タイトル:平成10年の労働災害による死亡者数は1,844名

     初めて2,000人を下回る

     −平成10年における死亡災害発生状況−



発  表:平成11年4月22日(木)

担  当:労働省労働基準局安全衛生部

           電 話 03-3593-1211(内線5481)

               03-3502-6754(直通)








 平成10年に労働災害によって亡くなった方は、1,844人であった。

 平成10年の労働災害による死亡者数は、過去最少を記録した平成9年に比較

して234人、11.3%減少し、初めて2,000人台を割り込んだ。

 業種別にみると、建設業における死亡者数が725人(全体の39.3%)、

次いで製造業が305人(同16.5%)、陸上貨物運送事業が225人(同

12.2%)となっており、業種別では依然として建設業が最も多く発生してい

るが、建設業、製造業においては、全産業と同様に2年連続で過去最少となった。

 しかしながら、いまなお、労働災害による被災者は、年間60万人近い状況に

あり、死亡災害についても、年間1,800人を超える状況にある。また、昨年

来の橋梁工事現場における架設桁落下災害や列車との接車災害等、一度に多数の

労働者が被災する災害も後を絶っていない。このため労働省では、今後とも、第

9次労働災害防止計画に基づき、死亡災害を含め労働災害をさらに減少させるた

めの対策の一層の推進を図ることとしている。

 死亡災害が過去最少となった要因については、最近の景気低迷による経済活動

の低下による影響も考えられるものの、このような経済状況下にあっても個々の

事業場における安全衛生管理活動が引き続き積極的に展開されていることによる

ものと考えられる。

 なお、事業場に対するヒアリング結果においても、

 @個々の事業場における各種安全対策の定着、

 A最近の景気の低迷による経済活動の低下による影響、

 B経営者の安全衛生意識の向上

等が挙げられている。




平成10年における死亡災害発生状況の概要





1 業種別発生状況



(1) 建設業における死亡者数は725人で、全産業に占める割合は39.3

   %となっており、業種別では依然として最も多く発生している。平成9年

   と比較すると、123人、14.5%減少し、過去最少を記録した平成9

   年に続き、2年連続で過去最少となった。



(2) 製造業における死亡者数は305人で、全産業に占める割合は16.5

   %となっている。平成9年と比較すると、46人、13.1%減少し、過

   去最少を記録した平成9年に続き、2年連続で過去最少となった。



(3) 陸上貨物運送事業における死亡者数は225人で、全産業に占める割合

   は12.2%となっている。平成9年と比較すると、65人、22.4%

   の減少となっている。





2 事故の型別発生状況



(1) 高所からの「墜落・転落」による死亡者数は511人(27.7%)、

   「道路上の交通事故」による死亡者数は521人(28.3%)で、この

   2つの災害で全体の56%を占めている。

    続いて、機械等への「はさまれ巻き込まれ」による死亡者数が261人

   で、全体の14.2%となっている。



(2) 建設業においては、墜落・転落による死亡災害の占める割合が高く、

   45.8%(建設業全体の725人中332人)となっている。



(3) 陸上貨物運送事業においては、「道路上の交通事故」による死亡災害の

   占める割合が高く、71.1%(陸上貨物運送事業全体の225人中

   160人)となっている。




事業場に対するヒアリング結果の概要





 平成10年における死亡災害減少の要因について、全国の有力な事業場の安全

衛生担当者(部長クラス)からヒアリングしたところ、回答結果(複数回答)の

概要は次のとおりであった。

(事業場)

死亡災害減少の要因として
挙げられた内容
製造業 建設業 陸上貨物
運送事業
合計
  ヒアリング事業場数 94 72 47 213
@個々の事業場における
 各種安全対策の定着
77
(81.9%)
60
(83.3%)
42
(89.4%)
179
(84.0%)
A最近の景気低迷による
 経済活動の低下による影響
46
(48.9%)
52
(72.2%)
30
(63.8%)
128
(60.1%)
B経営者の安全衛生意識の向上
( 6.4%)
42
(58.3%)
10
(21.3%)
58
(27.2%)
Cその他 27
(28.7%)
24
(33.3%)

(12.8%)
57
(26.8%)
※1.@についての具体例

  (製造業)

  ・労働者の安全衛生意識の向上(安全衛生教育、危険予知活動の定着等)

  ・機械設備の本質安全化の進展

  (建設業)

  ・労働者の安全衛生意識の向上(安全衛生教育の実施、安全施工サイクル、

   危険予知活動の定着等)

  ・現場の安全衛生管理(体制)、専門工事業者の自主管理の充実

  (陸上貨物運送事業)

  ・交通労働災害防止のためのガイドラインに基づく対策の実施

  ・経営トップ等による安全パトロールの実施



 2.Aについて、「景気の低迷」が安全衛生管理に与えた影響の具体例

  (製造業)

  ・良質な労働力を確保できる。

  ・時間的余裕ができ、安全対策の充実が図られた。

  (建設業)

  ・良質な労働力・優良な専門工事業者を確保できる。

  ・職員に余裕ができ現場の管理に目が行き届く。

  (陸上貨物運送事業)

  ・無理のない走行計画により、労働者がゆとりをもって作業を行えるように

   なった。

  ・事業者間の選別が厳しくなった結果、安全衛生対策の推進が図られるよう

   になった。

 

労働災害の発生状況

業種別死亡災害発生状況(平成元年〜10年)

業種、事故の型別死亡災害発生状況(平成10年)


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