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     母子生活支援施設における福祉サービスの第三者評価基準(試案)


II 母子の権利擁護
 

 1 母子の権利擁護



  II-1-(1) 常に母子の最善の利益について熟考し、母子の権利を擁護している。



   II-1-(1)-1 施設長は、母親と子どもの権利擁護への取り組みを積極的に行っ

         ている。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内10以上を実施
    b)以下の項目の内8つ〜9つを実施
    c)以下の項目の内7つ以下の実施


      ・母親からの意向・苦情を把握している。
      ・子どもからの意向・苦情を把握している。
      ・代弁者が必要な場合には代弁機能を確保している。
      ・個人情報を収集する場合には、母子の同意を得るなど権利擁護に配慮

       している。
      ・特に配慮を要する母親については、職員より随時経過を報告させ、適

       切な助言指導を行っている。
      ・特に配慮を要する子どもについては、職員より随時経過を報告させ、

       適切な助言指導を行っている。
      ・定例的にケース記録に目を通し、適宜、必要な助言を行っている。
      ・ケース会議等に出席し、必要に応じて助言・指導を行っている。
      ・いわゆる権利ノート等を配布するなど母子に対する人権侵害のない施

       設づくりをしている。
      ・母子に対する権利侵害を是認する職員に対しては厳しい指導を行って

       いる。
      ・権利擁護に関する施設内外の研修に職員を積極的に参加させている。
      ・母子それぞれの権利擁護の姿勢が施設全体に行き渡るような具体的な

       取り組みを行っている。

   II-1-(1)-2 職員は、母親と子どもの権利擁護への取り組みを積極的に行って

         いる。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内6つ以上を実施
    b)以下の項目の内5つを実施
    c)以下の項目の内4つ以下の実施


      ・すべての職員は人権侵害の行為の禁止についてよく理解している。
      ・常に母親の最善の利益の観点に立ち、母親の権利を擁護している。
      ・常に子どもの最善の利益の観点に立ち、子どもの権利を擁護している。
      ・母親の個性を尊重し、母親の希望や意見に最大限の配慮を払っている。
      ・子どもの個性を尊重し、子どもの希望や意見に最大限の配慮を払って

       いる。
      ・権利擁護に関する研修に積極的に参加している。
      ・母子それぞれの権利擁護の姿勢が施設全体に行き渡るような具体的な

       取り組みを行っている。

   II-1-(1)-3 施設生活全般について、母親が自由に意見を表明する機会を設け、

         それに応えている。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内4つ以上を実施
    b)以下の項目の内3つを実施
    c)以下の項目の内2つ以下の実施


      ・母親が自由に意見を表明できるよう、母親と職員の信頼関係づくりに

       取り組んでいる。
      ・日常生活のあらゆる場面で、母親から意見を引き出せるよう取り組ん

       でいる。
      ・母親の意見や希望に可能な限り応えている。
      ・すぐに応えることが難しい事柄でも職員会議で話し合う等取り組んで

       いる。
      ・母親の希望に応えられない事柄については、その理由を母親に説明し

       て理解を求めている。

   II-1-(1)-4 施設生活全般について、子どもが自由に意見を表明する機会を設

         け、それに応えている。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内5つ以上を実施
    b)以下の項目の内4つを実施
    c)以下の項目の内3つ以下の実施


      ・子どもが自由に意見を表明できるよう、子どもと職員の信頼関係づく

       りに取り組んでいる。
      ・日常生活のあらゆる場面で、子どもから意見を引き出せるよう取り組

       んでいる。
      ・子どもの表情や態度からも意見を読み取るよう取り組んでいる。
      ・子どもの意見や希望に可能な限り応えている。
      ・すぐに応えることが難しい事柄でも職員会議で話し合う等取り組んで

       いる。
      ・子どもの希望に応えられない事柄については、その理由を子どもに説

       明して理解を求めている。

   II-1-(1)-5 母子自身が、自分たちの生活全般について、自主的に考える活動

         (自治会活動等)を推進し、施設における生活改善に向けて積極

         的に取り組んでいる。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内4つ以上を実施
    b)以下の項目の内3つを実施
    c)以下の項目の内2つ以下の実施


      ・母子自身が自分たちの生活全般について自主的・主体的な取り組みが

       できるような活動(自治会活動等)を実施している。
      ・母子が問題や課題について主体的に検討し、その上で取り組み、実行、

       管理するといった内容を含んだ活動になっている。
      ・活動における目標実現に向かって発展していくように支援している。
      ・活動を通して、母子の自己表現力、自律性、責任感などが育つように

       支援している。
      ・活動で決定した要望等については、可能な限り応えている。

   II-1-(1)-6 施設の行う援助について事前に説明し、母子が選択(自己決定)

         できるように支援している。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内4つ以上を実施
    b)以下の項目の内3つを実施
    c)以下の項目の内2つ以下の実施


      ・母子の自己決定の重要性について職員全員が十分認識している。
      ・母子に必要な情報を提供し、自己選択できるようにしている。
      ・施設の提供する支援の内容・方法について事前に母子に十分説明して

       いる。
      ・母親と子どもの決定が異なる場合、要請があれば調整している。
      ・子どもの発達段階や能力に応じて自己決定できる力量形成に取り組ん

       でいる。

   II-1-(1)-7 母子のプライバシーの保護に配慮している。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内4つを実施
    b)以下の項目の内3つを実施
    c)以下の項目の内2つ以下の実施


      ・プライバシー尊重の方針を職員に徹底するなど、施設全体で母子のプ

       ライバシー保護に取り組んでいる。
      ・身体的な特徴や家族の状況等、個人に関する情報を漏らさないように

       している。
      ・居室には、許可なく立ち入らないようにしている。
      ・利用者間のうわさや苦情等について漏らさないようにしている。

   II-1-(1)-8 母子に体罰を行わないよう徹底している。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内4つを実施
    b)以下の項目の内3つを実施
    c)以下の項目の内2つ以下の実施


      ・「就業規則」等の規程に体罰の禁止を明記し、それを職員に徹底する

       とともに母子に周知している。
      ・体罰の起こりやすい状況や場面を想定した研修や話し合いを行い、体

       罰を伴わない援助技術を習得できるようにしている。
      ・自傷他害行為などを制止するための方法について検討し、適切に対応

       している。
      ・体罰があった場合を想定して、施設長が職員と母子の双方にその原因

       や体罰の方法・程度など事実確認をし、「就業規則」等の規程に基づ

       いて厳正に処分を行うようなしくみがつくられている。

   II-1-(1)-9 母子に対する暴力、言葉による脅かし等の不適切な関わりの防止

         と早期発見に取り組んでいる。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内5つ以上を実施
    b)以下の項目の内4つを実施
    c)以下の項目の内3つ以下の実施


      ・カッとなって叱る、邪険に接する、無視する等の不適切な関わりによ

       らない援助方法について、職員会議等で話し合っている。
      ・人格的辱め(心理的暴力・虐待)、セクハラ等をしないよう、職員に

       徹底している。
      ・母子が自分自身を守るための知識、具体的方法について学習する機会

       を設けている。
      ・迅速に対応できるように、母子からの訴えやサインを見逃さないよう

       留意している。
      ・不適切な関わりの防止の視点から、職員体制(配置や担当の見直し

       等)を検討している。
      ・不適切な関わりがあった場合を想定して、施設長が職員と母子の双方

       にその原因や方法・程度など事実確認をし、「就業規則」等の規程に

       基づいて厳正に処分を行うようなしくみがつくられている。

   II-1-(1)-10 母子からの要望などを検討したり、不満や不服を解決したりす

         る仕組みが確立されている。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内6つ以上を実施
    b)以下の項目の内5つを実施
    c)以下の項目の内4つ以下の実施


      ・出された要望については真摯な態度で迅速に検討が行われており、そ

       の対応ができる場合には対応するとともに、対応できない場合にはそ

       の理由等について母子への説明や報告がなされている。
      ・施設における苦情解決の仕組みについて明文化し、母子に周知徹底し

       ている。
      ・意見箱の設置等、要望、不満、不服等を受け付ける仕組みを整えてい

       る。
      ・必要な場合には、福祉事務所の職員を交えて、苦情の解決を図ってい

       る。
      ・第三者が参加する苦情解決委員会等を設置している。
      ・苦情の内容について職員会議等で検討し、サービスの改善に活かして

       いる。
      ・苦情解決に関するデータを蓄積し、過去の経験を活かしている。

   II-1-(1)-11 施設生活に対する要望、不満、不服など、母子の意見を聞くた

         めの取り組みを行っている。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内5つ以上を実施
    b)以下の項目の内4つを実施
    c)以下の項目の内3つ以下の実施


      ・母子が施設生活に対する要望、不満、不服等の意見を表明しやすい雰

       囲気づくりに取り組んでいる。
      ・母子が不満や問題を主体的に話し合う機会がある。
      ・母子と懇談する機会を持ち、不満、希望等の意見を聞くようにしてい

       る。
      ・要望、不満、不服等の意見を聞いた場合には、その内容について丁寧

       に耳を傾けた上で、必ず事実確認を行っている。
      ・施設生活に対する苦情を福祉事務所や外部の人に相談できることを母

       子に伝えている。
      ・母子の要望、不満、不服などを聴取し、サービスの質の向上を図るた

       めの懇談会等を開いている。

   II-1-(1)-12 母親・子ども個人の思想や信教の自由は、他の母子の権利を妨

         げない範囲で保障されている。


    【判断基準】



    a)以下の項目の内3つを実施
    b)以下の項目の内2つを実施
    c)以下の項目の内1つ以下の実施


      ・施設において宗教的活動を強要していない。
      ・個別的な宗教活動は尊重している。
      ・利用者の宗教的活動において他の母子の権利を妨げないように配慮し

       ている。

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