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児童養護施設における福祉サービスの第三者評価基準(試案)
II 児童の権利擁護
1 児童の権利擁護
II-1-(1) 常に児童の最善の利益について熟考し、児童の権利を擁護してい
る。
II-1-(1)-1 施設長は、児童の権利擁護への取り組みを積極的に行っている。
【判断基準】
a)以下の項目の内6つ以上を実施
b)以下の項目の内5つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・児童からの不服や意見を把握している。
・特に配慮を要する児童について、職員より随時経過を報告させ、適切
な助言・指導を行っている。
・定例的にケース記録に目を通し、適宜、必要な助言を行っている。
・ケース会議等に出席し、必要に応じて助言・指導を行っている。
・いわゆる権利ノート等を配布するなど児童に対する人権侵害の起こら
ない施設づくりをしている。
・権利擁護に関する施設内外の研修に職員を積極的に参加させている。
・児童の権利擁護の姿勢が施設全体に行き渡るような具体的な取り組み
を行っている。
II-1-(1)-2 職員は、児童の権利擁護への取り組みを積極的に行っている。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・すべての職員は人権侵害の行為の禁止についてよく理解している。
・常に児童の最善の利益の観点に立ち、子どもの権利を擁護している。
・児童の個性を尊重し、子どもの希望や意見に最大限の配慮を払ってい
る。
・権利擁護に関する研修に積極的に参加している。
・児童の権利擁護の姿勢が施設全体に行き渡るような具体的な取り組み
を行っている。
II-1-(1)-3 施設生活全般について、児童が自由に意見を表明する機会を設け、
それに応えている。
【判断基準】
a)以下の項目の内6つ以上を実施
b)以下の項目の内5つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・児童が自由に意見を表明できるよう、児童と職員の信頼関係づくりに
取り組んでいる。
・日常生活の場面で、生活場面面接を実施するなど、児童から意見を引
き出せるよう取り組んでいる。
・普段の児童の表情や態度からも意見を読み取るよう取り組んでいる。
・児童の意見や希望に可能な限り応えている。
・すぐに応えることが難しい事柄でも職員会議で話し合う等取り組んで
いる。
・児童の希望に応えられない事柄については、その理由をその都度児童
に説明して理解を求めている。
・意思を表明できない幼児などに対しては、職員が代弁者としての役割
を果たすよう努めている。
II-1-(1)-4 児童自身が、自分たちの生活全般について、自主的に考える活動
(自治会活動等)を推進し、施設における生活改善に向けて積極的
に取り組んでいる。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つ以上を実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・児童自身が自分たちの生活全般について自主的・主体的な取り組みが
できるような活動(自治会活動等)を実施している。
・児童が問題や課題について主体的に検討し、その上で取り組み、実行、
管理するといった内容を含んだ活動をしている。
・活動における目標実現に向かって発展していくように支援している。
・活動を通して、児童の自己表現力、自律性、責任感などが育つように
支援している。
・活動で決定した要望等については、可能な限り応えている。
II-1-(1)-5 施設の行う援助について事前に説明し、児童自身が選択(自己決
定)できるように支援している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・施設の提供する援助の内容・方法について事前に児童に十分説明して
いる。
・児童の自己決定の重要性について職員全員が十分認識している。
・自己選択できるよう児童に必要な情報を提供している。
・児童の発達段階や能力に応じて自己決定できるように取り組んでいる。
II-1-(1)-6 多くの生活体験を積ませる中で、児童が、その問題や事態の自主
的な解決等を通して、健全な自己の成長や問題解決力を形成できる
ように支援している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・施設生活において多種多様な経験を積ませるような機会(自然体験、
職場実習等)を計画している。
・生活日課等の中に、生活体験(創作活動など)を通して、ものごとを
広い視野で具体的総合的にとらえる力や、豊かな情操が育まれるよう
な活動が組み込まれている。
・つまずきや失敗の体験を大切にし、自主的な問題の解決等を通して、
自己肯定感などを形成し、たえず自己を向上発展させるため態度を身
につけられるよう支援している。
・問題の解決にあたって、謙虚に他から学び、他と協力して行える力量
や態度を形成できるようグループ活動などを取り入れ支援している。
II-1-(1)-7 多くの人たちとのふれあいを通して、児童が、人格の尊厳を理解
し、自他の権利を尊重し、共生ができるよう支援している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・老人施設への訪問等による異年齢交流や児童養護施設間交流を実施す
るなど、多くの人たちとのふれあいの機会を可能な限り実行している。
・基本的な信頼感を獲得するなど良好な人間関係を築くために職員と児
童とが個別的にふれあう時間を確保している。
・三つ(上との関係、同年齢との関係、下との関係)の人間関係を日常
的に経験できる生活環境を用意するなど、人格の尊厳を理解し、自他
の権利を尊重できる人間性を育成するよう努めている。
・喧嘩など児童間でトラブルが生じた時、基本的には児童同士で関係を
修復できるように支援している。
II-1-(1)-8 児童の発達に応じて、本人の出生や生い立ち、家族の状況等につ
いて、児童に適切に知らせている。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・児童の精神発達等に応じて、可能な限り事実を伝えようと努めている。
・事実を伝える場合には、児童の精神発達や個別の事情に応じて慎重に
対応している。
・伝え方や内容などについて職員会議等で確認し、職員間で共有してい
る。
・事実を伝えた後、適切なフォローを行っている。
II-1-(1)-9 児童のプライバシーの保護に配慮している。
【判断基準】
a)以下の項目の内6つ以上を実施
b)以下の項目の内5つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・プライバシー尊重の方針が職員に徹底しているなど、施設全体で児童
のプライバシー保護に努めている。
・身体的な特徴や家族の状況等、個人に関する情報を漏らさないように
している。
・本人の同意なく手紙等を開封しないようにしている。
・本人の同意なく私物の点検をしないようにしている。
・居室には、声かけやノック等をしてから入室している。
・居室内の設備については、児童のプライバシーに配慮した設備を設け
ている。
・児童のプライバシー尊重のために、個別空間を保障している。
II-1-(1)-10 体罰を行わないよう徹底している。
【判断基準】
a)以下の項目の内4つを実施
b)以下の項目の内3つを実施
c)以下の項目の内2つ以下の実施
・「就業規則」等の規程に体罰の禁止を明記し、それを職員に徹底する
とともに、児童に周知している。
・児童からの挑発等体罰の起こりやすい状況や場面を想定した研修や話
し合いを行い、体罰を伴わない援助技術を習得できるようにしている。
・自傷他害行為などを制止するための方法について検討し、適切に対応
している。
・体罰があった場合を想定して、施設長が職員と児童の双方にその原因
や体罰の方法・程度など事実確認をし、「就業規則」等の規程に基づ
いて厳正に処分を行うようなしくみがつくられている。
II-1-(1)-11 児童に対する暴力、言葉による脅かし等の不適切な関わりの防
止と早期発見に取り組んでいる。
【判断基準】
a)以下の項目の内6つ以上を実施
b)以下の項目の内5つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・カッとなって叱る、邪険に接する、無視する等の不適切な関わりによ
らない援助方法について、職員会議等で話し合っている。
・人格的辱め(心理的暴力・虐待)をしないよう、職員に徹底している。
・児童が自分自身を守るための知識、具体的方法について学習する機会
を設けている。
・迅速に対応できるように、児童からの訴えやサインを見逃さないよう
留意している。
・不適切な関わりの防止の視点から、職員体制(配置や担当の見直し
等)を検討している。
・不適切な関わりの防止の視点から、密室・死角等の建物構造の点検と
改善を行っている。
・不適切な関わりがあった場合を想定して、施設長が職員と児童の双方
にその原因や方法・程度など事実確認をし、「就業規則」等の規程に
基づいて厳正に処分を行うようなしくみがつくられている。
II-1-(1)-12 児童や保護者からの要望などを検討したり、不満や不服を解決
したりする仕組みが確立されている。
【判断基準】
a)以下の項目の内6つ以上を実施
b)以下の項目の内5つを実施
c)以下の項目の内4つ以下の実施
・出された要望については検討が行われており、その対応ができる場合
には対応するとともに、対応できない場合にはその理由等について児
童や保護者への詳細な説明や報告がなされている。
・施設における不満や不服を解決する仕組みについて明文化し、児童や
保護者に周知している。
・意見箱の設置等、要望、不満、不服等を受け付ける仕組みを整えてい
る。
・必要な場合には、児童相談所の職員を交えて、不満や不服の解決を図
っている。
・第三者が参加する苦情解決委員会等を設置している。
・不満や不服の内容について職員会議等で検討し、サービスの改善に活
かしている。
・不満や不服の解決に関するデータを蓄積し、過去の経験を活かしてい
る
II-1-(1)-13 施設生活に対する要望、不満、不服など、児童や保護者の意見
を聞くための取り組みを行っている。
【判断基準】
a)以下の項目の内5つ以上を実施
b)以下の項目の内4つを実施
c)以下の項目の内3つ以下の実施
・児童が施設生活に対する要望、不満、不服等の意見を表明しやすい雰
囲気づくりに取り組んでいる。
・児童自身が不満や問題を主体的に話し合う機会がある。
・意見を表明できない幼児に対する具体的な配慮がなされている。
・児童や家族と懇談する機会を持ち、不満、希望等の意見を聞くように
している。
・要望、不満、不服等の意見を聞いた場合には、その内容について丁寧
に耳を傾けた上で、必ず事実確認を行っている。
・施設生活に対する要望、不満、不服を児童相談所の児童福祉司や外部
の主任児童委員等に相談できることを児童に伝えている。
II-1-(1)-14 児童や保護者の思想や信教の自由は、他の児童や保護者の権利
を妨げない範囲で保障されている。
【判断基準】
a)以下の項目の内3つを実施
b)以下の項目の内2つを実施
c)以下の項目の内1つ以下の実施
・施設において宗教的活動を強要していない。
・個別的な宗教活動は尊重している。
・児童や保護者の宗教的活動において他の児童や保護者の権利を妨げな
いように配慮している。
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