タイトル:紛争解決援助制度の運用状況

     ──都道府県労働基準局及び労働基準監督署における解雇、

     労働条件の引下げ、配置転換、出向等への対応───





発  表:平成11年5月17日(月)

担  当:労働省労働基準局監督課

                 電 話 03-3593-1211(内線5426)

                     03-3502-6742(直通)









1 労働省労働基準局においては、平成10年10月1日から施行された労働基準法第10

 5条の3に基づく紛争解決援助制度について、今般、施行から平成11年3月31日ま

 での間の全国の運用状況をとりまとめたところである。



2 労働条件に係る紛争であって、労働基準法等関係法令違反が認められないものの、

 何らかの具体的な処理を求めてきている事案は、5,537件である。

  このうち、何らかの指導等を行い解決に至ったことを把握しているのは1,478件

 である。その内訳は、紛争解決援助の申出受理前に指導等を行い解決した件数が1,

 443件、紛争解決援助の申出を受理し解決した件数が35件である(申出受理件数は4

 7件)。

  なお、紛争解決援助の申出を受理し、処理を行い解決した35件のうち、23件は申

 出内容の全部又は一部について申出人の意に沿う形で解決している。




 


1 都道府県労働基準局、労働基準監督署に対する申告・相談の現状と対応



  全国の労働基準監督署に対しては、現下の厳しい経済情勢を反映し、解雇、賃金

 不払い等について、数多くの申告・相談が寄せられている。このうち、労働基準法

 等関係法令に違反するものとして労働基準法第104条等に基づき申告のあった事案

 は、平成3年以降は経済情勢等を反映して増加傾向を示し、平成10年においては約

 2万9千件と過去10年間では最高の水準となっており、その解決に向けた優先的・

 迅速な処理を行っている。

  また、都道府県労働基準局、労働基準監督署に対する申告・相談の内容が解雇の

 有効性、労働条件の引下げ、配置転換の妥当性等に関する労働基準法等関係法令上

 は問題とならないものが増加しているところであり、労働基準監督署等においては、

 相談内容に応じた裁判例や適当な相談先に関する情報提供を行ってきたところであ

 るが、更に、昨年の労働基準法改正により同年10月から施行された同法第105条の

 3に基づく紛争解決援助制度の積極的な運用を通じた紛争の解決を推進することと

 なった(資料1「紛争解決援助制度の概要」参照)。



 

2 紛争解決援助制度の運用状況(平成10年10月1日〜平成11年3月31日)は

  次のとおりである。資料2「紛争解決援助制度の運用状況について」資料3「具体的事例の概要」参照)。



(1)労働条件に係る紛争であって、労働基準法等関係法令違反が認められないもの

  の、何らかの具体的な処理を求めてきている事案の件数は5,537件である。この

  内訳は、解雇に係るものが2,105件、労働条件の引下げに係るものが1,002件、そ

  の他が2,430件となっている。

(2)上記1のうち、何らかの指導等を行い、解決に至ったことを把握している件数

  は、1,478件となっている。

(3)上記2のうち、紛争解決援助の申出前に、都道府県労働基準局における紛争解

  決援助の担当者である労働条件紛争担当官と署担当者が連携を図り、申告・相談

  者等に対して裁判例等を提供して当事者間の話合いを促したなどの結果、解決し

  た事案は、1,443件である。この内訳は、解雇に係るものが562件、労働条件の引

  下げに係るものが247件、その他が634件となっている。

(4)上記1のうち、申出を受理した件数は、47件である。この内訳は、解雇に係る

  ものが29件、労働条件の引下げに係るものが7件、その他が11件となっている。

(5)申出を受理した件数47件のうち、本年3月末日現在、事案処理を行い解決した

  件数は35件である。

   このうち、事案処理の過程で解決した事案の件数は、24件であり、都道府県労

  働基準局長名による助言又は指導を行った事案等の件数は、11件である。

(6)なお、紛争解決援助の申出を受理した事案で、事案処理を行い解決した35件の

  うち、申出内容の全部又は一部について申出人の意に沿う形で解決した件数は、

  23件である。





3 今後の対応



  紛争解決援助制度については、運用開始直後から同制度の周知に努めてきたとこ

 ろである。その結果、本年に入り、労働条件に関する紛争であって紛争解決援助の

 申出の意思のあるものが増加してきており、引き続き、同制度の積極的な運用を通

 じた労働条件に係る紛争の解決に努めることとしている。

 


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