し思いやりの心を育
てるよう、性についての正しい知識を得る機会を設けている。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・年齢、発達段階に応じて、性についての正しい知識、関心が持てるよ
う援助している。
・性をタブー視せず、児童の疑問や不安に答えている。
・年齢相応で健全な異性との付き合いができるよう配慮している。
・年齢に応じた性教育のカリキュラムを用意し、正しい性知識を得る機
会を設けている。
・性教育についての職員の学習会を実施している。
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